スキージャンプFISワールドカップ2024/25女子個人第12戦札幌

クバンダルが大差をつけ今季初勝利 日本勢最高位は高梨沙羅の8位

13th World CUP Competition
  • 2025年1月19日(日)
  • 札幌(JPN)
  • HS137/K123

Official Results

1  エイリン‐マリア・クバンダル(NOR) 248.4pt
2  セリーナ・フライターク(GER) 228.0pt
3  テア-ミニャン・ビョルセット(NOR) 226.7pt
 
8  高梨 沙羅(クラレ) 205.7pt
15  伊藤 有希(土屋ホームスキー部) 180.9pt
16  丸山 希(北野建設SC) 180.5pt
19  勢藤 優花(オカモトグループ) 163.8pt
27  岩佐 明香(大林組スキー部) 132.2pt
29  佐藤 柚月(札幌日大高校) 121.9pt

予選リザルト 本戦リザルト


異様なほどに雪が少ないこの冬の札幌。
そしてこの日は翌日が大寒だというのにプラスの気温。
大倉山の風も穏やか。

追い風だった前日に比べてゲートは上がったが、でも稀に向かい風が強まるときがあるのでやや渋めの設定。
よって、130.0mオーバーは2本にとどまった。
また、おそらくは下の風がなさすぎてカタリナ・シュミットのようにガクンと落とされるような場面も散見されたし、横風も舞っているのかニカ・プレヴツなどは大きくローリングした。

2本の130.0mオーバーのうちの1本がエイリン‐マリア・クバンダル。
1本目で129.5mでトップに立つと、2本目は下の風を上手くとらえてHSに迫る136.5m。
2位に20.4ptの大差をつける圧勝だった。
昨季ヴィケルスンFH以来となる通算5勝目。

この二日間は全体にややゲート設定が渋めだったこともあり、予選も含めて一度もコーチリクエストを使う必要が生じなかった。
これまではリクエストでゲートを下げてもHSの95%に達せず加点を得られないこともあった。
でも、ゲートを下げなくてもよい状況であれば飛距離は誰にも負けない。毎試合これができていれば勝利数はとっくに二桁になっていることだろう。

もう1本の130.0mオーバーはテア-ミニャン・ビョルセット。
6位で折り返した2本目で133.0m。
前日も最長となる135.0mを飛んだ。しかし、着地に耐え切れず転倒。平手でバーンをたたきつけて悔しさを表したシーンはこの試合のハイライトと言えた。

今日はしっかりとリベンジを果たし第5戦エンゲルベルクに続く今季2度目の表彰台。
空中でアグレッシブになりすぎるためかテレマークに難がある選手ではある。でもアグレッシブさが最大の魅力の選手。どうかこのままのスタイルでいって欲しい。それでもきっと勝てる選手。

3位はセリーナ・フライターク。
今季2度目の2位で3度目の表彰台。
前日にエダーに取って代わられた総合3位の座を1日で奪い返した。

1本目で2位だったジャクリーン・ザイフリーズベルガーは逆転を喰らい4位。
表彰台には届かなかったとはいえ2試合連続の4位。
札幌で初めて女子ワールドカップが開催された2012/13日曜日の勝者は、12年経った今も衰えを知らない。

Top10 & Team Japan

1 エイリン‐マリア・クバンダル(NOR)
2 セリーナ・フライターク(GER)
3 テア-ミニャン・ビョルセット(NOR)
4 ジャクリーン・ザイフリーズベルガー(AUT)
5 アグネス・ライシュ(GER)
6 ニカ・プレヴツ(SLO)
7 カタリナ・シュミット(GER)
8 高梨 沙羅(クラレ)
9 エバ・ピンケルニッヒ(AUT)
10 リサ・エダー(AUT)
15 伊藤 有希(土屋ホームスキー部)
16 丸山 希(北野建設SC)
19 勢藤 優花(オカモトグループ)
27 岩佐 明香(大林組スキー部)
29 佐藤 柚月(札幌日大高校)

選考基準通りに前日の上位6名がエントリーしたチームJAPAN。
全員が予選を通過し、全員がポイントを獲得した。

最高位は高梨沙羅。
第4戦 張家口での4位以来となる今季2度目のシングルである8位。

金曜日に「核心をついたものが見えてきている」」と語った。でも「それがうまく体現できていない」とも。
土曜は14位。「今はテレマークを入れることに頭がいっぱい」との言葉通り、そこを意識しすぎるあまりに飛距離を犠牲にしてでもテレマークを入れに行こうとしているように見える。

