2017/18 FISスキージャンプワールドカップ女子個人第6戦札幌

ルンビ 圧巻の3連勝 高梨沙羅 今季最高位2位

2018年1月14日(日) 札幌(JPN)HS100/K90

9th World Cup Competition

1 マーレン・ルンビ(NOR) 251.6pt 95.5m 98.5m
2 高梨 沙羅(クラレ) 231.4pt 90.0m 93.0m
3 カタリナ・アルトハウス(GER) 230.2pt 94.0m 89.0m
 
5 伊藤 有希(土屋ホームスキー部) 218.5pt 87.0m 90.0m
10 岩渕 香里(北野建設スキークラブ)203.8pt86.0m88.5m
23 勢藤 優花(北海道ハイテクアスリートクラブ) 173.5pt 77.5m 82.0m
29 岩佐 明香(日本大学) 162.0pt 80.0m 76.0m
  小林 諭果(CHINTAIスキークラブ)予選落ち49位 

予選リザルト オフィシャル リザルト


ルンビは強かった。
2本目は条件が良かったとはいえ圧巻の98.5m。しかも、きっちりとテレマークを入れてきた。
破竹の3連勝。札幌入りした時点ではアルトハウスとイエロービブを分け合っていたが、終わってみれば60ptの差をつけて単独トップに立った。

9時前に会場入りした時点では大粒の雪。ブレーキングトラックには雪上車も入った。
長丁場になることも予想されたためか予選を15分早めて開始するとのアナウンス。
でも、そもそも降雪がひどすぎ。今日はこのまま何も観ずに帰路につくことになるかもと心配したほど。

幸いにして雪は小降りになり、予選終盤には完全に止んだ。
スタンパーさんやブロワー隊の方達のご尽力のおかげもあり、ルンビ、沙羅、アルトハウスの激闘を観ることができた。

1本目を3位で折り返した沙羅は、トップのルンビとは12.3ptもの差を開けられ、2位アルトハウスとでさえ9.0ptの差をつけられた。
やはり今日も3位どまりか… 

しかし、2本目で沙羅は93.0mを出して食らいついた。
特筆すべきは、両手をいつも以上に高く上げたテレマークスタイル。
かなり意識してそうしたのだろう。圧倒的な飛距離を見せるルンビやアルトハウスに対抗するために0.5ptでさえも落とせないという気概を感じた。

続くアルトハウスはまさかの失敗ジャンプ。
1.2pt差で沙羅が2位に。18.5ptが並んだ渾身のテレマークがここで活きた。
沙羅は3試合続ていた3位からようやく今季最高位の2位。
常にルンビとアルトハウスの後塵を拝していたが、今季初めてその一角を崩した。

1 マーレン・ルンビ(NOR)
2 高梨 沙羅(クラレ)
3 カタリナ・アルトハウス(GER)
4 イリーナ・アバクモワ(RUS)
5 伊藤 有希(土屋ホームスキー部)
6 キアラ・ヘルツル(AUT)
7 カリーナ・フォークト(GER)
8 エマ・クリネツ(SLO)
9 ウルサ・ボガタイ(SLO)
10 岩渕 香里(北野建設スキークラブ)
23 勢藤 優花(北海道ハイテクアスリートクラブ)
29 岩佐 明香(日本大学)

高梨沙羅は、昨年末は国内で相当な本数を飛んだらしい。加えて、ルシュノフのキャンセルもあり更に本数を重ねた模様。

その効果は如実に表れ、金曜の予選では今季初めてルンビとアルトハウスを抑えてトップに立った。おそらく本人的にも相当手ごたえがあったんだと思う。

ところが、土曜はルンビに14.7pt差、アルトハウスに10.4p差をつけられての完敗。
相当ショックだったんじゃないのかなと思う。
ただ、沙羅は、そして有希も表情は意外と明るい。

ヒンターツァルテン団体戦で一皮むけた岩渕香里は、この試合でも10位、予選では何と4位と好調さを維持。それだけに前日のスーツ違反での失格がもったいない。

この札幌大会では、金曜の予選で瀬川芙美佳(下川商業高校)を含む3名が、土曜第1戦は岩渕を含む3名が、日曜第2戦は1名がそれぞれスーツで失格となった。
更にこの週末は、男子WCでも予選で2名、本戦で2名がスーツで失格になっている。

毎年、ジャンプ週間開けは開幕と同じぐらいスーツのチェックが厳しくなる傾向があるように感じられるのだが、男子本戦2名の失格はスーツの長さ違反ではなく生地の通気性違反とのこと。
となると、毎年のルーティーンというよりは五輪に向けてのマテリアル重点チェック期間に入ったとみるべきか。

好調な岩渕に対して、やや不調な勢藤優花は、この2日間でも11位・23位と成績が安定しなかった。
岩佐明香は土曜に自身過去最高位の15位となったのは素晴らしかったが、この日は29位と低調。蔵王で真価を示してほしい。

茂野美咲と小林諭果は、スポンサー応援団の声援を受け土曜は共にポイントゲットしたが、この日は茂野はエントリーされず、小林は予選最下位に沈んだ。
鴨田鮎華は第1戦のみのエントリーだったが、WC初挑戦にして見事予選を突破。

1 マーレン・ルンビ(NOR)
1 マーレン・ルンビ(NOR) 2 高梨 沙羅(クラレ)
3 カタリナ・アルトハウス(GER)
マーレン・ルンビ(NOR) 横はシリエ・オプセット(NOR)
マーレン・ルンビ(NOR)

遠い遠いSapporoまではるばるやってきてくれた選手たちに敬意を表し、下手な写真ではありますが個人的な好みで何人かをピックアップしてみました。

11 ジャクリーン・ザイフリーズベルガー(AUT)
15 アンナ-オディヌ・ストローム(NOR)
17 シリエ・オプセット(NOR)
18 ジャニナ・エルンスト(GER)
24 エレナ・ルンガルディエール(ITA)
34 マヤ・ブティッツ(SLO)
35 アツコ・タナカ(CAN)
38 パク・ギュリム(KOR)
予選落ち サラ・ヘンドリクソン(USA)

さて、高梨、伊藤、岩渕、勢藤の4名は、この後は当初の予定通り蔵王、リュブノ、ヒンツェンバッハと巡って直接平昌入りする予定。

一方、アルトハウス、フォークトは蔵王をスキップするとのこと。
これで、アルトハウスは最大で200ptを失うことになる。
五輪も大事だけれど、今季はWC総合優勝も狙える千載一遇のチャンス。
こんなチャンスは2度と巡ってこないかもしれないのに…