伊藤有希 小林陵侑ともに逆転で2連勝 坂野旭飛 史上初V
2020年11月1日(日)札幌市 大倉山ジャンプ競技場 HS137/K123
女子組(基本ゲート1本目21、2本目23)
1 | 伊藤 有希(土屋ホームスキー部) | 246.4pt |
2 | 高梨 沙羅(クラレ) | 239.7pt |
3 | 丸山 希(明治大学) | 212.5pt |
少年組(基本ゲート1本目15、2本目13)
1 | 坂野 旭飛(札幌栄南中学校) | 156.7pt |
2 | 高田 雄生(東海大学付属札幌高校) | 93.2pt |
3 | 森 恢晟(札幌福井野中学校) | 70.9pt |
4 | 桑田 匠(五所川原農林高校) | 65.5pt |
5 | 辻 創太(東海大学付属札幌高校) | 60.2pt |
6 | 中村 正幹(東海大学付属札幌高校) | 51.3pt |
成年組(基本ゲート1本目15、2本目13)
1 | 小林 陵侑(土屋ホームスキー部) | 269.1pt |
2 | 伊東 大貴(雪印メグミルクスキー部) | 263.9pt |
3 | 佐藤 慧一(雪印メグミルクスキー部) | 257.6pt |
4 | 佐藤 幸椰(雪印メグミルクスキー部) | 242.4pt |
5 | 岩佐 勇研(東京美装グループスキー部) | 241.0pt |
6 | 栃本 翔平(雪印メグミルクスキー部) | 224.8pt |
前日のUHB杯と同様に風向風速が定まらないこの日の大倉山。
体感的には向かい風は前日より幾分収まっていたように思えたし、数値上もそのように見える。
ただし、最小風速と最大風速の差は、女子においては前日より少なかったが、男子においては2本目ではむしろ上回っている。
やはりこの日も条件の整わない難しい試合だった。
Rd | 最小 | 最大 | 平均 | 差 | ||||
UHB | 市長 | UHB | 市長 | UHB | 市長 | UHB | 市長 | |
女子1本目 | +0.39 | +0.63 | +1.89 | +1.55 | +1.10 | +1.05 | 1.50 | 0.92 |
女子2本目 | +0.59 | ー0.11 | +2.14 | +1.23 | +1.27 | +0.46 | 1.55 | 1.34 |
男子1本目 | +0.27 | ー0.21 | +1.95 | +1.41 | +1.05 | +0.45 | 1.68 | 1.62 |
男子2本目 | +0.46 | ー0.65 | +2.26 | +1.28 | +1.19 | +0.50 | 1.80 | 1.93 |
しかし、試合展開は前日とは随分と趣きが異なるものだった。
前日の運営が、強い向かい風に対してややイケイケ調に感じられたのに対して、この日は打って変わって慎重。細やかなシグナルコントロールとゲート変更が行われた。
そのせいもあって、前日の試合に要した時間(女子1本目開始~男子2本目終了)が2時間36分だったのに対して、この日は3時間27分。
両日のエントリー数はほぼ同数だったのにもかかわらず実に50分もの違いがある。
もっともこの日は、得点集計システムが不具合を起こして茂野美咲が飛び直しを行う20分ほどの中断があった。
でも、それを差し引いても30分の差。
30分あればサクサク進むときであれば30人が飛べる。つまり決して小さくない差だ。
もう一つ大きく差がついたのは集客。
前日の賑わいが嘘のように閑散とした。
前日のUHB杯は、今や札幌で最も集客に力を入れている大会。ファミリー向けのイベントを併催し、テレビCMやネットで事前告知をバンバン打ち、無料券も配布した。
対して市長杯はほぼ宣伝無し。
差が出て当然だ。
女子組
少年組
成年組
女子は伊藤有希が連勝。
高梨沙羅に3連敗を喫してからの2連勝だが、ここまで二人は驚くほどの接戦を演じてきている。
白馬からのここまで5試合の総得点数が僅かに2.5ptしか違わない!
大会 | 高梨沙羅 | 伊藤有希 | ||
全日本NH | 122.1 1位 | 優勝 | 116.1 2位 | 2位 |
109.4 2位 | 110.7 1位 | |||
SBC杯 | 122.4 1位 | 優勝 | 117.1 2位 | 2位 |
122.1 2位 | 126.6 1位 | |||
札幌市長杯NH | 119.8 1位 | 優勝 | 109.6 2位 | 2位 |
116.9 2位 | 120.7 1位 | |||
UHB杯 | 124.2 3位 | 2位 | 130.8 1位 | 優勝 |
130.0 2位 | 131.1 1位 | |||
札幌市長杯LH | 111.7 1位 | 2位 | 111.1 2位 | 優勝 |
128.0 2位 | 135.3 1位 | |||
合計 | 1,206.6 | 1,209.1 |
ラウンドごとに見ると、沙羅がトップを獲ったのは4回なのに対して有希は6回。
とにかく、今季ここまでの有希の出来は素晴らしい。
一方、ちょっと気になるのが沙羅の空中フォーム。
今までに比べて随分と後ろに手を引いているように見える。
風の影響かとも思ったけど、少なくとも札幌でのこの2試合は撮影したどの写真を見ても後ろに手を引いていて、その分上体が立ち気味のように見える。
沙羅は、この1~2年でいろいろなことを試してきた。
この空中フォームもそのうちの一つなのかもしれないが、素人目に見てあまり効率がよさそうには見えない。
まぁ、あくまでも素人目に見てのハナシ。
少年組では、中学3年生の坂野旭飛が優勝。
今年で21回目の札幌市長杯ラージヒル少年組において、中学生の優勝者は初めてとのことらしい。
なお、旭飛くんの父親は雪印で活躍された坂野幸夫さん。
「パパーがんばれー!」
第3回クラレカップ ジュニアサマージャンプ朝日大会
大倉山のブレーキングトラック横で声をからして応援する少年の姿を見た。
スタートゲートには坂野幸夫。
今思えば、あの少年が旭飛くんだったのだろう。
その横でママに抱かれていた女の子がおそらくひなたちゃん。
飛び終えた坂野選手とその家族はブレーキングトラックのフェンス越しに仲睦まじく言葉を交わしていた。
坂野さんが引退するシーズンの思い出深き一コマ。
個人的なこの日のハイライトは、岩佐勇研が1本目でトップに立ったこと。
勇研は2016年白馬NBS杯で高校生ながら葛西紀明、伊東大貴、竹内択らのフルメン相手に優勝という離れ業を演じているけれども、社会人となってからの初優勝は今年2月のTVh杯で、その時はWC組を欠いていた
フルメン相手の勝利がすぐそこに迫り、個人的には最高潮に盛り上がったけれど、好調な雪印勢と前日の優勝で勢いに乗る小林陵侑に逆転を許して表彰台すら失ってしまった。
でも勇研は、ここまで5位、5位、6位、6位、5位と全て入賞。
殻を破る日は近いと信じている。
表彰式
女子組のエントリーは24人。表彰は3位まで。
少年組のエントリーは11人。表彰は6位まで。
バランスが悪い。
こういうところはどんどん改善していってほしい。