小林潤志郎が兄弟対決を制する 高梨沙羅は逆転V
2017年11月3日(金) 札幌市 宮の森ジャンプ競技場 HS100/K90
女子組(ゲート1本目15 2本目13)
① 高梨 沙羅(クラレ) 234.5pt(94.0m 93.5m)
② 伊藤 有希(土屋ホームスキー部) 217.4pt(97.5m 83.0m)
③ 勢藤 優花(北海道ハイテクアスリートクラブ) 175.6pt(81.5m 79.5m)
4 岩佐 明香(日本大学) 158.2pt(79.0m 74.0m)
5 岩渕 香里(北野建設) 156.0pt(73.5m 75.5m)
6 丸山 希(明治大学) 149.6pt(71.5m 77.5m)
男子組(ゲート1本目9,11 2本目11)
① 小林 潤志郎(雪印メグミルクスキー部) 252.0pt(98.0m 97.5m)
② 小林 陵侑(土屋ホームスキー部) 239.5pt(95.5m 95.0m)
③ 渡部 弘晃(東京美装グループスキー部) 237.2pt(93.0m 97.5m)
4 佐藤 幸椰(雪印メグミルクスキー部) 230.2pt(89.0m 96.0m)
5 竹内 択(北野建設) 229.9pt(95.5m 91.0m)
6 葛西 紀明(土屋ホームスキー部) 228.5pt(92.0m 94.0m)
この日から始まる札幌三連戦は全試合でアイストラックが使用され、これでいよいよ冬シーズンが幕を開けることとなる。
平昌への道はまだ開かれており、当落線上の選手にとっては大きなアピールの場となる三連戦でもある。
初戦となるこの試合ではGF/WFが採用された。
国内戦では、白馬での数試合で既にGF/WFは採用されており、全日本選手権としては昨年の白馬LHで史上初めて採用されてはいた。
しかし、昨年の全日本NHは蔵王での開催だったこともあってか採用されなかった。
よって全日本NHとしては、この試合が初のGF/WF採用となる。
ちなみに、札幌ではWC以外では今年1月のCOC3連戦(兼札幌五輪記念、HTBカップ、STVカップ)で初めてGF/WFが採用されたけれど、今季こそいよいよ本格導入となるのかな?
さて、この試合。
エントリーが50名を超える場合は予選が行われ、本戦出場は50名。2本目に進めるのは30名というWC仕様。
前回の札幌開催時は同日に予選を行っていたけれど、今年は前日に予選を行った。(女子は38名のエントリーだったため予選なし)
また、全日本選手権は今まで表彰は10位までとされていたけれど6位までとなった。
小雨がぱらつき、風向風速はいつもの宮の森以上に不安定。よって、シグナルレッドが頻発。
シグナルでコントロールせずに「どうせWFで加減点されるんだから」と割り切ってどんどん飛ばせることも考えられたかもしれないが、運営はいつも通り丁寧かつ慎重にシグナルコントロールによって試合を進めた。
また、GF採用により「沙羅・有希ゲート」が解消されることが期待されたが、運営は緩めに設定しておいて上位陣はジュリー判断で下げるという手法を採らずに、セオリー通りに最も飛ぶであろう選手にゲートを合わせてきた。つまり、この日もいつもの「沙羅・有希ゲート」
男子で1回だけジュリー判断によるゲート下げが発動したが、風向風速によるためのものであって、決して選手の実力差を調整するためのものではなかった。
運営はGF/WFに踊らされることなく、このルールの勘所をよく理解し、ゲート変更の乱発やWFに頼りすぎた雑なシグナルコントロールを行うことなく自制的に試合を進めたと思う。それでもどうしても生じる不公平についてのみ、その補正をGF/WFに委ねた。
おそらくこれが、このルールのあるべき姿なのだと思うのだが、WCでは時として間違った運用がなされてしまったように映る試合があるのが残念だ。
女子組
① 高梨 沙羅(クラレ)
② 伊藤 有希(土屋ホームスキー部)
③ 勢藤 優花(北海道ハイテクアスリートクラブ)
4 岩佐 明香(日本大学)
5 岩渕 香里(北野建設)
6 丸山 希(明治大学)
男子組
① 小林 潤志郎(雪印メグミルクスキー部)
② 小林 陵侑(土屋ホームスキー部)
③ 渡部 弘晃(東京美装グループスキー部)
4 佐藤 幸椰(雪印メグミルクスキー部)
5 竹内 択(北野建設)
6 葛西 紀明(土屋ホームスキー部)
表彰式
女子組 伊藤、高梨、勢藤
女子組 岩佐、岩渕、丸山
男子組 小林陵、小林潤、渡部
男子組 佐藤、竹内、葛西(葛西が持っているのは有希ちゃんのスキー)
ある意味いやらしいことではあるのだが、それを承知で「もしもこの試合がWFなしで行われていたとしたら」をやってみた。
下記の表は右の「WFあり」が公式リザルト。対して左の「WFなし」が従来通りにWFによる補正が行われなかった場合のリザルト。
WFあり | WFなし | 変動 | ||||
1 | 小林潤志郎 | 252.0 | 1 | 小林潤志郎 | 269.0 | – |
2 | 小林陵侑 | 239.5 | 2 | 渡部 弘晃 | 254.5 | 1up |
3 | 渡部 弘晃 | 237.2 | 3 | 小林陵侑 | 254.0 | 1down |
4 | 佐藤 幸椰 | 230.2 | =4 | 竹内 択 | 246.0 | 1up |
5 | 竹内 択 | 229.9 | =4 | 原田 侑武 | 246.0 | 4up |
6 | 葛西 紀明 | 228.5 | 6 | 葛西 紀明 | 245.5 | – |
7 | 伊藤 将充 | 227.5 | 7 | 佐藤 幸椰 | 242.5 | 3down |
8 | 原田 侑武 | 227.0 | 8 | 伊藤 将充 | 243.5 | 1down |
9 | 馬淵 源 | 224.0 | 9 | 馬淵 源 | 240.0 | – |
10 | 山川 太朗 | 219.9 | 10 | 山川 太朗 | 238.5 | – |
こうしてみると、佐藤幸椰が1本目の不運な風により上位10人の中でただ一人90mに届かなかったが、その不運がWFにより救済されていることがわかる。
やはり、宮の森や大倉山のような不安定な風が吹く台では特にWFが必要だと思う。
定まらない風向風速に対し、いつも通り丁寧かつ慎重にシグナルコントロールを行った結果として、試合は遅々として進まず、表彰式が終わったのは15時過ぎ。
GF/WFには天候条件により試合が長丁場となることを防ぐ効果もあるが、この試合に関して言えばその効果は見られなかった。その点が課題と言えば課題かなとも思う。