スキージャンプFISワールドカップ2022/23男子個人第15戦札幌

大倉山に愛された男クラフトがV 小林陵侑は連続表彰台

2023年1月21日(土)札幌(JPN) HS137/K123

スキージャンプワールドカップ札幌大会2023

17th World Cup Competition

1  シュテファン・クラフト(AUT) 283.5pt
2  ハルヴォア-エグナー・グランネル(NOR) 277.9pt
3  小林 陵侑(土屋ホームスキー部) 276.1pt
 
28  佐藤 慧一(雪印メグミルクスキー部) 212.9pt
30  二階堂 蓮(日本ビールスキー部) 203.5pt
40  小林 潤志郎(雪印メグミルクスキー部) 102.0pt
41  竹内 択(team taku) 100.9pt
42  岩佐 勇研(東京美装グループスキー部) 100.6pt
48  原田 侑武(雪印メグミルクスキー部) 88.0pt
51  内藤 智文(米沢スキージャンプクラブ) 78.4pt
   葛西 紀明(土屋ホームスキー部) 予選55位
   佐藤 幸椰(雪印メグミルクスキー部) 予選56位
   中村 直幹(Flying Laboratory SC) 予選57位
   清水 礼留飛(雪印メグミルクスキー部) 予選61位

予選 リザルト


3年ぶりの開催となったWC札幌大会第1戦での小林陵侑の20試合ぶり、かつ札幌では初となる勝利の興奮と感動の余韻が残る大倉山。
第2戦・3戦のエキサイティングゾーンのチケットは既にSold Out。そこに昨日の試合の結果を見て急遽応援に駆け付けた人たちも加わっただろうか。たくさんの観客が集まり舞台は整った。

しかし、陵侑は1本目で11位に甘んじた。
札幌に帰ってくる前までの最高位は7位。トップ10はそれを含めて3度だけ。2本目に進めないことも3度あった。
昨日は、そんな不振が嘘のような勝利。でも、それは一夜だけのことだったのか…

そんな不安をよそに、追い風傾向となった2本目でモンスターは真価を発揮する。
ヒルサイズオーバーの137.5m。飛型点はオール19点。本人も「今季一番良い」と振り返った最高のパフォーマンス。場内は一気に沸きあがった。

グランネルとクラフトを逆転することはできなかったが、ストッフ、クバツキなどの名うての猛者8人を捲っての2試合連続表彰台となる3位。
この日もまた大倉山の観客は凄いものを観させてもらった。

Top10 & Team Japan

シュテファン・クラフト
1 シュテファン・クラフト(AUT)
ハルヴォア-エグナー・グランネル
2 ハルヴォア-エグナー・グランネル(NOR)
小林 陵侑
3 小林 陵侑(土屋ホームスキー部)
ダヴィド・クバツキ
4 ダヴィド・クバツキ(POL)
ダニエル・チョフェニック
5 ダニエル・チョフェニック
マニュエル・フェットナー
6 マニュエル・フェットナー(AUT)
アンドレアス・ヴェリンガー
7 アンドレアス・ヴェリンガー(GER)
カミル・ストッフ
8 カミル・ストッフ(POL)
ピオトル・ジワ
9 ピオトル・ジワ(POL)
ザク・モゲル
10 ザク・モゲル(SLO)
佐藤 慧一
28 佐藤 慧一(雪印メグミルクスキー部)
二階堂 蓮
30 二階堂 蓮(日本ビールスキー部)
小林 潤志郎
40 小林 潤志郎(雪印メグミルクスキー部)
竹内 択
41 竹内 択(team taku)
岩佐 勇研
42 岩佐 勇研(東京美装グループスキー部)
原田 侑武
48 原田 侑武(雪印メグミルクスキー部)
内藤 智文
51 内藤 智文(米沢スキージャンプクラブ)
葛西 紀明
予選55 葛西 紀明(土屋ホームスキー部)
佐藤 幸椰
予選56 佐藤 幸椰(雪印メグミルクスキー部)
中村 直幹
予選57 中村 直幹(Flying Laboratory SC)
清水 礼留飛
予選61 清水 礼留飛(雪印メグミルクスキー部)

佐藤慧一が今季14戦目にして遂にポイントを獲得。
この大会には、選考会とCOC札幌大会を経て出場権をつかんだ。
意地もプライドもあっただろうが、これでようやく長いトンネルを抜け出すことができた。

