スキージャンプFISグランプリ2025男子個人第1戦クーシュベル

リンビークが復帰初戦を勝利 小林朔太郎が初表彰台

1st Grand Prix Competition
  • 2025年8月9日(土)
  • クーシュベル(FRA)
  • HS132/K125

Official Results

1  マリウス・リンビーク(NOR) 277.7pt
2  フィリップ・ライムント(GER) 272.3pt
3  小林 朔太郎(雪印メグミルクスキー部) 271.4pt
 
9  中村 直幹(Flying Laboratory SC) 237.4pt
25  竹内 択(team taku) 201.5pt
34  佐藤 慧一(雪印メグミルクスキー部) 83.7pt
   佐藤 幸椰(雪印メグミルクスキー部) スーツ失格

予選リザルト 本戦リザルト


2025年3月の世界選手権男子ラージヒルで起こったノルウェーによるスーツ不正問題。
その問題に決着がついたのか否か、ついたのだとしてどのような決着がついたのか。
FISは過去の不正を含めて現時点でも調査を継続中のはずなので、決着はついていないというのが私の認識。

ただ、一つ確かなのは、この問題を受けてFISが今シーズンからスーツに関して厳格なルールを定めたこと。
もっとも、今までだって厳格なルールはあった。でも、運用面でそれがうまく機能せず、チェックをすり抜けてしまうことを結果的に許してきた。誤解を恐れずに敢えて言えば、このすり抜けは半ば公然と行われてきたものもあったようにさえ私の眼には映る。

今季の厳格化は、このすり抜けを徹底的に排除しようとするものだろう。
現に、この開幕戦において、前日チェックで7~8人、予選で3人、本戦で6人がスーツの違反で失格になっている。

2022年北京五輪、2025年世界選手権と、注目度の高い大きな大会でスーツの問題を起こしてしまった。
もし2026ミラノ・コルティナ五輪で同様の問題が起これば、この競技は壊滅的な打撃を受けることにもなるだろう。
FISの本気度が問われている中で、開幕からその姿勢を実行力を伴って明確に示したことは評価したい。

こうした状況で迎えた最初の試合で、不正問題の渦中にあったマリウス・リンビークが勝利した。
この結果を皮肉と取るか、FISの本気度の象徴と取るか。

リンビークはGP通算4勝目。
1本目5位から表彰台を掴んだフィリップ・ライムントはGP初表彰台。WCでも2位表彰台が一度ある。

そして3位に小林朔太郎。WC・GPを通じて初の表彰台。
札幌市長杯での連勝を受けて、「以前、朔太郎はいずれWCで勝てる選手になると予言めいたことを書いたことがあるが、そうした雰囲気がいよいよ立ち始めてきたと感じられる」と書いたが、限りなくそこに近づいたと感じさせる。

さらに驚かされたのが竹内択。
当初この遠征には選出されていなかったが、理由は不明ながら小林潤志郎に代わって急遽参戦が決定。そこでしっかり結果を出した。
ここ数年の竹内択は、このような場面で結果を出し自らチャンスを切り拓いている。勝負所を嗅ぎ分け、一撃必殺でチャンスをものにするベテランの妙味。

ところで、新しい失格のルールはちょっと曲者。
2本目で失格になった選手は、1本目の記録も抹消される?
で、1本目で脱落した31位以下の選手が繰り上がり、2本目を飛んでいないのにポイントが与えられる?

この試合では、カリニチェンコ、ロート、モゲルの3名が2本目で失格。
彼らの1本目の記録は最終リザルトから抹消され、代わって1本目で31位だったカプスティク、32位のオブラック、33位のイエラルが3つ順位が繰り上がりポイント獲得ということらしい。

なお、日曜日の試合は男女ともに新フォーマットで開催される。
色々と変わりすぎて追いつけない。

女子…

  • 予選を通過した40名を、5名ずつ8つのグループに分ける。
  • 各グループ上位2名(計16名)と、それ以外の上位4名(ラッキールーザー)の計20名が決勝ラウンドに進出。
  • 決勝ラウンドは前のラウンドのポイントを引き継がない。つまり、決勝ラウンドの得点のみで最終結果が決まる。

男子…

  • 予選を通過した50名を、5名ずつ10のグループに分ける。
  • 各グループ上位2名(計20名)と、それ以外の上位5名(ラッキールーザー)の計25名が決勝ラウンドに進出。
  • 決勝ラウンドは前のラウンドのポイントを引き継がない点は女子と同じ。