竹花大松が社会人初優勝 栃本翔平、原田侑武、伊藤将充らが最後のジャンプ
2023年3月18日(土)北海道札幌市 大倉山ジャンプ競技場 HS137/K123
女子組(基本ゲート1本目27、2本目29)
1 | 岩佐 明香(大林組スキー部) | 228.4pt |
2 | 小林 諭果(CHINTAIスキークラブ) | 201.3pt |
3 | 佐藤 柚月(札幌日大高校) | 144.2pt |
男子組(基本ゲート1本目18、2本目20)
1 | 竹花 大松(土屋ホームスキー部) | 252.5pt |
2 | 内藤 智文(米沢スキージャンプクラブ) | 252.4pt |
3 | 岩佐 勇研(東京美装グループスキー部) | 249.1pt |
=4 | 小林 朔太郎(慶応義塾大学) | 246.2pt |
=4 | 宮﨑 敬太(東京美装グループスキー部) | 246.2pt |
6 | 池田 龍生(慶応義塾大学) | 241.0pt |
竹花大松が、2020年4月の土屋ホーム入社以降、社会人として初めての勝利を挙げた。
中学・高校の頃から時としてシニア勢を凌駕するような成績を見せてきた。(こちらとこちらなど)
当時は複合との二刀流だったが、社会人になると同時にスペシャルジャンプに専念。一から身体を作り直し、持ち前の空中での技術を生かすよう助走と踏切の向上に取り組んできたことが遂に実を結んだ。
2位は厳しい追い風の2本目で129.5mを飛び5位からジャンプアップした内藤智文。優勝した大松との差は僅かに0.1pt
1本目トップだった岩佐勇研は3位。連勝は3で止まった。
女子組優勝は岩佐明香。
なんと国内戦6連勝。そのうちの3勝は大倉山で、苦手と公言してきたラージヒルをすっかり克服したようだ。あまりの好調さゆえに、まだシーズンを終えたくないと思っているのではないだろうか。
小林諭果は3戦連続の2位。
3位は追い風の強くなった2本目で櫻井梨子を逆転した佐藤柚月。
女子組
男子組
表彰式
今年の札幌は3月に入って気温の高い日が続いたため雪融けが早い。
この日も試合開始時点の気温はプラス5度。ランディングバーンの状態はかなりザクザクとした感じではあったけど、転倒することなく無事に試合を終えることができた。
雪上シーズン国内戦の表彰台(女子)
大会 | 優勝 | 2位 | 3位 |
---|---|---|---|
名寄ピヤシリ | 一戸 くる実 | 小林 諭果 | 岩崎 里胡 |
名寄吉田杯 | 小林 諭果 | 一戸 くる実 | 齋藤 優 |
HBCカップ | 伊藤 有希 | 岩佐 明香 | 小林 諭果 |
TVh杯 | 小林 諭果 | 岩佐 明香 | 一戸 くる実 |
カツゲンカップ | 岩佐 明香 | 齋藤 優 | 岩崎 里胡 |
雪印メグミルク杯 | 岩佐 明香 | 一戸 くる実 | 小林 諭果 |
札幌五輪記念 | 岩佐 明香 | 一戸 くる実 | 櫻井 梨子 |
宮様ノーマル | 岩佐 明香 | 小林 諭果 | 一戸 くる実 |
宮様ラージ | 岩佐 明香 | 小林 諭果 | 一戸 くる実 |
伊藤杯ファイナル | 岩佐 明香 | 小林 諭果 | 佐藤 柚月 |
雪上シーズン国内戦の表彰台(男子)
大会 | 優勝 | 2位 | 3位 |
---|---|---|---|
名寄ピヤシリ | 竹内 択 | 小林 朔太郎 | 中村 優斗 |
名寄吉田杯 | 竹内 択 | 内藤 智文 | 小林 朔太郎 |
HBCカップ | 山元 豪 | 佐藤 慧一 | 佐藤 幸椰 |
HTBカップ | S.リンゲン | P.アッシェンバルド | M.ヴィディッチ |
STVカップ | J-O.ビヨレン | 二階堂 蓮 | T.ピルフ |
TVh杯 | 山元 豪 | 原田 侑武 | 渡部 陸太 |
カツゲンカップ | 岩佐 勇研 | 工藤 漱太 | 渡部 陸太 |
雪印メグミルク杯 | 小林 朔太郎 | 小林 潤志郎 | 竹花 大松 |
札幌五輪記念 | 岩佐 勇研 | 工藤 漱太 | 渡部 陸太 |
宮様ノーマル | 岩佐 勇研 | 佐藤 慧一 | 竹内 択 |
宮様ラージ | 岩佐 勇研 | 小林 朔太郎 | 内藤 智文 |
伊藤杯ファイナル | 竹花 大松 | 内藤 智文 | 岩佐 勇研 |
引退式
今年は4名の選手が青野さんのラストコールで送られることとなった。
- 山中 規暉(東海大学)
- 伊藤 将充(土屋ホームスキー部)
- 原田 侑武(雪印メグミルクスキー部)
- 栃本 翔平(雪印メグミルクスキー部)
栃本翔平は、今季の途中から黒いヘルメットに変わり、それまでのものはCOC札幌大会から佐藤幸椰が付けるようになっていた。
それを見たときに予感がなかったわけではない。それでも2019年の6年ぶりの優勝のように、まだまだ活躍する姿を見せてもらえると信じていた。
とっち―は、2017年UHB杯で146.0mを飛び、冬の大倉山のバッケンレコードホルダーとなった。
この記録は2019年1月のWCでカミル・ストッフ(148.5m)に抜かれたが、2012年雪印メグミルク杯で104.0mを飛んで刻んだ宮の森の冬のバッケンレコードは保持したまま引退することとなる。
なお、雪印メグミルクは3月末で退社。その後のことは明らかにしていないが、スキージャンプには関わっていきたいとは考えていると語った。
それがどんな形のものであるかはわからないが、また競技場で会えることを期待したい。
原田侑武の引退は意外だった。
2020年1月に負った怪我から今季ようやく復帰。選考会から勝ち上がって出場権をつかみ獲ったWC札幌大会では見事に予選を通過し2018/19以来の出場を果たしたばかりだった。
その後のTVh杯でも2位となり、完全復活を印象付けるような好調ぶりだっただけに、まさか引退するとは思ってもいなかった。
セレモニーでは、1学年先輩(入社は5年先輩)の栃本と一緒だったからここまで頑張ってこられたと語り涙した。
引退後は営業マンとして会社に残るらしい。
さらに意外だったのは伊藤将充。
少年時代から輝かしい成績を残し、2016年に姉の所属する土屋ホームに入社。1学年上の小林陵侑、中村直幹や同期の佐藤慧一らとともに日本チームを引っ張っていく存在となるであろう選手だった。
2017年雪印メグミルク杯、2017年TVh杯、2018年妙高サマー、2019年名寄サンピラー、2019年大倉山サマー、2020年名寄ピヤシリ、2020年名寄吉田杯、2021年HTBカップと何度も2位となったが、終ぞ優勝することはできなかった。
個人的に強く印象に残るのは、札幌で開催された冬季アジア大会で佐藤幸椰、中村直幹、岩佐勇研と共に獲った団体金メダル。
引退後は土屋ホームに残るらしい。
伊藤有希は、この日SNSで次のような言葉を残している。
「彼の、遠くへ飛ぶ為の探求心や分析力、ジャンプが大好きな気持ちは私には到底敵いません」
4人の選手の新天地での益々のご活躍を祈念いたします。
そして、選手・関係者の皆様、1年間お疲れさまでした。