第60回NHK杯ジャンプ大会

小林陵侑にエースの風格 伊藤有希 大会二連覇

2018年11月4日(日) 札幌市 大倉山ジャンプ競技場 HS137/K123 

 

 

女子組(ゲート1本目22、2本目23) 

 伊藤 有希(土屋ホームスキー部)  202.5pt  114.5m  119.0m
 勢藤 優花(北海道ハイテクアスリートクラブ)  184.1pt  116.0m  109.5m
 岩佐 明香(日本大学)  142.8pt  96.5m  108.0m

リザルト

男子組(ゲート1本目10、2本目10)

 小林 陵侑(土屋ホームスキー部)  273.0pt  135.5m  135.5m
 中村 直幹(東海大学)  247.1pt  121.0m  134.5m
 伊東 大貴(雪印メグミルクスキー部)  242.4pt  131.5m  122.5m
 
4  佐藤 慧一(雪印メグミルクスキー部)  213.7pt  120.5m  119.5m
5  伊藤 謙司郎(雪印メグミルクスキー部)  209.6pt  115.5m  122.5m
6  佐藤 幸椰(雪印メグミルクスキー部)  208.7pt  121.0m  116.5m

リザルト


 

この日一番の衝撃は高梨沙羅の欠場だろう。
2日の札幌市長杯での144.0mの代償は、集まった観客と、彼女を主役に生中継を奢ったNHKと、なによりも沙羅自身が払うこととなった。
沙羅にとっては苦渋の選択だったかもしれないが、WC開幕を控えた今、賢明な判断だろう。
しつこいようだが、どうしてあの場面で飛ばしてしまったのか。

 

昨年は沙羅を破った伊藤有希が、沙羅と戦うことなく2連覇を果たした。
優勝インタビューでは「生中継なので、こんなにもたくさん女子選手がいることを知ってもらえて良かった」という趣旨のことを語ったが、下位選手をばっさりカットするダイジェスト放送ばかりの民放局への強烈な皮肉にも聞こえた。
もちろん、有希ちゃんにはそんなつもりはなかっただろうけど。

 

強い向かい風が吹いた金曜の札幌市長杯に比べ、土曜のUHB杯は嘘のように穏やかで、この日はさらに穏やか。
そんな中、小林陵侑が前日に続く勝利。
安定感は抜群で、今や日本のエースの風格すら感じさせる。

 

女子組


① 伊藤 有希(土屋ホームスキー部)

 


② 勢藤 優花(北海道ハイテクアスリートクラブ)

 


③ 岩佐 明香(日本大学)

 


4 丸山 希(明治大学)

 


5 大井 栞(早稲田大学)

 


6 勢藤 理桜(下川商業高校)

 

男子組


① 小林 陵侑(土屋ホームスキー部)

 


② 中村 直幹(東海大学)

 


③ 伊東 大貴(雪印メグミルクスキー部)

 


4 佐藤 慧一(雪印メグミルクスキー部)

 


5 伊藤 謙司郎(雪印メグミルクスキー部)

 


6 佐藤 幸椰(雪印メグミルクスキー部)

 

表彰式


女子組 勢藤、伊藤、岩佐

 


女子組最長不倒賞 伊藤 有希(119.0m)

 


男子組 中村、小林、伊東

 


男子組最長不倒賞 小林 陵侑(135.5m)

 


 

この試合には少年組の設定がないが、30位内に入った3名を紹介したい。

 


男子組18位 竹花 大松(東海大学付属札幌高校)

 


男子組23位 藤田 慎之介(東海大学付属札幌高校)

 


男子組30位 二階堂 蓮(下川商業高校)

 


 

この3連戦で、個人的に印象に残った選手を3人ピックアップしてみた。

 


男子組16位 宮﨑 敬太(東海大学)

本職はコンバインドのようだが、昨年のインターハイ純ジャンプで優勝するなど、ジャンプに強い印象がある。
この3日間の成績は、13位(成年組)→13位→16位。

 


男子組33位 池田 龍生(蘭越町スキー連盟)

フィンランド留学をした成果が、ここにきてはっきりと結果として実を結んできたようだね。
この3日間の成績は、5位(少年組)→31位→33位

 


女子組5位 大井 栞(早稲田大学)

非凡な力がありながら、やや成績にむらがあるような気がしていたが、ここにきて実力に見合った成績を安定して出せるようになってきたんじゃないかな。
この3日間の成績は、4位→4位→5位

 


 

ランディングバーン横で観戦していると、着地と同時に選手が漏らす声を聴くことは珍しいことではない。
そのほとんどが「よっしゃ-!」という喜びの声ではなく「あぁ…」という落胆の声。

 

でも、まさか葛西紀明からそんな声が聞こえてこようとは… 
WCで不調だった時代も国内戦では強かったので、少なくとも私は葛西のこんな声を聴くのは初めてだ。
金曜の札幌市長杯では2本とも、土曜のUHB杯でも1本目ではっきりと落胆の声が聞かれた。
3日目。この日はもう聞えてこない。落胆を通り越して諦めの境地か。

 

葛西だけでなく、ここに来て竹内択も小林潤志郎もなんだか怪しくなってきた。
逆に小林陵侑、中村直幹はめっぽう調子がよく、伊東大貴と佐藤幸椰も悪くない。
下表は、WC開幕派遣選手のこの3連戦の成績。

 

  市長杯(男子総合) UHB杯(男子組)  NHK杯(男子組)
小林 潤志郎 5位 10位 10位
小林 陵侑 棄権 優勝 優勝
葛西 紀明 18位 20位 15位
竹内 択 11位 23位 24位
佐藤 幸椰 2位 6位 6位
伊東 大貴 4位 3位 3位
中村 直幹 3位 2位 2位

 

女子は沙羅の今後の回復が気になる。まあ、この日の棄権は大事を取っただけのことだと思うけど。
有希も板の変更等色々と試している段階で本調子とは言いがたい。
この3連戦にエントリーしていない岩渕についてはエントリーしなかった理由も含めてよくわからない。勢藤、丸山、岩佐はまずまずか。

 

期待半分。不安半分。
WCは、男子は11月16日にヴィスワで、女子は11月29日にリレハンメルで開幕する。