サマースキージャンプ2023山形蔵王大会

丸山希が二度目の復帰戦でV 小林陵侑と坂野旭飛が圧勝

2023年8月19日(土)山形県 アリオンテック蔵王シャンツェ HS102/K95

女子組(基本ゲート1本目28、2本目30)

1  丸山 希(北野建設SC) 201.2pt
2  高梨 沙羅(クラレ) 189.9pt
3  勢藤 優花(YAMAtune) 173.1pt

リザルト

少年組(基本ゲート1本目26、2本目26)

1  坂野 旭飛(下川商業高校) 221.8pt
2  西田 蓮太郎(下川商業高校) 201.7pt
3  三上 託摩(ウィンタースポーツクラブよいち) 185.5pt

リザルト

成年組(基本ゲート1本目26、2本目26)

1  小林 陵侑(TEAM ROY) 268.7pt
2  二階堂 蓮(日本ビールスキー部) 244.6pt
3  竹内 択(team taku) 236.4pt

リザルト 男子総合リザルト


2年目の開催となったサマージャンプ山形蔵王大会。
昨年は官民一体となっての宣伝が功を奏し盛況となった一方で、入場制限など一部混乱をきたした。
その反省もあってか今年は有料観戦席を設けるなど進化を遂げた。
ただ、昨年は各組8位までが表彰対象だったが今年は3位までとなってしまった。

女子では、国内・海外を通じて今季初戦の丸山希がビブNO.1からの優勝。
2021年10月の全日本選手権で転倒し、左膝前十字靱帯損傷、外側半月板損傷および大腿骨腓骨骨挫傷という極めて大きな怪我を負ってしまった丸山。昨年夏に復帰を果たしてはいたが固定のボルトが残っていたようで、5月にこれを抜いての2度目の復帰戦で見事に勝利した。

GPで3試合連続2位だった高梨沙羅は、国内初戦でも2位。
国内5連勝中の伊藤有希は、2本目を飛んだ後に1本目の記録が失格で取り消され15位に終わった。

少年は、米沢出身の坂野幸夫(雪印メグミルク監督)を父に持つ坂野旭飛が優勝。下川商業の後輩である西田蓮太郎の連勝を3で止めた。
中学生の三上託摩は2戦連続の表彰台。

成年は、小林陵侑がHSオーバーを2本揃えて余裕の勝利。
二階堂蓮と竹内択はGPでの好調さを維持。優勝候補の一角であった中村直幹は2本目失格。
地元期待の内藤智文(山形県スポーツ協会)は4位。昨年の借りを返せたか。


この試合は、女子においてはGPルシュノフとクリンゲンタールの、男子においてはCOCオスロの選考対象試合となっている。
男子は、その後のGP選考にも繋がっていくし、男女ともにその先にはWCにも繋がる大事な試合だ。

女子選考基準 男子選考基準

女子 GPルシュノフ、クリンゲンタールの選考基準

  1. 2022/23シーズンワールドカップスタンディング30位以内の競技者
  2. 2023年8月6日時点のサマーグランプリ表彰台に上がった競技者
  3. 蔵王サマージャンプ大会の上位競技者
  • 派遣6名。
  • 記載順序は優先順位を示す。
  • 過去2年間にワールドカップ又はサマーグランプリ3位以内に入賞した実績のある選手が、けが等のやむを得ない理由で上記の基準を満たなかった場合、理由となるけが等の事情の発生前における同選手の成績を上記基準に照らして評価し、選考する。

男子 COCオスロの選考基準

  1. 2023/2024 SGP第1ピリオド、日本チーム内のスタンディング4番手、5番手の選手
    • ポイントを獲得した選手に限る
  2. サマースキージャンプ2023山形蔵王大会を選考会とし、上位の選手
    • 選考対象者の条件(2点)
      • ① 2023/2024 SGP第1ピリオドに出場した選手で、ポイントを獲得できていない選手
      • ② 札幌3大会(8/4~8/6開催済)の総合上位6位以内の選手
  • 派遣4名。
  • 記載順序は優先順位を示す。
  • 状況に応じて、コーチ会議を行い、H C判断で最終決定する

