第66回NHK杯ジャンプ大会

中村直幹が130mオーバー連発で完勝 伊藤有希は今夏10勝の大台に乗せシーズンを締めくくる

全日本スキー連盟A級公認
  • 2024年10月27日(日)
  • 札幌市 大倉山ジャンプ競技場
  • HS137/K123

女子組

1  伊藤 有希(土屋ホームスキー部) 217.0pt
2  一戸 くる実(CHINTAIスキークラブ) 180.7pt
3  勢藤 優花(オカモトグループ) 175.6pt

リザルト

男子組

1  中村 直幹(Flying Laboratory SC) 280.5pt
2  内藤 智文(山形県スポーツ協会) 251.7pt
3  小林 潤志郎(Wynn.) 244.3pt

リザルト


前日のUHB杯とは打って変わって風が凪いだこの日の大倉山。

その割に女子のゲート設定はかなり渋めで、K点オーバーは伊藤有希の2本目(128.0m)のみ。
そんな展開ゆえに1本目でも全く無理をする必要はなかったので、伊藤有希はコーチリクエストでゲートを2段下げた。

飛距離は118.0m。ヒルサイズの95%(130.0m)に届かなかったので加点は得られなかったが、それでも1位で折り返した。
加点の有無は考慮せずに、安全面を最大限に考えてのリクエストだったというところか。

他を寄せ付けず伊藤有希は国内4連勝。
今季出場した国内公認試合12戦で10勝目の大台に乗せて夏シーズンを締めくくった。

男子では中村直幹がUHB杯に続く連勝。
130mオーバーを2本揃え、2本目ではヒルサイズを超える138.0m。これで、この2日間の4本全てで130mを超えたことになる。
また、UHB杯では2本合計で19点が5つあった飛型点は、この日は9つに増え、しかもそのうちの2つは19.5点。

風が凪ぐ中での余りある飛距離と完璧ともいえる飛型。
2位に28.8ptの大差をつける完勝だった。

女子組

1 伊藤 有希(土屋ホームスキー部)
2 一戸 くる実(CHINTAIスキークラブ)
3 勢藤 優花(オカモトグループ)
4 櫻井 梨子(あいおいニッセイ同和損保)
5 岩崎 里胡(下川スキーチーム)
6 岩佐 明香(大林組スキー部)

女子組2位は一戸くる実。
日本のトップ4の一角である勢藤優花に逆転で競り勝った。
この夏の国内開幕戦だった名寄サンピラー記念以来となる2位で、この夏の国内公認試合で6度目の表彰台。

また、UHB杯の記事でピックアップした岩崎里胡はまたしても5位と上位に割り入った。

男子組

1 中村 直幹(Flying Laboratory SC)
2 内藤 智文(山形県スポーツ協会)
3 小林 潤志郎(Wynn.)
4 葛西 紀明(土屋ホームスキー部)
5 佐藤 慧一(雪印メグミルクスキー部)
6 二階堂 蓮(日本ビールスキー部)

男子組2位の内藤智文は、この夏の国内公認試合で8度目の表彰台。
この夏に複数勝利を挙げたのは、小林陵侑、中村直幹と内藤智文の3名だが、最多勝利は内藤の4勝。

  • 内藤 智文 4勝 
  • 小林 陵侑 3勝
  • 中村 直幹 2勝

男子組3位の小林潤志郎は、この夏の国内公認試合で初表彰台。
4位には2戦連続表彰台を目指した葛西紀明。この夏の国内公認試合12戦に出場して2シングル順位を獲れなかったのは2戦のみと好調のままシーズを終えた。

表彰式

女子組
女子組

通常の国内戦は午前中に競技開始となることがほとんどだが、この試合の開始時刻は13時と変則的。
NHK杯は数年前からBSで生中継されるようになったが、この変則的なスケジュールは2年前のNHK杯でも行われている。

両者に共通しているのはNHK-BSが午前中にMLBのワールドシリーズの生中継を行ったこと。変則的なスケジュールの理由はこれだろう。
ではなぜ昨年はそうではなかったのか? おそらくNHK杯が隔年で全日本選手権ラージヒルを兼ねて開催されることと関係しているのではないだろうか。

通常とは違う時間にスタートすることの影響か、ワールドシリーズ中継の影響か、はたまた選挙の投票日だった影響か、お天気が今一つだった影響か… 全日本選手権を兼ねていないとはいえNHK杯でここまでお客さんが少ないのはちょっと記憶にないかも。

サマー最終戦ということもあってか、雪印メグミルクの応援団も駆け付けたが…

また、前日のUHB杯の客入りもあまりよくないように見えた。
ここ数年のUHB杯では会場に子供向けのアトラクションが用意されるのだが、例年はそこに順番待ちの行列ができていたが今年は皆無。スタッフの方たちの手持無沙汰な様子が見て取れた。

