18歳の新星クラマーが鮮やかにワールドカップ初優勝
2020年1月11日(土)札幌(JPN)HS137/K123
4th World Cup Competition
1 | マリタ・クラマー(AUT) | 279.6pt |
2 | マーレン・ルンビ(NOR) | 275.0pt |
3 | エバ・ピンケルニッヒ(AUT) | 271.1pt |
4 | 高梨 沙羅(クラレ) | 262.3pt |
9 | 伊藤 有希(土屋ホームスキー部) | 235.9pt |
14 | 丸山 希(明治大学) | 213.6pt |
20 | 岩渕 香里(北野建設スキークラブ) | 198.1pt |
23 | 勢藤 優花(北海道ハイテクAC) | 188.7pt |
28 | 小林 諭果(CHINTAIスキークラブ) | 175.8pt |
31 | 岩佐 明香(大林組スキー部) | 79.5pt |
35 | 大井 栞(早稲田大学) | 74.8pt |
41 | 松橋 亜希(㈱ドリームリンク) | 48.9pt |
42 | 茂野 美咲(CHINTAIスキークラブ) | 予選落ち |
44 | 五十嵐 彩佳(札幌大学) | 予選落ち |
48 | 勢藤 理桜(下川商業高校) | 予選落ち |
観測史上類を見ないほどに雪の少ないこの冬の札幌。
生活をするうえでこんなにも喜ばしいことはなく、このまま春を迎えられることができればどんなに良いだろうかと切実に思う。
でもスキー場や雪まつりなどのイベントにとっては死活問題。冬季競技についても多大な影響を受けてしまい、荒井山での中学生ジャンプ大会が中止となった他、アルペンやクロスカントリーの大会も次々と中止に追いやられてしまった。
この冬の札幌での開幕試合となるWC女子札幌大会も開催が危ぶまれたが、2000年に導入された人工降雪機を初投入しての整備を連日連夜に渡って行い、1月8日にFISのチェックに合格し何とか開催にこぎつけた。
ところが最後の最後に整備機器に作動不具合が生じてしまいジャンプ台の整備が出来なかったため10日(金)に予定されていた公式練習と予選がキャンセル。
よって、11日(土)の本戦前に公式練習(2本)と予選を行うこととなった。
つまり、多い選手でこの日は5本飛ぶ。
勝ったのはオーストリアのクラマー。
今季開幕戦リレハンメルで突如現れた18歳の新星だ。
中でも注目は18歳のクラマー。
2017ヒンツェンバッハでWCデビューし、そこでいきなり29位となりポイントゲットしたものの、その後の出場は昨季までで8戦のみという選手だったが、この日突然のトップ10入り。
イラシュコ、ピンケルニッヒ、ザイフリーズベルガーとやや年齢層が高いオーストリアにとっては期待の新鋭。大きく育ってくれればいいね。
2戦目で9位、3戦目で15位と順調にキャリアを重ねつつはあったが、まさか優勝するとは。
この日は公式練習で7位・4位となった時点で、ひょっとして結構いいところに行くかもと思わせてくれたし、予選でトップになったので益々期待感は高まったけれど、それでもトップ10には入ってくるかなぁ程度の期待でしかなかった。
だから1本目で131.0mを飛んだのを見てぶったまげた。
2本目も女王ルンビを相手に臆することなくHS近くまで持っていったのには鳥肌が立った。
トップ10 & チームJAPAN
1 マリタ・クラマー(AUT)
2 マーレン・ルンビ(NOR)
3 エバ・ピンケルニッヒ(AUT)
4 高梨 沙羅(クラレ)
5 ダニエラ・イラシュコ-シュトルツ(AUT)
6 キアラ・ヘルツル(AUT)
7 カタリナ・アルトハウス(GER)
8 ニカ・クリジュナル(SLO)
9 伊藤 有希(土屋ホームスキー部)
=10 ルイサ・ゲーリッヒ(GER)
=10 ソフィア・チホノワ(RUS)
14 丸山 希(明治大学)
20 岩渕 香里(北野建設スキークラブ)
23 勢藤 優花(北海道ハイテクアスリートクラブ)
28 小林 諭果(CHINTAIスキークラブ)
31 岩佐 明香(大林組スキー部)
35 大井 栞(早稲田大学)
41 松橋 亜希(㈱ドリームリンク)
42 茂野 美咲(CHINTAIスキークラブ)
44 五十嵐 彩佳(札幌大学)
48 勢藤 理桜(下川商業高校)
この日はここが大倉山であることを忘れるほど風は穏やか。
というか完全な追い風。こんな大倉山も珍しい。
条件はほぼイーブンと言ってよく波乱など起きようもなかった。
だから、ルンビもまさかほぼ無名に近い選手に負けるとは思ってもいなかったことだろう。
WCヒルレコードとなる2本目の139.0mはクラマー以上に驚かされたが、テレマークが入らなかった
仮に18.0が並んでいればルンビの逆転だったので悔やまれると言えば悔やまれるが、あの大ジャンプで無理にテレマークを入れに行くと転倒やけがの怖れもあったので仕方ない。
3位ピンケルニッヒ、5位イラシュコ、6位ヘルツルと、トップ6に4人が入ったオーストリアに対して、ドイツとスロベニアは本来の力を発揮できなかった。
余談だけど、アップ中のクリジュナルとすれ違ったら意外と背が高くて驚いた。調べてみたら163cmとのこと。
表彰式
日本勢は高梨沙羅と伊藤有希がトップ10入り。
二人とも特に悪いところなど無いように見えたけれど周りが強すぎた。
ただ、沙羅の空中での左右のスキーのバランスが悪いように見えたのが少し気がかりと言えば気がかり。
あと一歩で予選を通過できなかった茂野美咲と、あと一歩で2本目に進めなかった岩佐明香。
WC派遣チーム入りの当落線上にいる彼女たちにとっては、たった一つの順位の違いが冗談抜きに人生を左右する。
こういうのはホントに悔しい。
一方で松橋亜希と大井栞が見事に予選を突破したし、小林諭果も見事にポイントをゲットした。
中でも大学卒業後、地道に就職先やスポンサーを探しながら活動を続けている松橋亜希が4年ぶりにこの舞台に返り咲いたことには胸が熱くなった。
この日、最も気になった選手はキンガ・ライダ(POL)。
WC出場はこれが9戦目の19歳。
ポーランドは女子の育成が遅れているけれど、ようやくモノになりそうな選手が出てきた。これまでの自己最高位の25位をこの日は4つ更新。
そんなライダをはじめとして、遠い遠いSapporoまで遥々やってきてくれた海外選手たちに敬意を表し、下手な写真ではありますが例によって何人かをピックアップしてみた。
15 ジャクリーン・ザイフリーズベルガー(AUT)
17 アンナ-オディヌ・ストローム(NOR)
21 キンガ・ライダ(POL)
25 ユリアーネ・ザイファルト(GER)
40 マヌエラ・マルジナー(ITA)
クラマーのインタビューを近くで見ていたけれど、とても表情が豊かで余裕すら感じさせる。
大物になるかも。