中山和 シニア初優勝 渡部陸太 大倉山3連勝
2021年2月13日(土)札幌市 大倉山ジャンプ競技場 HS137/K123
女子組(基本ゲート1本目32、2本目32)
1 | 中山 和(下川商業高校) | 180.9pt |
2 | 岩佐 明香(大林組スキー部) | 180.3pt |
3 | 大井 栞(早稲田大学) | 169.0pt |
男子組(基本ゲート1本目20、2本目19)
1 | 渡部 陸太(東京美装グループスキー部) | 249.5pt |
2 | 栃本 翔平(雪印メグミルクスキー部) | 248.6pt |
3 | 渡部 弘晃(東京美装グループスキー部) | 235.6pt |
4 | 内藤 智文(古河市スキー協会) | 234.7pt |
5 | 葛西 紀明(土屋ホームスキー部) | 234.6pt |
6 | 藤田 慎之介(東海大学) | 232.3pt |
2月なのに嘘のように暖かい。そして、大倉山なのに嘘のように風がない。
無風ではないのでアタリハズレが完全になくなるわけではないけど、これぐらいであればWFがしっかりと仕事をしてくれる。おかげで極めて公平な試合となった。
優勝争いは男女ともに僅差の争いとなり、男子においては表彰台争いもまた僅差の争いとなった。
女子組では16歳の中山和がシニア初優勝。
昨秋の大会から一気に頭角を現した高校1年生だ。
見事な成績過ぎてため息が出る。
2月7日のインターハイでは優勝も遂げている。
シニア初優勝は同学年の一戸くる実(吉田杯優勝)に先を越されたが、中山和の初優勝はラージヒル。
TVh杯では2017年に鴨田鮎華が同じく高校1年生で初優勝を遂げているが、「ラージヒル×高校1年生×初優勝」のインパクトはデカい。
「(大倉山は)いつもは強い風が吹くことが多いが、今日はあまり吹いていなくて安心して飛べた」のだそうだ。
今日は公平な試合。決して一人だけラッキーな風をもらって勝てたわけではないことがスゴイ。
女子組
男子組
「全然飛ばないね」
おそらくは初めて観戦に来た方なのだろう。観客の中からそんな声が漏れ聞こえてきた。
確かにこの試合は少し地味な印象を受けた。風が無いので大ジャンプが出ない。
女子組でK点を超えたのは126.0mの小林諭果のみ。
男子組で130.0mを超えたのは71本中7本。
しかし、風の助けがない分、選手の実力が如実に出た試合だったとも言える。
その意味では、やや玄人好みの試合だったのかもしれない。
運営は、男子の2本目のラスト10人でゲートを1段上げた。
追い風がやや強まってきた為であって、決して「全然飛ばないね」の声がジャッジタワーに届いたからではないだろうが…
おかげてラスト10人のバトルは非常に面白いものとなった。
安全性と公平性。それとスペクタクル性をいかに両立させるか。
あらためて思うが、なんとも悩ましい台。いや、悩ましい競技。
表彰式
男子組の優勝は渡部陸太。
先月のHTBカップでシニア初優勝を遂げたばかり。
続く雪印メグミルク杯を制し、次いでこの日の勝利。
これで大倉山3連勝。
1本目トップながら、最後は0.9pt差で逆転を食らった栃本翔平が2位。
とっち―は、この秋冬はホントに調子がよさそうで、ほとんど失敗がない。
着地もきれいで、それもアドバンテージになっていると思う。
葛西紀明は2戦連続の5位入賞。
しかも、2戦連続で2本目はトップスコア。
スリップ現象でスランプに陥る前に比べるとずいぶんと低いところを飛んでいるけれど、最悪な頃に比べて終盤で無理なくフライトを続けられている印象がある。
2日前の雪印メグミルク杯で表彰台に還ってきた内藤智文は、この日も表彰台争いを演じた。
安定した成績を出し続けている3位の渡辺弘晃との差は僅かに0.9pt。
4位の内藤と5位の葛西の差は0.1pt。葛西と6位の藤田慎之介の差も2.3ptしかない。
公平な条件が実力伯仲の選手たちの好バトルを生んだと見える。
TVhのテレビ中継は放送時間も長く、多くの選手をカットせずに中継に載せてくれる。
他の局はタレントを起用したりして肝心の競技はバッサリとカット。
数字を稼ぐためには仕方がないのだろうけれど、やはり見る側としてはフラストレーションがたまる。
奇しくも、同日に行われたザコパネでのワールドカップでは、空中からの映像など趣向を凝らした演出がかえって見づらくて邪魔になっていた。
スポーツ中継は、余計な手を加えたりしないでそのまま見せてくれればそれでいいのに。