第33回UHB杯ジャンプ大会

伊藤有希143m 小林陵侑 141.5mで互いに今季初優勝

2020年10月31日(土)札幌市 大倉山ジャンプ競技場 HS137/K123

女子組(基本ゲート1本目23、2本目20)

1  伊藤 有希(土屋ホームスキー部)  261.9pt
2  高梨 沙羅(クラレ) 254.4pt
3  丸山 希(明治大学) 252.3pt

リザルト

男子組(基本ゲート1本目10、2本目9)

1  小林 陵侑(土屋ホームスキー部)  276.6pt
2  佐藤 幸椰(雪印メグミルクスキー部)  275.3pt
3  伊東 大貴(雪印メグミルクスキー部) 267.1pt
 
4  佐藤 慧一(雪印メグミルクスキー部) 253.9pt
5  小林 潤志郎(雪印メグミルクスキー部) 247.3pt
6  岩佐 勇研(東京美装グループスキー部) 237.8pt

リザルト


この日から大倉山は4連戦。
木曜日に行われた宮の森での試合を含めて6日間で5試合が集中開催される。
こうなった理由はもちろんコロナ。
夏に開催される予定だった札幌市長杯宮の森NH、同大倉山LH、大倉山チャレンジカップの3試合が延期となり、もともと秋(というより初冬)に開催される予定だったUHB杯、NHK杯と同時期に開催される運びとなった。

さて、この札幌の5試合では、感染対策として先ずは入場者数を限定。そのためにチケット販売は前売りのみとし、その数を1000枚に絞った。
入場時には検温、手指の消毒、氏名・連絡先等の書類への記入が求められ、会場内では声を出しての応援も制限された。

もっとも、UHB杯に関していえば、昨年同様にファミリー向けのイベントを併催し、テレビCMやネットで事前告知をバンバン打ち、いつもどうり無料券を配布し、子供連れであれば親は無料とし、入場数の制限は1,500人。

これでほんとに入場数を把握できるのか少し心配させられはしたけれど、一方で集客は欲しい。
感染対策と集客対策との間でギリギリのせめぎあいがあったであろうことは想像に難くはないが、いずれにしてもこの日は多くの観客が集まった。

ここ2、3年では、UHB(北海道文化放送)が最も集客に力を入れている。
おそらくは相当金もかけているはずなので、そういう会社が冠となる大会が盛況のうちに行われたことは素直にうれしく思う。

女子組

1 伊藤有希(土屋ホームスキー部)
2 高梨 沙羅(クラレ)
3 丸山 希(明治大学)
4 小林 諭果(CHINTAIスキークラブ)
5 勢藤 優花(北海道ハイテクAC)
6 岩佐 明香(大林組スキー部)

男子組

1 小林 陵侑(土屋ホーム)
2 佐藤 幸椰(雪印メグミルクスキー部)
3 伊東 大貴(雪印メグミルクスキー部)
4 佐藤 慧一(雪印メグミルクスキー部)
5 小林 潤志郎(雪印メグミルクスキー部)
6 岩佐 勇研(東京美装グループスキー部)

K点付近は選手左斜め下からの強めの風。
上の方では枯れ葉が右往左往しながら舞う。どうやら風はかなり巻いているらしい。
今日は長くなるぞ、と覚悟した。

が、意外にもサクサク進んだ。
運営は割り切ったのか、シグナルコントロールもゲート変更も最小限に試合を進めた。
その様はややイケイケ的にも感じられ、結果としてヒルサイズジャンプが6本飛び出し、夏のヒルレコードは男子で二つのタイ記録が生まれ、女子は3度塗り替えられた。

  • 女子 従前 高梨沙羅 131.0m(2019.10.27)
     → 丸山希 132.0m(2本目)
     → 高梨沙羅 138.0m(2本目)
     → 伊藤有希 143.0m(2本目)
  • 男子 従前 小林陵侑 141.5m(2019.8.3)
     → 伊東大貴 141.5m(2本目)
     → 小林陵侑 141.5m(2本目)

