スキージャンプの結果を下手な写真でお伝えします

2018/19 FISスキージャンプワールドカップ女子個人第24戦チャイコフスキー

女王ルンビー有終の美 ザイファルト 露ツアー総合V

2019年3月24日(日) チャイコフスキー(RUS)HS140/K125 

27th World Cup Competition 

 マーレン・ルンビー(NOR) 270.9pt 128.0m137.5m
 ユリアーネ・ザイファルト(GER) 258.0pt 128.0m 141.0m
 ニカ・クリズナー(SLO) 247.1pt126.0m 140.5m
 
7 伊藤 有希(土屋ホーム) 224.5pt 119.0m127.5m
8 高梨 沙羅(クラレ) 221.0pt 116.5m 130.0m
14 丸山 希(明治大学) 202.3pt 122.0m 121.5m
16 勢藤 優花(北海道ハイテクアスリートクラブ) 196.2pt118.5m122.5m
20 岩渕 香里(北野建設) 190.5pt115.0m122.5m

オフィシャル リザルト


 

2本目のラスト4人は、強い向かい風が吹いたこともあってシーズンの締めくくりに相応しい大ジャンプが炸裂する非常に見ごたえのある戦いとなった。
ザイフリーズベルガーは前日の4位がフロックではないことを証明したし、クリズナーは最も強い向かい風を受けたこととイケイケ・スタイルがマッチして今季初・通算2度目の3位表彰台をゲットした。
更にはザイファルトが最長不倒の141.0mでBlue Birdツアーのタイトルを手繰り寄せ、最後に女王ルンビーが風が収まったにもかかわらず貫録を見せつけ有終の美を飾った。

 

先日、日本チームの雰囲気が全体的に暗すぎると書いたが、この日は最終戦ということもあってかとても明るかった。
特に沙羅ちゃんがちょっとびっくりするぐらいにリーダーボード前でカメラに向かって愛嬌を振りまきまくっていた。前日に4位が確定し、プレッシャーからも解放されたのだろうか。
いつもこれぐらいでいてくれるといいなぁと思う。

 


 

史上最多の25戦、しかも10戦もラージヒルが組まれた今季。
更には女子版RAW AIRの初開催、ロシアBLUE BIRDツアーの初開催など、8シーズン目を迎えた女子ワールドカップが大きく変わったシーズンだった。

 

12勝を挙げたルンビーが2連覇を果たしたが、圧倒的だったという印象はあまりない。
ルンビーの初勝利が7戦目だったこと、リレハンメル・トリプルとBlue Bird ツアーのタイトルを獲れなかったこと、昨季は15戦9勝で勝率6割なのに対し今季は24戦12勝で勝率5割であったことなどがそう感じさせる要因だろうか。

 

それでも、昨季も今季もシーズン中盤で破竹の6連勝を果たし、昨季は五輪で金を今季は世界選手権で金を獲った。押しも押されもせぬ現在世界最強の女子ジャンパーで有ることは間違いない。
今季はノルウェーだけで6戦が組まれたが、それもルンビーの存在があってこそ。ノルウェーの女子ジャンプ人気に大いに貢献しているだけでなく、ストローム(総合7位)とオプセット(総合16位)を喜び組から戦える選手へと導いたのもルンビーの活躍があっての事だろう。
なお、WC総合2連覇は2013/142016/17の高梨沙羅に続く3度目にして2人目。前人未到の3連覇も決して夢ではないと思わせる強さがある。

 

ザイファルト、ヤコブレワの初優勝者二人を含む史上最多タイの6人の優勝者が出たことなどもあって、非常にコンティティブで彩り豊かな面白いシーズンだったように思う。

 

シーズン別 優勝者数
2011/122012/132013/142014/152015/162016/172017/182018/19
4人6人3人4人3人4人4人6人

 

彩り豊かにしてくれた功労者はザイファルトとピンケルニッヒの二人だろうか。

 

28歳のザイファルトは、女子WCの最初の試合である2011/12リレハンメルから出場を続けている最古参の一人。WCが始まる前には、コンチネンタルカップでいくつかの勝利を挙げジュニア世界選手権で金メダルに輝くなど若くしてその才能を発揮した選手でもある。
WCが始まって以降は成績の浮き沈みを繰り返して来たが、今季は8年目にして遂に初勝利を挙げ、シーズン終盤には3連勝でBlue Bird ツアーのタイトルを獲得しオーバーオールでも3位につけた。
今シーズンの主役の一人だったと言っていい。

 

30歳のピンケルニッヒは年齢的にはベテランだが、スキージャンプを始めたのは24歳からという変わり種。
デビューイヤーの2014/15シーズンにいきなり総合7位となった後はやや低迷したが、今季華麗に復活した。
とにかく明るいピンケルニッヒには、ともすれば観客が少なく寂しい絵面になってしまうことの多い女子ジャンプを一気に華やかにする強烈な個性があった。
画面に映るだけで楽しい選手である彼女もまた今シーズンの主役の一人。