この二日間は高梨沙羅と小林陵侑が不在。
UHB杯が秋開催となった2018年以降で2人が参戦しなかったのは今年が初めて。
NHK杯が秋開催となった2015年以降では、2018年2022年に高梨沙羅が棄権しているが、いずれも怪我によるものでエントリーはしていた。2023年は小林陵侑が棄権しているが、エントリーはしており棄権は当日の朝だった。

最初からエントリーをしない形で二人が不在だったのは今回が初めてで、こうなるとやはり集客ヘの影響は大きかったのではないかと思われる。
またテレビ局にとっては視聴率的にもスター選手の不在は頭の痛いところだろう。

もっとも、冬場の国内戦はスター選手たちは海外遠征に出るので常に不在となる。
それでも試合は行われ、テレビ中継もされてきた。
スター選手の存在は集客の武器ではあるが、不在であってもコンテンツ自体に魅力があり上手に宣伝できれば、まだまだ集客を図れるしテレビの視聴率も取れると信じている。

スター選手ばかりでなく、世間的には名前を知られていなくとも魅力的な選手は他にもたくさんいる。
そういった選手たちを世に知らしめていくことを含めて、集客のためにやれることはまだまだあるはずだ。

2024夏季・秋季 表彰台(女子)

大会 優勝 2位 3位
サンピラー記念 伊藤 有希 一戸 くる実 葛西 優奈
札幌市長杯NH 丸山 希 葛西 春香 伊藤 有希
札幌市長杯LH 伊藤 有希 丸山 希 勢藤 優花
チャレンジカップ 伊藤 有希 勢藤 優花 丸山 希
サマー蔵王 丸山 希 伊藤 有希 中山 和
塩沢 伊藤 有希 岩佐 明香 一戸 くる実
白馬記録会 伊藤 有希 岩佐 明香 葛西 優奈
白馬サマー 伊藤 有希 勢藤 優花 一戸 くる実
妙高サマー 伊藤 有希 岩佐 明香 一戸 くる実
鹿角サマー 葛西 優奈 櫻井 梨子 中山 和
全日本選手権NH 伊藤 有希 高梨 沙羅 丸山 希
全日本選手権LH 伊藤 有希 高梨 沙羅 丸山 希
UHB杯 伊藤 有希 勢藤 優花 一戸 くる実
NHK杯 伊藤 有希 一戸 くる実 勢藤 優花

※ 白馬記録会は全日本公認試合ではない

2024夏季・秋季 表彰台(少年)

大会 優勝 2位 3位
札幌市長杯NH 布施 飛雄真 森 大耀 三上 託摩
札幌市長杯LH 布施 飛雄真 佐々木 星語 三上 託摩
チャレンジカップ 布施 飛雄真 森 大耀 姫野 蒼大
サマー蔵王 布施 飛雄真 森 大耀 西田 蓮太郎
塩沢 西田 蓮太郎 布施 飛雄真 三上 託摩
妙高サマー 布施 飛雄真 糸氏 琉人 西澤 希陸

2024夏季・秋季 表彰台(男子)

大会 優勝 2位 3位
サンピラー記念 佐藤 幸椰 佐藤 慧一 坂野 旭飛
札幌市長杯NH 佐藤 慧一 二階堂 蓮 内藤 智文
札幌市長杯LH 二階堂 蓮 佐藤 慧一 竹内 択
チャレンジカップ 小林 陵侑 竹花 大松 小林 朔太郎
サマー蔵王 小林 陵侑 中村 優斗 二階堂 蓮
塩沢 内藤 智文 藤田 慎之介 中村 優斗
白馬記録会 竹花 大松 竹内 択 葛西 紀明
白馬サマー 内藤 智文 二階堂 蓮 葛西 紀明
妙高サマー 小林 朔太郎 内藤 智文 佐藤 慧一
鹿角サマー 内藤 智文 藤田 慎之介 山﨑 叶太郎
全日本選手権NH 内藤 智文 小林 陵侑 中村 直幹
全日本選手権LH 小林 陵侑 二階堂 蓮 内藤 智文
UHB杯 中村 直幹 二階堂 蓮 葛西 紀明
NHK杯 中村 直幹 内藤 智文 小林 潤志郎

※ 白馬記録会は全日本公認試合ではない

さて、夏シーズンは終わった。
雪上による2024/25国内冬シーズンは12月14日の名寄がスタートとなる。
そして、2024/25ワールドカップは、男女揃って11月22日にリレハンメルで開幕する。

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