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第63回雪印メグミルク杯ジャンプ大会

葛西紀明が4季ぶりに頂点に帰還 小林諭果は大倉山3連勝

2022年1月30日(日)札幌市 大倉山ジャンプ競技場 HS137/K123

第63回雪印メグミルク杯ジャンプ大会

女子組(基本ゲート1本目25、2本目26)

1 小林 諭果(CHINTAIスキークラブ)175.6pt
2 葛西 春香(東海大学付属札幌高校)169.9pt
3 櫻井 梨子(余市紅志高校)162.2pt
 
4 一戸 くる実(N高等学校)153.1pt
5 中山 和(下川商業高校)143.7pt
6 齋藤 優(下川商業高校)136.4pt

リザルト

ジュニア組(基本ゲート1本目15、2本目14)

1 西田 蓮太郎(下川中学校)156.4pt
2 
3 

リザルト

少年組(基本ゲート1本目15、2本目14)

1 坂野 旭飛(下川商業高校)168.4pt
2 中村 正幹(東海大学付属札幌高校)159.8pt
3 杉山 律太(下川商業高校)144.9pt
 
4 森野 幹登(札幌日本大学高校)134.2pt
5 辻 創太(東海大学付属札幌高校)105.7pt
6 鈴木 寛太(長野白馬高校)92.4pt

リザルト

成年組(基本ゲート1本目15、2本目14)

1 葛西 紀明(土屋ホームスキー部)260.5pt
2 竹花 大松(土屋ホームスキー部)249.6pt
3 宮﨑 敬太(東海大学)248.7pt
 
4 二階堂 蓮(NSC札幌)244.4pt
5 栃本 翔平(雪印メグミルクスキー部)235.3pt
6 渡部 陸太(東京美装グループスキー部)233.4pt

リザルト 男子総合リザルト


やったぞ―! 帰ってきたぞー!
優勝インタビューで開口一番にそう叫んだ葛西紀明。
2017年11月の全日本選手権兼NHK杯以来、実に4シーズンぶりに表彰台の頂に帰ってきた。

2016/17シーズン頃から、踏切でテーブルに上手く力を伝えられず後ろにずるっとスリップしてしまう現象に悩まされていた葛西。
それでも国内戦では何とか通用していた。
しかし、昨年3月の札幌オリンピック記念で前年2月の雪印メグミルク杯での3位以来となる約1年ぶりの3位表彰台となったのを最後に、その後は目を覆いたくなるような成績が続く。
さすがのレジェンドも、もう終わりなのではないか? と思わずにはいられなくなった。

2021.03.03札幌五輪記念3位
2021.03.05宮様NH20位
2021.03.07宮様LH7位
2021.07.25名寄サマー25位
2021.08.01宮の森サマー21位
2021.08.06大倉山サマー13位
2021.08.07大倉山チャレンジ15位
2021.10.22全日本選手権NH22位
2021.10.24全日本選手権LH22位
2021.10.30UHB杯20位
2021.12.21名寄ピヤシリ17位
2021.12.22名寄吉田杯26位

ところが、年が明けて葛西は不死鳥のごとく甦る。
大倉山でのTV局杯4試合ですべて表彰台争いを演じ、1本目をトップで折り返したHTBカップでは約1年ぶりに表彰台に返り咲いた。

2022.01.10HBCカップ4位
2022.01.15HTBカップ3位
2022.01.16STVカップ4位
2022.01.29TVh杯6位

そして、この日ついに頂点に立った。
スリップ現象は完治しているわけではないようだが、低迷していた時期と比べて明らかに高い位置を飛んでくる。
向かい風を捉えて後半で伸びる様は、かつての強かった葛西の姿だ。

この日は、WC500試合出場を果たしたシーズンに生まれた愛娘の6歳の誕生日。絶対に優勝すると約束してきたらしい。
そして、本当にそれをやってのけた。

葛西はもう終わりなのではないか?と思っていた自分が恥ずかしい。
2030年の五輪の出場を目指すと明言していることを嗤う者もいる。
でも、この男なら本当に成し遂げてしまうのかもしれない。
そう思わせるに値する見事な勝利だった。

成年組

1 葛西 紀明(土屋ホームスキー部)
2 竹花 大松(土屋ホームスキー部)
3 宮﨑 敬太(東海大学)
4 二階堂 蓮(NSC札幌)
5 栃本 翔平(雪印メグミルクスキー部)
6 渡部 陸太(東京美装グループスキー部)

雪印メグミルク杯は、「若手ジャンパーの登竜門」的位置づけで長らく開催されてきたため、少年組(高校男子)だけでなくジュニア組(中学男子)の設定がある。
よって、2019年第60回大会まではノーマルヒルである宮の森で開催されてきた。

しかし、「世界のジャンプ大会はノーマルヒルからラージヒルに移行する流れがあることから」2020年第61回大会からラージヒルである大倉山に舞台を移した。

結果としてジュニア組にエントリーする中学生が激減。
年始の開催だった時期も変更となり、全国中学大会とも近くなったこともあって、2020年は4名、2021年は2名、そして今年は遂に1名だけのエントリーとなってしまった。

そのジュニア組唯一の選手である西田蓮太郎。
ジュニア組、少年組、成年組の基本ゲートは同じで、かつGFもあるので直接比較できるが、少年組としてエントリーしていたとしても3位に該当する成績。
スゴイとしか言いようがない。

大倉山のTV局杯に中学男子選手としてただ一人全試合に出場した。
全中制覇に向けて直前までラージヒルで飛び続けることに迷いもあったと聞くが、その全中も圧勝で制した。
少年組を制した坂野旭飛に続く、日本ジャンプ界の新たなる希望。

ジュニア組

西田 蓮太郎
1 西田 蓮太郎(下川中学校)

