第36回UHB杯ジャンプ大会

小林陵侑 圧巻 伊藤有希 盤石 葛西紀明 最長不倒

2023年10月28日(土)札幌市 大倉山ジャンプ競技場 HS137/K123

女子組(基本ゲート1本目24、2本目24)

1 伊藤 有希(土屋ホームスキー部)251.4pt
2 高梨 沙羅(クラレ)234.7pt
3 一戸 くる実(CHINTAIスキークラブ)226.3pt

リザルト

男子組(基本ゲート1本目14、2本目12)

1 小林 陵侑(TEAM ROY)284.0pt
2 二階堂 蓮(日本ビールスキー部)249.0pt
3 中村 直幹(Flying Laboratory SC)239.9pt

リザルト


葛西紀明が久々に魅せた。
1本目。ぐんぐんと飛距離を伸ばし夏のヒルレコードに1.0mと迫る144.5mの大ジャンプを披露。
3位で折り返した2本目も132.0m。2本とも130.0mを超えたのは他には小林陵侑だけだ。

たしかに運も良かった。
男子組において2.0m/sを超える向かい風が吹いたのは全部で8本。そのうちの2本を葛西が引いた。
でも、その神風を引くのもまた葛西。

2016/17シーズン頃から、踏切でテーブルに上手く力を伝えられず後ろにずるっとスリップしてしまう現象に悩まされていた葛西。それでも国内戦では何とか通用していた。
しかし、2021年3月の札幌オリンピック記念で3位になったのを最後に、しばらくは目を覆いたくなるような成績が続いた。

ところが2022年になって葛西は不死鳥のごとく甦る。
表は2022年以降に6位以内に入った試合の一覧。
特に1月の成績は復活を強く印象付けた。

2022.01.10HBCカップ4位
2022.01.15HTBカップ3位
2022.01.16STVカップ4位
2022.01.29TVh杯6位
2022.01.30雪印メグミルク杯優勝
2022.08.06札幌市長杯大倉山5位
2022.09.11白馬サマー3位

そしてこの日、日本代表クラスの選手たちが揃う中で最長不倒で4位になった。
表彰台までは僅かに0.1pt足りなかったが「自信になった」と笑顔がはじける。

葛西紀明が登場すると場内の雰囲気は一変する。
この日も最も多くの声援を受けていた。
やはり真のスター選手。スキージャンプ界には、まだまだ葛西紀明が必要だ。

女子組

1 伊藤 有希(土屋ホームスキー部)
2 高梨 沙羅(クラレ)
3 一戸 くる実(CHINTAIスキークラブ)
4 丸山 希(北野建設SC)
5 小林 諭果(CHINTAIスキークラブ)
6 岩佐 明香(大林組スキー部)

女子組では上位3人に130.0mに届くジャンプが見られたが、それを2本揃えたのは伊藤有希だけ。
当然の帰結としてポディウムの頂点に立った。
2本ともトップスコア。総得点で2位の高梨沙羅に16.7ptの差をつけたが、そのうちの7.0ptは飛型点。

表彰台の並びは2日前の全日本選手権NHとまったく同じ。
一戸くる実が2試合連続でワールドクラスの二人に続いているのが素晴らしい。
この夏のGPで全7試合に出場し総合8位。”世界”を体感し一皮も二皮も剥けて帰ってきた。

男子組

1 小林 陵侑(TEAM ROY)
2 二階堂 蓮(日本ビールスキー部)
3 中村 直幹(Flying Laboratory SC)
4 葛西 紀明(土屋ホームスキー部)
5 小林 潤志郎(雪印メグミルクスキー部)
6 竹内 択(team taku)

小林陵侑の1本目は、2本目に進んだ上位30人中で数値上最も向かい風が弱かった。
さらには14番で始まったゲートは10番まで下がっており条件としてはかなりシビアだった。

