スキージャンプFISワールドカップ2023/24女子個人第9戦札幌

初優勝の地でピンケルニッヒが今季2勝目 ラウティオンアホはフィンランドに10季ぶりの表彰台をもたらす

9th World Cup Competition
  • 2024年1月13日(土)
  • 札幌(JPN)
  • HS137/K123

Official Results

1  エバ・ピンケルニッヒ(AUT) 195.7pt
2  イェニー・ラウティオンアホ(FIN) 193.3pt
3  エイリン‐マリア・クバンダル(NOR) 192.5pt
 
4  高梨 沙羅(クラレ) 190.1pt
5  伊藤 有希(土屋ホームスキー部) 189.4pt
14  勢藤 優花(北海道エネルギースキー部) 145.7pt
19  丸山 希(北野建設SC) 136.0pt
23  岩佐 明香(大林組スキー部) 115.9pt
26  宮嶋 林湖(松本大学) 111.1pt
35  一戸 くる実(CHINTAIスキークラブ) 39.5pt
37  佐藤 柚月(札幌日大高校) 34.9pt
38  岩崎 里胡(下川商業高校) 30.2pt
   小林 諭果(CHINTAIスキークラブ) 予選45位
   櫻井 梨子(あいおいニッセイ同和損保) 予選48位
   五十嵐 彩佳(ガスワンスキーチーム) 予選50位

予選リザルト 本戦リザルト


大雪に見舞われた大倉山。
視界が奪われ、アプローチスピードや着地にも影響が出たものと思われる。
危険を避けてか運営はかなり慎重なゲート設定を行った。
K点に届いた者は一人もおらず、120mに届いたのは僅かに3本のみ。

そんな試合を制したのはピンケルニッヒ。
1本目トップのニカ・プレヴツから8.3pt離れた2位で折り返したが、プレヴツが全70本中5本にしか吹かなかった追い風に当たってしまい失速。逆転で優勝を手にすることとなった。

ピンケルニッヒにとって、ここ札幌大倉山は2020年にワールドカップ初優勝を遂げた思い出の地。
今季は膝の不調により第5戦から出場し始めたが、第6戦オーベルストドルフで優勝し、続く2試合はいずれも2位。
そしてここに今季2勝目を挙げ、4試合少ないにもかかわらず総合3位に浮上した。

2位のラウティオンアホはWC初表彰台。
今季は2度の5位があり表彰台が近いことを感じさせてはいたが、一気に殻を破った。
フィンランド勢にとっては、2013/14ファルンでユリア・キュッカネンが3位となって以来10季ぶりの表彰台。

Top10 & Team Japan

1 エバ・ピンケルニッヒ(AUT)
2 イェニー・ラウティオンアホ(FIN)
3 エイリン‐マリア・クバンダル(NOR)
4 高梨 沙羅(クラレ)
5 伊藤 有希(土屋ホームスキー部)
6 シリエ・オプセット(NOR)
7 カタリナ・シュミット(GER)
8 ジャクリーン・ザイフリーズベルガー(AUT)
9 エマ・クリネツ(SLO)
10 ニカ・プレヴツ(SLO)
14 勢藤 優花(北海道エネルギースキー部)
19 丸山 希(北野建設SC)
23 岩佐 明香(大林組スキー部)
26 宮嶋 林湖(松本大学)
35 一戸 くる実(CHINTAIスキークラブ)
37 佐藤 柚月(札幌日大高校)
38 岩崎 里胡(下川商業高校)
予選45位 小林 諭果(CHINTAIスキークラブ)
予選48位 櫻井 梨子(あいおいニッセイ同和損保)
予選50位 五十嵐 彩佳(ガスワンスキーチーム)

金曜日に行われるはずだった予選が土曜日に順延となった。
悪天候によるものではなく、スロベニア、カナダ、ルーマニア、コソボの各チームにロストバゲージが発生したため。

実は昨年の女子札幌大会でもロスバゲにより予選が本戦当日に順延になっている。
その時は間に合ったが、今回は間に合わず、ルティト、ストレイト、クリジュナルといった表彰台を狙える選手たちを含む6名が予選に出場することができなかった。

そんな中、イエロービブのニカ・プレヴツは高梨沙羅の板を借りて出場に漕ぎ着けた。
スロベニア側からのお願いに対して快諾したらしく、日本チームのサービスマンがプレヴツのブーツに合うようにビンディングを付け替えることまで行ったらしい。

また、スーツはルティトから借りた。上に掲載した写真を見ると、左肩の部分にカナダの国旗がついている。

イエロービブで札幌に乗り込んだプレヴツ。
しかし、金曜日の公式練習を飛べず、ぶっつけ本番で臨んだ予選は自前のスキーではなかった。そのためか空中で大きくぶれた。
本戦には自前のスキーが間に合ったが、追い風とはいえ2本目で失速した姿は、やはり一連の出来事で調子を狂わされてしまったように思える。

なお、カトラ・コマールは伊藤有希に板を借り、エマ・クリネツはカタリナ・シュミットに板を、宮嶋林湖にスーツを借りて予選に出場することができた。
上に掲載した写真を見ると、クリネツのスーツの腕の部分に日本チームのスポンサーがついている。

プレヴツ、クリネツ、コマールは3人とも無事に予選を通過し、本戦でポイントを獲得。
最上の結果ではなかったかもしれないが、最悪の結果は避けられた。

助け合いの精神を見せた日本の3選手は揃って好結果を出した。
高梨沙羅は今季自己最高位の4位。
伊藤有希は2本目はトップの得点で5位。
宮嶋林湖も26位となり今季初ポイントを獲得。

表彰式

勢藤優花は今季自己最高位の14位。
丸山希も今季自己最高位の19位。
実力者二人が日本のファンの前で地力を見せた。

夏に好調だったが選考基準に涙をのんだ岩佐明香が、海外遠征チームに割って入り日本勢5番手となる23位。昨年の札幌大会以来1年ぶり16回目のポイント獲得。
やや過小評価されていしまっている選手の一人だと思うので、これをきっかけに飛躍してもらいたい。

高校2年生の佐藤柚月は、昨年は札幌・蔵王ともに予選で敗退したが、ついに予選を突破しWC初出場を果たした。
高校3年生の岩崎里胡は、WC初挑戦で見事に予選を突破。WC初出場を果たした。

ピックアップ ギャラリー

終始降り続いた大粒の雪は、選手と運営にとっても厄介だっただろうが、観客にとっても厄介だった。
ただでさえ難しい夜の撮影が、大粒の雪によって余計に難しくなる。
本戦の写真は、ほぼ全滅状態なので、掲載した写真はほとんどが予選の時のもの。

撮れ高は少ないけれど、遠い遠いSapporoまで遥々やってきてくれた海外選手たちに敬意を表し、下手な写真ではあるが例によって何人かをピックアップしてみた。

16 ユリア・ミュールバッハ(AUT)
17 ジョセフィーヌ・パニエ(FRA)
20 セリーナ・フライターク(GER)
22 カトラ・コマール(SLO)
24 アニカ・ シーフ(ITA)

WC総合順位

下の写真は表彰式が始まる前に撮ったもの。
試合が終わると雪が止む法則が発動。

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