第41回札幌市長杯宮の森サマージャンプ大会

小林陵侑がプロ初戦で圧勝 西田蓮太郎は坂野旭飛に逆転勝利

2023年8月4日(金)札幌市 宮の森ジャンプ競技場 HS100/K90

女子組(基本ゲート1本目15、2本目15)

1  伊藤 有希(土屋ホームスキー部) 224.1pt
2  葛西 春香(早稲田大学) 210.0pt
3  勢藤 優花(YAMAtune) 202.8pt

リザルト

少年組(基本ゲート1本目10、2本目10)

1  西田 蓮太郎(下川商業高校) 227.7pt
2  坂野 旭飛(下川商業高校) 225.6pt
3  佐々木 星語(札幌日大中学校) 193.3pt

リザルト

成年組(基本ゲート1本目10、2本目10)

1  小林 陵侑(TEAM ROY) 264.0pt
2  岩佐 勇研(東京美装グループスキー部) 236.4pt
3  中村 直幹(Flying Laboratory SC) 233.6pt

リザルト 男子総合リザルト


試合を動かしたのは高校2年生の西田蓮太郎だった。

この日の宮の森は珍しく追い風傾向。
ただし、基本は緩やかで体感的にはほぼ風を感じない。
しかし、2本目で緩い向かい風が吹き始めた。

その風をうまくつかんだ西田蓮太郎。
+0.83m/sはこの日の向かい風の最高値。96.5mまで伸ばしカレントリーダーに。
これで運営はゲートを下げざるを得なかった。2段下げて8番に。

しかし、風はすぐに凪いだ。そして、何人かには追い風が吹いた。
10番ゲートでもK点を超えるのが難しかったのだから2段下がるとかなり苦しい。
残るは12人。
(つまり、蓮太郎は1本目を12位で折り返しており、それだけでも充分にすごいのだが…)

この12人の中に坂野旭飛もいた。
少年組をトップで、そして男子総合を5位(!)で折り返していたが、さすがのスーパー高校生も+0.20m/sで8番は苦しい。88.0mの飛距離にとどまり蓮太郎に逆転を許した。

ゲート変更が勝負の綾となったが、そのゲート変更を余儀なくさせたのは自らの大ジャンプ。
蓮太郎にしてみれば、してやったりの逆転劇だろう。

少年組では2022国体で史上初の中学生優勝、同じく2022宮様NHLHで優勝しているが、この時には1学年先輩の坂野旭飛は出場していなかった。
よって、少年組で蓮太郎が旭飛を抑えて優勝したのはこれが初めてとなるはず。
男子総合でも自己最高位の6位。

オーラスは小林陵侑。
さすがの陵侑も8番ゲートで追い風はキツかったか90.5mの飛距離にとどまった。
ただ1本目(98.5m)の有り余る貯金もあって結果は圧勝。

2本目はゲート上で「緊張した」らしいけど、本当は口笛でも吹いていたんじゃないか。
プロ転向後の初戦は、それぐらい余裕の勝利に見えた。

女子組

1 伊藤 有希(土屋ホームスキー部)
2 葛西 春香(早稲田大学)
3 勢藤 優花(YAMAtune)
4 齋藤 優(下川商業高校)
5 岩崎 里胡(下川商業高校)
6 日野森 琥珀(余市紅志高校)

伊藤有希は、国内開幕から3連勝。
今季初戦ゆえに3番スタートだった勢藤優花は実力通りの表彰台。

その二人に割って入った葛西春香は、名寄に続き連続の2位。
本職はコンバインドで、先日の朝日のコンバインド大会でも優勝している。
国内のスペシャルジャンプの大会に出る機会は限られるが、もっと見てみたい選手ではある。

少年組

1 西田 蓮太郎(下川商業高校)
2 坂野 旭飛(下川商業高校)
3 佐々木 星語(札幌日大中学校)
4 三上 託摩(積丹美国中学校)
5 西澤 希陸(白馬中学校)
6 杉山 律太(下川商業高校)

この夏の少年組には、もう一人注目すべき選手がいる。
白馬中学校3年生の西澤希陸(ニシザワ リク)だ

今年2月の全中で2年生ながら優勝。1年生時にも西田蓮太郎(当時3年)に次ぐ2位だった。
先日のサマージャンプ朝日大会少年組で3位。今季初めて全日本の強化指定選手にも選ばれた。
三上託摩、佐々木星語と並ぶ中学生のホープ。彼らの今後の活躍が楽しみだ。

成年組

1 小林 陵侑(TEAM ROY)
2 岩佐 勇研(東京美装グループスキー部)
3 中村 直幹(Flying Laboratory SC)
4 小林 朔太郎(慶応義塾大学)
5 工藤 漱太(雪印メグミルクスキー部)
6 渡部 弘晃(東京美装グループスキー部)

この試合に小林陵侑と中村直幹がエントリーしていることを私は全く知らなかった。

公式練習の時に「51番、なかむら なおき」とコールされたので、「えっ、なおき? ”まさき”の間違いだろう?」 と。
でも、すぐに「フライングラボラトリー」とコールされたので慌ててスタートリストを見返してみると男子組87人の真ん中より少し後ろあたりに「中村直幹」の名が。しかも52番には「小林陵侑」もある。

勢藤優花も3番にいるなど、あまり見ることのないリストなので貼っておくことにした。

小林陵侑については、プロに転向したことで、ひょっとして今後はあまり国内戦にエントリーしなくなるのでは? という不安を持っていた。
でも、こうして出場してくれた。

プロ転向の理由として、チーム間で分け隔てをなくして一緒に練習し、日本チーム全体の底上げをしたいというようなことを語っていた。
こうして国内戦に出場すれば国内の選手たちにとっては大いに刺激になるし、若い選手たちにとって得るものも大きいだろう。

陵侑は先日の選考会にもエントリーしていたが、すでにシードされていたし当初から辞退を表明していたようなので出場する必要はなかった。
にもかかわらず出場したのも、こうした理由によるものだっただろうか。

表彰式

女子組
少年組
少年組のプレゼンターは原田雅彦さん
成年組

表彰は、昨年までは女子組は3位まで、少年組・成年組は6位までだったが、今回は各組で3位までとなった。

女子組のエントリーは24人。表彰は3位まで。
少年組のエントリーは11人。表彰は6位まで。
バランスが悪い。
こういうところはどんどん改善していってほしい。

2020年11月 第21回札幌市長杯大倉山サマージャンプ大会

バランスは良くなったけど、少ない方に合わせた理由は何だろう?

改善ついでにもう一つ。
金網越しに見る表彰式は悲しい。
さらに言えば報道陣と役員越しに見ることになり悲しみは倍増。

主催者側の方たちには、ぜひ観客席側に来て表彰式がどのように見えているかを一度きちんと確認してみてほしい。