男子 GPルシュノフの選考基準

  1. 2022/2023 WCスタンディング上位45位以内の選手
  2. 2023/2024 COC第1ピリオドスタンディング3位以内の選手
    • 3位以内が複数いる場合、最高位の選手1名
  3. 2023/2024 SGP第1ピリオド、日本チーム内のスタンディング上位2名の選手
    • 1.の選手を除いた、WCポイント獲得者
  4. 2023/24 COC第1ピリオドスタンディング上位2名の選手
    • 2.の選手は除く
    • ④で選考された選手は、クォーター数の関係でRasnov終了後に日本に帰国させる
  • 最大派遣6名。
  • 記載順序は優先順位を示す。
  • 状況に応じて、コーチ会議を行い、H C判断で最終決定する

男子 GPヒンツェンバッハ、クリンゲンタールの選考基準

  1. 2022/2023 WCスタンディング上位45位以内の選手
  2. 2023/2024 COC第1ピリオドスタンディング3位以内の選手
    • 3位以内が複数いる場合、最高位の選手1名
  3. 2023/2024 SGP第1ピリオドのスタンディング上位2名の選手
    • 1.の選手を除く
  • 最大派遣6名。
  • 記載順序は優先順位を示す。

実際にこの基準に選手の名前を当てはめてみると、既に選考基準に達している選手と、この試合で何としてでもその権利を掴もうとしていたであろう選手が見えてくる。

こうしたことを知っていて観るのと知らずに観るのとでは、試合の趣は随分と違ってくるのではないだろうか。
当落線上の選手たちにとっては、まさに人生を賭けた試合ともいえるものであったはず。そう考えると岩佐勇研の転倒にも特別な思いがこみ上げてくる。

誤解を恐れずに敢えて言えば、国内戦は “ショー” の部分をファンに提供することに偏重しすぎているように思える。
でも、行われているのは “コンペティション” であるはず。
この試合に勝てばどうなるのか? 何位までに入れば次にどんなステップが待っているのか? 野球やサッカーであれば当たり前のようにあるこういった楽しみ方がスキージャンプの国内戦には希薄だ。

実は「この試合に勝てばどうなるのか? 何位までに入れば次にどんなステップが待っているのか?」を表したものが『選考基準』だ。
だがそれは、明らかに選手・関係者向けのものであり一般的なファンが見てもわかりにくいし、そもそも存在自体が知られていない。記憶に誤りがなければ、昨夏のGPの選考基準がSAJのサイトにアップされたのは10月。GPはとっくに終わっていた。

選考基準の内容を上手にファンに向けて発信し、それぞれの試合がどのような意味を持ち、どうしたら日本代表に選ばれるのかの道筋を分かり易く伝えることができたら国内戦をもっと楽しめるはず。
SAJをはじめとした主催者側は、ショーとしての楽しみを提供することも大事だが、もっとコンペティションとしての魅力をストレートに訴求していくことに注力してもよいのではないか。

少なくとも私は、その方が100倍楽しめる。


【女子】サマー大会トップ3

大会 1位 2位 3位
サマー朝日 伊藤 有希 佐藤 柚月 日野森 琥珀
サンピラー記念 伊藤 有希 葛西 春香 佐藤 柚月
札幌市長杯NH 伊藤 有希 葛西 春香 勢藤 優花
札幌市長杯LH 伊藤 有希 勢藤 優花 葛西 春香
チャレンジ杯 伊藤 有希 勢藤 優花 葛西 春香
サマー蔵王 丸山 希 高梨 沙羅 勢藤 優花

【少年】サマー大会トップ3

大会 1位 2位 3位
サマー朝日 坂野 旭飛 西田 蓮太郎 西澤 希陸
サンピラー記念 (渡部 弘晃) (馬淵 源) (山元 豪)
札幌市長杯NH 西田 蓮太郎 坂野 旭飛 佐々木 星語
札幌市長杯LH 西田 蓮太郎 坂野 旭飛 杉山 律太
チャレンジ杯 西田 蓮太郎 坂野 旭飛 三上 託摩
サマー蔵王 坂野 旭飛 西田 蓮太郎 三上 託摩

【成年】サマー大会トップ3

大会 1位 2位 3位
サマー朝日 佐藤 幸椰 清水 礼留飛 渡部 弘晃
サンピラー記念 渡部 弘晃 馬淵 源 山元 豪
札幌市長杯NH 小林 陵侑 岩佐 勇研 中村 直幹
札幌市長杯LH 中村 直幹 小林 朔太郎 佐藤 幸椰
チャレンジ杯 小林 陵侑 中村 直幹 岩佐 勇研
サマー蔵王 小林 陵侑 二階堂 蓮 竹内 択