それでもヒルサイズに迫る136.5mまで伸ばして見せる。
1本目で10番ゲートで飛んだ9人のうち130.0mを超えたのは陵侑だけだ。

トップで折り返した2本目も上位陣の中では条件が良くなかったが2本目最長の135.5m。
最終的に2位の二階堂蓮に対し35.0ptの大差をつけての圧勝となった。

表彰式

女子組
男子組
男女優勝者
表彰者全員

表彰式では男女表彰台登壇者が揃ってのフォトセッションが行われた。
非常に珍しいことで、少なくとも私は初めて見た。
他の大会でもぜひやってほしい。

一方で、男子組の表彰が従来の6名から3名になってしまった。
従来通り6位までだったら、レジェンドの姿を見られて観客も大いに喜んだことだろうに。

実は、今夏の札幌3連戦でも同様に少年組と成年組の表彰が6名から3名に減らされている。
ファンとしては一人でも多くの選手の健闘を讃えたいし、特に若い選手にとってはこの場に立つことは凄く励みになると思うのだが… それを思うと少し残念だ。


表彰式終了後に、中村直幹が実施し242万円もの金額を集めたクラウドファンディングの成果として、札幌ジャンプスポーツ少年団にスキー板とビンディングが10セット贈呈された。

少年団を代表して受け取ったのは岡部凛大郎。
父は長野五輪団体の金メダリストで現在は雪印メグミルクスキー部の総監督を務める岡部孝信氏。

さらにこの後、中村直幹は高梨沙羅とともにイベントに登場し観客と触れ合った。

水曜日に幕を開けた全日本選手権ウィークは明日が最終日。
全日本選手権はワールドカップとコンチネンタルカップの選考が懸かっているだけにピリピリしている選手も多く、個人的にも明日の試合が気になって落ち着かない。

そんな中で、選考基準上すでにWC開幕ピリオドの選考が当確となっている2人による一服の清涼剤。
一旦クールダウンして明日を待つ。


【女子】2023国内大会トップ3

大会1位2位3位
サマー朝日伊藤 有希佐藤 柚月日野森 琥珀
サンピラー記念伊藤 有希葛西 春香佐藤 柚月
札幌市長杯NH伊藤 有希葛西 春香勢藤 優花
札幌市長杯LH伊藤 有希勢藤 優花葛西 春香
チャレンジ杯伊藤 有希勢藤 優花葛西 春香
サマー蔵王丸山 希高梨 沙羅勢藤 優花
塩沢伊藤 有希一戸 くる実岩佐 明香
妙高サマー伊藤 有希丸山 希岩佐 明香
白馬記録会丸山 希伊藤 有希小林 諭果
白馬サマー丸山 希岩佐 明香伊藤 有希
鹿角サマー葛西 春香櫻井 梨子葛西 優奈
全日本選手権NH伊藤 有希高梨 沙羅一戸 くる実
UHB杯伊藤 有希高梨 沙羅一戸 くる実

【少年】2023国内大会トップ3

大会1位2位3位
サマー朝日坂野 旭飛西田 蓮太郎西澤 希陸
札幌市長杯NH西田 蓮太郎坂野 旭飛佐々木 星語
札幌市長杯LH西田 蓮太郎坂野 旭飛杉山 律太
チャレンジ杯西田 蓮太郎坂野 旭飛三上 託摩
サマー蔵王坂野 旭飛西田 蓮太郎三上 託摩
塩沢坂野 旭飛西田 蓮太郎三上 託摩
妙高サマーグロースエッガー 健志久保田 康太郎成田 絆

【成年】2023国内大会トップ3

大会1位2位3位
サマー朝日佐藤 幸椰清水 礼留飛渡部 弘晃
サンピラー記念渡部 弘晃馬淵 源山元 豪
札幌市長杯NH小林 陵侑岩佐 勇研中村 直幹
札幌市長杯LH中村 直幹小林 朔太郎佐藤 幸椰
チャレンジ杯小林 陵侑中村 直幹岩佐 勇研
サマー蔵王小林 陵侑二階堂 蓮竹内 択
塩沢工藤 漱太永峯 寿樹小林 潤志郎
妙高山本 涼太内藤 智文小林 潤志郎
白馬記録会山本 涼太小林 潤志郎二階堂 蓮
白馬サマー小林 潤志郎竹内 択山本 涼太
鹿角サマー清水 礼留飛坂野 旭飛佐藤 慧一
全日本選手権NH中村 直幹小林 陵侑坂野 旭飛
UHB杯小林 陵侑二階堂 蓮中村 直幹