 

ワールドカップ・レディース 総合順位 (全順位
1マーレン・ルンビー(NOR)190912勝
2カタリナ・アルトハウス(GER)14933勝
3ユリアーネ・ザイファルト(GER)14514勝
4高梨 沙羅(JPN)11901勝
5ニカ・クリズナー(SLO)826最高位3位
6エバ・ピンケルニヒ(AUT)825最高位3位
7アンナ-オディヌ・ストローム(NOR)717最高位2位
8ダニエラ・イラシュコ-シュトルツ(AUT)7013勝
9カリーナ・フォークト(GER)686最高位2位
10キアラ・ヘルツル(AUT)644最高位5位
12伊藤 有希(JPN)571最高位5位
13リディア・ヤコブレワ(RUS)5091勝
20丸山 希(JPN)283最高位11位
22勢藤 優花(JPN)217最高位8位
27岩渕 香里(JPN)142最高位15位
47茂野 美咲(JPN)8最高位27位
52岩佐 明香(JPN)5最高位26位
54大井 栞(JPN)3最高位28位

 

ワールドカップ・レディース個人戦 大会別優勝者 
1リレハンメルNHユリアーネ・ザイファルト(GER)
2リレハンメルNHリディア・ヤコブレワ(RUS)
3リレハンメルLHカタリナ・アルトハウス(GER)
 ティティゼーーノイシュタットLHCancel
4プレマノンNHカタリナ・アルトハウス(GER)
5プレマノンNHカタリナ・アルトハウス(GER)
6札幌LHダニエラ・イラシュコ-シュトルツ(AUT)
7札幌LHマーレン・ルンビー(NOR)
8蔵王NHダニエラ・イラシュコ-シュトルツ(AUT)
9蔵王NHマーレン・ルンビー(NOR)
10ルシュノフNHマーレン・ルンビー(NOR)
11ルシュノフNHマーレン・ルンビー(NOR)
12ヒンツェンバッハNHマーレン・ルンビー(NOR)
13ヒンツェンバッハNHマーレン・ルンビー(NOR)
14リュブノNHマーレン・ルンビー(NOR)
15リュブノNH高梨 沙羅(JPN)
16オーベルストドルフLHマーレン・ルンビー(NOR)
17オーベルストドルフLHマーレン・ルンビー(NOR)
18オスロLHダニエラ・イラシュコ-シュトルツ(AUT)
19リレハンメルLHマーレン・ルンビー(NOR)
20トロンハイムLHマーレン・ルンビー(NOR)
21ニジニ・タギルNHユリアーネ・ザイファルト(GER)
22ニジニ・タギルNHユリアーネ・ザイファルト(GER)
23チャイコフスキーNHユリアーネ・ザイファルト(GER)
24チャイコフスキーLHマーレン・ルンビー(NOR)

 

リレハンメル・トリプル 総合順位 (全順位
1カタリナ・アルトハウス(GER)750.4
2ユリアーネ・ザイファルト(GER)729.6
3ラモーナ・シュトラウプ(GER)715.1
4リディア・ヤコブレワ(RUS)713.9
5ダニエラ・イラシュコ-シュトルツ(AUT)708.8
12伊藤 有希(JPN)652.6
19岩渕 香里(JPN)596.6
28高梨 沙羅(JPN)450.3
30勢藤 優花(JPN)405.6
31丸山 希(JPN)391.0
41岩佐 明香(JPN)165.8

 

RAW AIR トーナメント 総合順位 (全順位
1マーレン・ルンビー(NOR)1144.6
2カタリナ・アルトハウス(GER)1088.1
3ユリアーネ・ザイファルト(GER)1066.3
4ダニエラ・イラシュコ-シュトルツ(AUT)1055.9
5エバ・ピンケルニヒ(AUT)1033.8
6伊藤 有希(JPN)972.2
7高梨 沙羅(JPN)971.1
17勢藤 優花(JPN)805.9
18丸山 希(JPN)803.5
25岩渕 香里(JPN)678.2
37大井 栞(JPN)422.3

 

Blue Bird ツアー 総合順位 (全順位
1ユリアーネ・ザイファルト(GER)959.9
2マーレン・ルンビー(NOR)939.0
3カタリナ・アルトハウス(GER)896.9
4キアラ・ヘルツル(AUT)861.3
5ニカ・クリズナー(SLO)861.0
6高梨 沙羅(JPN)857.8
10伊藤 有希(JPN)823.1
13丸山 希(JPN)783.8
20勢藤 優花(JPN)728.4
30岩渕 香里(JPN)503.2

 