日本勢は総じて風に泣かされた。
二階堂蓮は1本目を14位で折り返し上位フィニッシュも視野に入ったが不運な追い風に当たってしまい万事休す。

2戦連続で予選を通過してきた岩佐勇研、内藤智文も追い風の条件に当たってしまった。
特に内藤は全選手中で最も強い追い風。大倉山の風は天使にもなれば悪魔にもなる。

前日30位だった中村直幹は予選を通過できず、佐藤幸椰は2試合連続での予選不通過となってしまった。
チームは帰国後に新スーツを投入し、それが陵侑の復活の要因ともなっている。でも幸椰にはこれがしっくりこなかったらしく、最終日には元のスーツに戻したらしい。

陵侑の活躍で見えにくくなっているかもしれないが、チームJAPAN全体でみると苦しい状況はまだ続いている。

表彰式

小林陵侑とグランネルからの猛追を受けながらもクラフトはトップを守り切った。
いずれも条件が良かったとはいえ、この日の最長不倒となる139.0mとヒルサイズに迫る135.5mの2本を揃えた。

低い! これではK点まで届かない! という心の声を、いつも簡単に裏切ってどこまで行っても落ちない様は何度見ても騙される。
そして、おそらくそれゆえにテレマークが無理なく入れられる。2本の飛型点は全て19点台。見事な着地はクラフトの強みの一つだ。

今季2勝目。通算27勝目。そのうちの4勝を札幌で挙げており、クラフトにとっては現時点で最も勝利を挙げている台が大倉山だ。

クラフトが複数回優勝した台

 札幌 4回
 オーベルストドルフ FH 3回
 ラハティ 3回
 オーベルストドルフ LH 2回
 ザコバネ 2回
 オスロ 2回
 プラニツァ 2回
 リレハンメル 2回

また、札幌での表彰台は、その4勝を含む8回。
2017/18、2020/21、2021/22は開催されていないので、2016/17以降の4大会は毎回表彰台に上っており、2018/19以降の3大会で連続して勝利を収めていることになる。

札幌大会におけるクラフトの表彰台

2014/15 第1戦 2位
2016/17 第1戦 3位
2016/17 第2戦 3位
2018/19 第1戦 優勝
2018/19 第2戦 優勝
2019/20 第1戦 2位
2019/20 第2戦 優勝
2022/23 第2戦 優勝

ちなみに、この日の勝利後にクラフトは、この台には運が不可欠であることを認めたうえで「このジャンプ台とアイストラックはとにかく素晴らしい」と語ったようだ。
大倉山に愛された男クラフト。大倉山とは相思相愛。

ピックアップ ギャラリー

1本目で3位となってアッと言わせたアレクサンダー・ズニシチョル。
2本目は風の不運もあり結果は25位。3度目のトップ10入りはならなかった。
同じく1本目で9位だったクレメンス・アイグナーも結果14位と健闘したが、4度目のトップ10入りはならなかった。

二人は札幌のコンチネンタルカップ(COC)で活躍した選手。
アイグナーは2019年の3戦全勝を含む4勝を挙げており、ズニシチョルも2017年に表彰台に上がっている。
また、出場9戦目で最高位10位となったザク・モゲルは先週のCOC札幌で表彰台に立っている。
こうした選手達がWC札幌大会で活躍してくれるのはとてもうれしい。

そんなズニシチョルとアイグナーをはじめとして、遠い遠いSapporoまで遥々やってきてくれた海外選手たちに敬意を表し、下手な写真ではあるが例によって何人かをピックアップしてみた。

クレメンス・アイグナー
14 クレメンス・アイグナー(AUT)
グレゴール・デシュバンデン
15 グレゴール・デシュバンデン(SUI)
コンスタンチン・シュミット
19 コンスタンチン・シュミット(GER)
アンティ・アアルト
20 アンティ・アアルト(FIN)
マッケンジー・ボイド=クローズ
23 マッケンジー・ボイド=クローズ(CAN)
アレクサンダー・ズニシチョル
25 アレクサンダー・ズニシチョル(POL)
フィリップ・ライムント
27 フィリップ・ライムント(GER)
ウラジミール・ゾグラフスキ―
29 ウラジミール・ゾグラフスキ―(BUL)
ドミニク・ペーター
34 ドミニク・ペーター(SUI)
ファティヒ=アルダ・イプシオール
47 ファティヒ=アルダ・イプシオール(TUR)
アンツェ・ラニセク
50 アンツェ・ラニセク(SLO)

WC総合順位

札幌大会は2試合を終え、残るは1試合。
この2日間で既に十分に満足させてもらった。
でも、明日にはもっと凄いものを目撃することになることを、この時はまだ誰も知らない。