この日の飛型点は2本とも48.0pt。
確かに低い点数だが、表彰台の3人も最高でクバンダルの50.5pt。フライタークの2本目は49.0ptだし、ビョルセットの2本目は高梨と同じ48.0pt。
クバンダルもビョルセットも着地に難のある選手だが、そこはある程度は目をつむってでも飛距離を取りに行こうとしているように見える。

高梨沙羅がテレマークを苦手としていることは誰もが知るところではあるが、ジャッジにもそのバイアスがかかり過ぎて必要以上に減点されてしまっているようにも思える。
だとしたら多少改善したところで点数はそれほど変わらないのかも。

であるなら飛型点には目をつむってでも飛距離を取りに行った方が得策では?
少なくともテレマークの為に飛距離を犠牲にしているのだとしたら、もったいないような気がする。
いずれにしても素人考えにすぎないけれど。

昨季日曜日の優勝者である伊藤有希は2日連続の15位。
6日前のHBCカップと同様に、やはりいつもよりも飛行曲線が低いように感じられた。
今季は夏からずっとアプローチの不調に悩まされているという。
蔵王に期待。

表彰式

ノルウェーが表彰台に2名を送り込んだのは第8戦オーベルストドルフに続いて今季2度目。
その時は2位ストローム、3位クバンダル。
今回は1位と3位。ワンツーとはいかなかったものの優勝者がいればやはり盛り上がる。チーム全員で記念撮影。

昨日、今季初めてイエロービブのカタリナ・シュミットと総合2位のニカ・プレヴツが二人とも表彰台に上ることがなかったわけだが、それが二日続いた。
勢力図は変わりつつあるのか。もっとも、この日は二人ともやや条件にやられた感じはあるのだが…

ピックアップ ギャラリー

1本目をトップから12pt差の5位で折り返し、わずかではあったけれど連勝の可能性を残したアレクサンドリア・ルティト。しかし2本目は111.5mに吸い寄せられるように着地し12位。
とにかく下の風をもらえるかどうかが勝負の綾となったこの試合。この競技のなんと難しいことか。

そんなルティトをはじめとして、遠い遠いSapporoまで遥々やってきてくれた海外選手たちに敬意を表し、下手な写真ではあるが例によって何人かをピックアップしてみた。

12 アレクサンドリア・ルティト(CAN)
13 エマ・クリネツ(SLO)
14 イェニー・ラウティオンアホ(FIN)
17 ララ・マルジナー(ITA)
21 ユリア―ネ・ザイファルト(GER)
23 Heidi-Dyhre TRAASERUD(NOR)
25 アニカ・シーフ(ITA)
28 アニカ・ベルショー(USA)
31 タヤ・ボドライ(SLO)
35 Meghann WADSAK(AUT)
40 マルティナ・アンブローシ(ITA)

WC総合順位

今年もたくさんの観客で沸いた札幌大会。
新たにプレミアムゾーンが設定されるなど、年々進化している。
表彰式終了後には岩崎里胡と佐藤柚月のミニトークショーも開催された。
こんなふうに、お金を掛けなくても工夫次第でやれることはまだまだあると思う。

左:岩崎 里胡(戸田建設株式会社) 右:佐藤 柚月(札幌日大高校)

女子札幌大会の歴代優勝者

1 2012/13 宮の森  コリン・マテル(FRA)
2 2012/13 宮の森  ジャクリーン・ザイフリーズベルガー(AUT)
3 2013/14 宮の森  高梨 沙羅(JPN)
4 2013/14 宮の森  高梨 沙羅(JPN)
5 2014/15 宮の森  高梨 沙羅(JPN)
6 2014/15 宮の森  高梨 沙羅(JPN)
7 2015/16 宮の森  高梨 沙羅(JPN)
8 2015/16 宮の森  高梨 沙羅(JPN)
9 2016/17 宮の森  伊藤 有希(JPN)
10 2016/17 宮の森  マーレン・ルンビ(NOR)
11 2017/18 宮の森  マーレン・ルンビ(NOR)
12 2017/18 宮の森  マーレン・ルンビ(NOR)
13 2018/19 大倉山  ダニエラ・イラシュコ-シュトルツ(AUT)
14 2018/19 大倉山  マーレン・ルンビ(NOR)
15 2019/20 大倉山  マリタ・クラマー(AUT)
16 2019/20 大倉山  エバ・ピンケルニッヒ(AUT)
17 2022/23 大倉山  カタリナ・アルトハウス(GER)
18 2022/23 大倉山  シリエ・オプセット(NOR)
19 2023/24 大倉山  エバ・ピンケルニッヒ(AUT)
20 2023/24 大倉山  伊藤 有希(JPN)
21 2024/25 大倉山  アレクサンドリア・ルティト(CAN)
22 2024/25 ② 大倉山  エイリン‐マリア・クバンダル(NOR)

 ※ 2020/21、2021/22は開催なし。

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