団体戦 大会別優勝国 
1蔵王NHドイツ日本3位
2リュブノNHドイツ日本4位

 

ネイションズ・カップ 総合順位 (全順位
1ドイツ5220
2ノルウェー3443
3オーストリア3192
4日本2969
5スロベニア2751

 

日本勢にとっては厳しいシーズンだった。
高梨沙羅は女子WC初年度の2011/12シーズン以来となる1勝だけにとどまった。
昨季は苦しみながらも2勝を挙げ2位アルトハウスに12pt差に迫る3位だったが、今季は一つ順位を下げ4位となり、8シーズン目にして初めて総合の表彰台を逃した。

 

伊藤有希が一度も表彰台に立てなかったのは2014/15シーズン以来4シーズンぶり。
総合順位は昨季の4位から大きく後退し12位とトップ10から漏れてしまった。総合トップ10に入れなかったのは2011/12の20位と2012/13の18位に次ぐ3度目。

 

沙羅も有希も勝つために試行錯誤を繰り返したシーズンだった。沙羅はアプローチを重点的に模索し、有希は板をフィッシャーからフリューゲに変えるなどマテリアル面から見直すほどの大きな変革をおこなった。
いろいろと試している最中なのでこの成績は気にすることは無いという意見もあるようだが、ではライバルたちは何も試行錯誤をしていなかったのか。
おそらくはほぼ全ての選手が何らかの試行錯誤を繰り返しながらシーズンを戦っており、オフシーズンにそれを行うのとは違ってシーズン中は当然に結果が求められる。
沙羅も有希も結果的に最後まで答えが見つからないままシーズンが終わってしまった感があるが、もがき苦しんだこのシーズンが来季につながると信じたい。

 

勢藤優花は昨季の13位から22位に、岩渕香里は昨季16位から27位に総合順位を落とした。特に岩渕は一度も1桁順位を獲れずに終わってしまった。
開幕メンバー入りを果たし日本ラウンドまで帯同した岩佐明香のポイント獲得は札幌での1試合だけにととどまってしまった。
大井栞は海外WC初挑戦がRAW AIR。貴重な経験とはなっただろうが、いきなり怒涛の6日間に放り込まれちゃったのはちょっとかわいそうだった。

 

そんな中、一人気を吐いたのが丸山希。
総合20位は日本勢では高梨・伊藤に次ぐ3位。開幕戦こそ予選落ちを喫したが、その後はリュブノでの1試合を除いて全てポイントを獲得した。
全高選抜で連覇を果たすなど高校時代から成績を残してきた選手であるが、2018年の夏の名寄市長杯宮の森宮の森チャレンジ杯で3連勝と一気に才能が開花し代表入りを射止めた。
高い踏切から、前傾をかけずに前へ前へ力強く進むフライトは小林陵侑を彷彿させる。
まだまだ伸びしろがあるであろう21歳。来季の目標はまずはシングル、そして表彰台。夢は広がる。

 

そしてもう一人。茂野美咲の奮闘も忘れられない。
茂野のエントリーは札幌と蔵王の3戦のみだったが、他の開催国枠の選手たちが軒並み予選落ちや2本目に進めないなど苦戦する中、ただ一人3戦とも2本目に残ってみせた。
大井栞の海外WC初挑戦は「派遣選考基準」に従いジュニア世界選手権個人戦の結果が該当したための派遣と思われるので異存などあろうはずはないが、その時点で国内最強はTVh杯宮様NHで連勝中の茂野だった。海外WC出場経験20試合以上の茂野のRAW AIR挑戦も見てみたかった。

 

来季の開幕メンバーがどのように編成されるのか。興味を持って待つことにしよう。
間違っても既得権で選ばれるようなことはしないでほしい。その時点で最強の選手が選ばれてほしい。
また、男子並みに長丁場のシーズンとなったわけだから、シーズン中の選手の入れ替えもフレキシブルに行ってほしい。もっとも、男子もこれまでフレキシブルな入れ替えなど行われた試しがないけど。

 


 

当ブログの記事ごとのPV数はこれまで圧倒的に女子WCが多かった。
それが今季は小林陵侑の活躍により男子WCが逆転。それもダブルスコア、いや、トリプルスコアの勢いで。
心配なのは男子が増えたので相対的に女子が減ったのではなく、女子の絶対数が減っていること。
おまえのブログがつまらねぇからだよ! と言われてしまえばそれまでだけど…

 

やはり沙羅ちゃんが勝てなくなったというのは大きいよね。
日本人選手が活躍するから見る。活躍しなければ見ない。この心情は理解できる。
けれど、前述の通り今シーズンは非常にコンティティブで彩り豊かな面白いシーズンだったと個人的には思っているので、にもかかわらず女子ジャンプの人気が落ちてきているのだとしたらすごく残念。

 

 

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