小林諭果が心機一転のV 岩佐勇研は141mで他を圧倒
2022年1月10日(月祝)札幌市 大倉山ジャンプ競技場 HS137/K123
女子組(基本ゲート1本目26、2本目29)
1 | 小林 諭果(CHINTAIスキークラブ) | 223.7pt |
2 | 一戸 くる実(N高等学校) | 209.9pt |
3 | 中山 和(下川商業高校) | 194.3pt |
男子組(基本ゲート1本目16、2本目16)
1 | 岩佐 勇研(東京美装グループスキー部) | 267.7pt |
2 | 栃本 翔平(雪印メグミルクスキー部) | 256.4pt |
3 | 渡部 弘晃(東京美装グループスキー部) | 255.9pt |
本来であれば、この3連休のうち最初の2日間はここ大倉山で女子ワールドカップ札幌大会が行われるはずだった。
そして、翌週には女子蔵王大会が開催される予定だった。
しかし、オミクロン株の影響で男子札幌大会も含めて全て中止に。
女子の五輪代表は、蔵王大会までの成績上位者から選ばれることになっていた。
WC海外遠征に派遣されている5人(高梨沙羅、伊藤有希、岩渕香里、勢藤優花、岩佐明香)以外の選手にとっては、札幌と蔵王で開催国枠として出場し成績を残すことが五輪代表入りの唯一のチャンスだった。
開催中止により一縷の望みを絶たれた選手たちの失望落胆は如何ばかりか。
おそらくは、最も失望していたであろう選手は小林諭果と茂野美咲。
二人には、昨夏にもチャンスをつかむ機会があった。 岩佐明香と共にGP2試合に出場。そこで好成績を挙げればWC海外派遣メンバー入りが果たせていたはず。
しかし、その機会をものにできなかった。
そして、残された唯一のチャンスである札幌と蔵王も中止。
年齢的にみて今回の五輪がラストチャンスと捉えていた二人にとって、気持ちの持って行き場が無かったのではないかと推察される。
こうして迎えたHBCカップ。
小林諭果は、ただ一人K点オーバーを2本揃えて優勝。
ここで得た勝利が失ったものの代わりになることは決してないだろうが、優勝インタビューでは「これからも勝てるように頑張りたい」と、いつも通りに明るく振舞った。
勝ち続けて真価を示すことを期待したい。
茂野美咲は4位。
この1~2年で台頭してきた若い力に及ばず表彰台を逃したが、2本目は3位となり意地を見せた。
台頭してきた若い力の一人である一戸くる実が2位。
2020年吉田杯での優勝があるがラージヒルでの表彰台は初めてのはず。
3位は、台頭してきた若い力の筆頭である中山和。
2021TVh杯と2021伊藤杯で優勝したことがあり、今や表彰台の常連だ。
女子組
この日の大倉山はとても穏やか。
ただ、それは “大倉山にしては” というだけであって、数値の上では1.0m/sを超す向かい風が時折吹いた。
岩佐勇研と渡部弘晃の1本目は追い風だったが、二人とも難なくK点を越えていった。
東京美装に所属する彼らもまた昨夏のGPで本来の力を出せず、この冬の海外派遣メンバー入りとその先にある五輪代表を逃してしまった。
しかし、今、国内では破竹の勢いだ。
冬の国内開幕戦となった名寄ピヤシリでは渡部-岩佐のワンツー。
続く吉田杯では岩佐-渡部のワンツー。
そして、この日はワンスリー。二人とも3試合連続の表彰台だ。
3戦連続の東京美装ワンツーを阻んだのは雪印メグミルクの栃本翔平。
ここ数年の栃本は低い曲線で飛んでいるように見えていたのだが、この日はずいぶんと高いところを飛んでいた。
雪印としては今季国内初表彰台。好調な東京美装チームに一矢報いた。
男子の2本目は徐々に向かい風が強まり、渡部の138.0m、栃本の137.5mなどラスト8人が大ジャンプを連発し非常に面白かった。
最後に飛んだ勇研が、彼らのプレッシャーに負けずに大倉山で自身初の140m超となる141.0mのビッグジャンプで得意のガッツポーズを決めた勝ちっぷりにもワクワクさせられた。
この試合はテレビ中継とは別に、HBCカップとしては初めてYouTubeで生配信された。
ただし、それは1本目だけ。
テレビ局の事情があるのは百も承知ではあるが、最も面白い部分が配信されなかったのはつくづく残念に思う。
男子組
驚きは葛西紀明。
公式練習で130.5m、本戦でも130.0mと135.0mと3本すべてが130mに届いた。
こんな葛西の姿を見るのは本当に久しぶりだ。
トップ10に入るのは昨年3月の宮様LHでの7位以来。
最後に表彰台に立ったのは同じく昨年3月の札幌オリンピック記念の3位。
今度こそ本当に復活を遂げたのだと信じたい。
表彰式
少年組の設定はないが、中高生の上位3名を紹介したい。
特筆すべきは中学3年生の西田蓮太郎。
この年代では敵なしの強さで、この日の男子組出場選手の中でただ一人の中学生。
1本目は113.0mの23位、2本目は107.5mで最終21位。立派過ぎる。
成人のお祝い
毎年恒例の成人のお祝い。
今年は7名の新成人に記念品が贈呈された。
みんな、おめでとう。
- 千葉 悠希(日本大学)
- 大井 駿(慶応義塾大学)
- 楢木 雄太(札幌大学)
- 日下 瑠基(しもかわドッとカム)
- 小林 龍尚(土屋ホームスキー部)
- 竹花 大松(土屋ホームスキー部)
- 工藤 漱太(雪印メグミルクスキー部)