少年組

1 坂野 旭飛(下川商業高校)
2 中村 正幹(東海大学付属札幌高校)
3 杉山 律太(下川商業高校)
4 森野 幹登(札幌日本大学高校)
5 辻 創太(東海大学付属札幌高校)
6 鈴木 寛太(長野白馬高校)

女子組の優勝は小林諭果。
1本目をトップで折り返し、2本目は125.5mを飛んだ葛西春香に詰め寄られたが、自らも124.0mで応戦し逃げ切った。

これで大倉山3連勝。
雪上シーズン開幕からの7試合で4勝目。
そして全試合で表彰台に立っている唯一の選手だ。

1位2位3位
名寄ピヤシリ宮嶋 林湖葛西 春香小林 諭果
名寄吉田杯葛西 春香中山 和小林 諭果
HBCカップ小林 諭果一戸 くる実中山 和
HTBカップ葛西 春香一戸 くる実小林 諭果
STVカップ小林 諭果茂野 美咲葛西 春香
TVh杯小林 諭果宮嶋 林湖葛西 春香
雪メグ杯小林 諭果葛西 春香櫻井 梨子

少し残念だったのは岩佐明香が棄権したこと。
WC転戦から帰国した最初の試合となった前日のTVh杯では4位。第2戦となるこの試合で、小林諭果との力関係を確認したかったジャンプファンも多かったのではないか。
何よりも、小林諭果が誰よりもそれを心待ちにしていたはず。

それが見られなかったのは残念だが、岩佐は試技は飛んでいたが本戦を棄権したので怪我か何かがあったものと思われる。
心配だ。

女子組

小林諭果
1 小林 諭果(CHINTAIスキークラブ)
葛西 春香
2 葛西 春香(東海大学付属札幌高校)
櫻井 梨子
3 櫻井 梨子(余市紅志高校)
一戸 くる実
4 一戸 くる実(N高等学校)
中山 和
5 中山 和(下川商業高校)
齋藤 優
6 齋藤 優(下川商業高校)

表彰式

女子組
ジュニア組
少年組
成年組
ジュニア特別奨励賞 西田 蓮太郎

なお、雪上シーズン開幕からここまで全試合で表彰台に乗り続けていた岩佐勇研は、この日10位に終わりその記録が途絶えてしまった。

1位2位3位
名寄ピヤシリ渡部 弘晃岩佐 勇研池田 龍生
名寄吉田杯岩佐 勇研渡部 弘晃内藤 智文
HBCカップ岩佐 勇研栃本 翔平渡部 弘晃
HTBカップ内藤 智文岩佐 勇研葛西 紀明
STVカップ二階堂 蓮岩佐 勇研渡部 陸太
TVh杯岩佐 勇研二階堂 蓮渡部 弘晃
雪メグ杯葛西 紀明竹花 大松宮﨑 敬太

今季の大倉山は、いつも通りの強めの向かい風が吹く日と、ここが大倉山であることを忘れる程に穏やかな日に極端に分かれる。
前日は後者だったが、この日は前者。
ビュービューと音が鳴るような強い向い風が吹いた。

今季の大倉山の運営で気になることは、少しゲートの設定が高すぎやしないかということ。
そのあたりのことは昨秋のUHB杯の記事でも触れているのだが、年が明けてもその傾向は変わらないような気がする。

ただ、UHB杯の時との大きな違いは、その時は「沙羅ゲート」や「陵侑ゲート」との兼ね合いがあったということ。
でも年が明けて以降にはその問題はないはず。なのにここまで高速設定にするのは果たしてどうなのか?
高速設定はTV局杯でより顕著なような気もするが、公平性と安全性よりもスペクタクル性が重視され過ぎてやしないか。

この日の試技で渡部弘晃が着地で派手に転倒し担架で運ばれた。
この時の飛距離は144.5m。HSを7.5mも上回る。
突風が吹いたといえばそれまでだが、それは大倉山であれば予測できたはず。やはり適切なゲートではなかったように思われる。

それと、上位選手に対しての風待ちが多いのも気になる。
これは条件を揃えるためであって、決して特定の選手に忖度しているものではないことは承知している。しかし、結果的として不公平を作り出してしまっている場面も散見される。
この日、岩佐勇研は10分以上スタートを待たされた。前日も二階堂蓮が待たされた。二人とも結果としてそれが不利に働いてしまった。

風向風速が目まぐるしく変わる大倉山では待ち始めるとキリがない。
なので、ある程度安全性さえ担保できている状況であれば待たずに飛ばして、公平性についてはWFにその補正を委ねる方が良いのではないか。

大倉山はおそらく世界で一番運営の難しい台。
しかも、世界一を獲った選手と中高生が同じ土俵で勝負をする。
この運営にたずさわる方達の苦労は計り知れない。
何が正解なのかはわからないが、世界で戦える選手を育てようとするならば、世界基準で運営するのが一番のように思える。


雪印メグミルク杯は、TV局杯ではないがTV中継される札幌で唯一の大会。
中継はHBCが担うが、この試合はYouTubeで全編生配信された。
これで、秋に行われたNHK杯とUHB杯以外の札幌での大会は全てYouTube配信されたことになる。

ただし、それぞれに考え方の違いが色濃く見られる。
ファンにとっては全編生配信が一番であることは言わずもがな。
でも、TV局のビジネスとして採算が合わなければ長続きできないだろうから、そこがなんとも悩ましい。

HBCカップ1本目まで生配信解説:斎藤浩哉
HTBカップ全編生配信解説:山田いずみ
STVカップ放送後に全編配信解説:原田雅彦
TVh杯1本目まで生配信
放送後に全編配信
実況・解説無し
雪メグ杯全編生配信
(放送はHBC)
解説:西方仁也