昨シーズンあたりから札幌の運営は、それまでに比べてHSを意識した抑制の効いた運営をするようになってきたと感じていた。
ところがこの日は、また以前に戻ってしまったかのような飛ばしあい。特に男子2本目は最後の4人(佐藤慧一、伊東大貴、小林陵侑、佐藤幸椰)が全員ヒルサイズを超えたが、シグナルコントロールもゲート変更もなくそのまま突き進んだ。

う~ん…
これで良かったのかどうかは少し疑問がないわけではないが、会場のお客さんもテレビの前の視聴者も大いに盛り上がったようなので良しとしよう。

伊藤有希は、白馬記録会での優勝はあるが、その時は沙羅が出場していないし、A級公認試合としてはその沙羅の連勝を3で食い止め今季初優勝。
沙羅の3連勝中は2位に甘んじ続けたが、いずれも僅差。この日は条件が良かったとはいえ143.0mの特大アーチ。
今季の有希は期待して良いと思える。

小林陵侑は、ここまで4位(白馬記録会)、6位(全日本NH)、7位(全日本LH)、10位(宮の森サマー)と優勝はおろか表彰台すらなかったが、ようやく初優勝。全日本選手権二冠の佐藤幸椰を逆転で下した。

表彰式

女子組
男子組
男子組

きらりと輝く高校生を紹介したい。

中山なごみは、下川商業高校の1年生。
中学時代は、やや同期の一戸くるみ(N高等学校)の陰に隠れていたが、高校生になってめきめきと力をつけてきた。
白馬記録会9位、全日本NH13位、SBC杯8位、宮の森サマー8位、そしてこの日は10位と、今やトップ10の常連だ。

10 中山 和(下川商業高校)

さて、この日の場内実況は昨年のUHB杯と同じく例のMC氏。ここ数年の男女WCでもMCを務める彼だ。
昨年は青野さんがサポートについていたが、今年は完全に一人で仕切った。

自分で用意したのか用意してもらったのかはしらないが、選手の情報を原稿を見ながらコールの際に伝えるなど、何の準備もせずに臨んでいたと思わせた今までに比べると随分と改善されてきた。
「ゼッケン」や「ブルーシグナル」などは最初は違和感あったけれど、 間違っているわけではないので直に慣れたし、FMラジオDJ特有のクセのあるしゃべり方もだいぶ抑えられて聴きやすくなった。

このブログで今までさんざん文句を言ってきたせいかどうかはわからないが、個人的にはかなり良くなったと思われる。
いずれにしても、今後もUHB杯とWCは彼がMCを務めるのだろうから、慣れて受け入れた方が精神衛生上よろしいと悟った。

ただ、1点だけ注文がある。
2本目の選手コールの際に「ネクストジャンパー、ゼッケン86、藤田慎之介、東海大学」と紹介するんだけど、これだとスタート番号ががわからない。
青野さんやカタダさんは「20番、藤田慎之介、東海大学、ビブナンバー86」 と、最初にスタート番号を言ってくれる。

スタート番号がわかると、逆算して1本目の順位がわかるし、あと何人飛ぶのかもわかる。
もちろん2本目のスタートリストを見ればわかることなんだけれど、皆が皆リストとにらめっこしながら試合見ているわけではないので、アナウンスしてくれた方が親切。

それと相棒のDJ氏には、音楽のボリュームをもう少し絞ってもらいたい。
肝心のMCが聞こえにくい。ラップ調の音楽だとMCと重なってなおさら聞こえない。

大倉山の電光掲示板は6位までしか表示されないし、ウィンドファクターやゲート番号などは表示されない。
だから、場内放送での情報だけが頼りとなる。
情報がないと試合の状況や流れがつかめなくて競技観戦としての面白さが半減してしまう。

2019/20 FISスキージャンプワールドカップ女子個人第5戦札幌