スキージャンプFISワールドカップ2023/24男子個人第19戦札幌

葛西紀明が出場記録を570回に更新しポイントも獲得 クラフト歴代3位の39勝目 小林陵侑は僅差の2位

23th World Cup Competition
  • 2024年2月17日(土)
  • 札幌(JPN)
  • HS137/K123

Official Results

1  シュテファン・クラフト(AUT) 263.0pt
2  小林 陵侑(TEAM ROY) 262.6pt
3  アンドレアス・ヴェリンガー(GER) 256.9pt
 
10  小林 潤志郎(雪印メグミルクスキー部) 230.3pt
24  二階堂 蓮(日本ビールスキー部) 204.0pt
30  葛西 紀明(土屋ホームスキー部) 169.2pt
35  佐藤 慧一(雪印メグミルクスキー部) 86.1pt
44  中村 直幹(Flying Laboratory SC) 73.1pt
46  小林 朔太郎(草津スキークラブ) 70.8pt
49  坂野 旭飛(下川商業高校) 37.0pt
   竹内 択(team taku) 予選52位

予選リザルト 本戦リザルト


葛西紀明が、金曜の予選を45位で突破し、2019/20札幌以来となる4シーズンぶりのワールドカップ(WC)出場を果たした。
これにより自身の持つWC最多出場記録を570試合に更新。さらには51歳での出場によりWC最年長出場記録も塗り替えた。

そして1本目で28位に入り2本目に進出。
2本目は飛距離を伸ばせなかったが、30位で見事にポイントを獲得した。
葛西のWCポイント獲得は2018/19プラニツァでの19位以来、実に5シーズンぶり。

一部に口さがない意見も見られるが、決して忖度でこの舞台にいるわけではない。
全日本スキー連盟が定めた選考基準に則り自力で出場権を掴んだ。
また、WC代表権を獲得以降もTVh杯で国内戦で2シーズンぶりの優勝、そして雪印メグミルク杯でも2位と、文句のつけようのない成績を挙げていた。

葛西紀明のWC出場までの道のり
  • 12月16日
    名寄ピヤシリ大会 GO!

    4位となりコンチネンタルカップ(COC)札幌大会の選考会の出場権を得る

  • 1月7日
    COC札幌 選考会 GO!

    5位以内となりCOC札幌の出場権を獲得

  • 1月21日
    COC札幌 GO!

    3試合の結果により日本勢総合1位となりワールドカップ札幌の代表権を獲得

  • 2月16日
    WC札幌第1戦 予選

    45位となり4シーズンぶりに予選を突破

  • 2月17日
    WC札幌第1戦

    歴代最多出場数を570試合に更新
    30位となり5シーズンぶりにポイント獲得

葛西効果なのか、この日は-そして翌日も-たくさんの観客が詰めかけた。
葛西紀明が登場すると場内の雰囲気は一変する。これだけのスター選手が揃うワールドカップにおいてでさえも。
久々のワールドカップ出場とポイント獲得はヨーロッパでも熱狂をもって伝えられている。

Top10 & Team Japan

1 シュテファン・クラフト(AUT)
2 小林 陵侑(TEAM ROY)
3 アンドレアス・ヴェリンガー(GER)
4 マニュエル・フェットナー(AUT)
5 ダニエル・チョフェニック(AUT)
6 ヤン・ヘール(AUT)
7 クリストファー-エリクセン・スンダル(NOR)
8 ダヴィド・クバツキ(POL)
9 ペテル・プレヴツ(SLO)
10 小林 潤志郎(雪印メグミルクスキー部)
24 二階堂 蓮(日本ビールスキー部)
30 葛西 紀明(土屋ホームスキー部)
35 佐藤 慧一(雪印メグミルクスキー部)
44 中村 直幹(Flying Laboratory SC)
46 小林 朔太郎(草津スキークラブ)
49 坂野 旭飛(下川商業高校)

昨年は小林陵侑の小林陵侑による小林陵侑のための大会だった札幌大会。
3試合で2勝+3位。自らをして「とんでもない3日間」と言わしめた。

1本目をトップで折り返したことで、その再現に期待が一気に高まった。
しかし、僅か1.7ptの背後にクラフトがピタリと付く。

大歓声に押された陵侑の2本目は、クラフトが描いた緑のライン上の際どい位置に着地したように見えたが、勝利を確信したか陵侑はガッツポーズを見せた。
場内が固唾を飲んでスコアボードを見守る。
しかし、陵侑の名前はクラフトの一つ下に表示され大歓声はため息に変わった。


139.0mを飛びオール19.5の飛型点を出したクラフトに対し、陵侑は0.3pt分条件が悪い中138.5mを飛び飛型点はオール19.0。
両者の得点差はわずかに0.4pt。飛型点の差がものを言っただろうか。
いずれにしても、しびれるような勝負。ため息は両者への拍手喝采に変わった。

小林陵侑は今季10回目の表彰台にして8度目の2位。
総合順位を一つ上げ2位に浮上した。
なお、札幌大会としては5試合連続6度目の表彰台。

クラフトは今季9勝目。
通算39勝目で歴代3位のアダム・マリシュとカミル・ストッフに並んだ。
39回のうち最も多く勝利を挙げているのが札幌の5回。また、札幌での表彰台はその5勝を含む9度目。

札幌大会におけるクラフトの表彰台

※ 2017/18、2020/21、2021/22は開催されていない。

表彰式

3位は4位から上がってきたヴェリンガー。今季10度目の表彰台。
4位フェットナー、5位チョフェニック、6位ヘールとオーストリア勢が続いた。

日本勢は小林陵侑と葛西紀明に加えて、小林潤志郎と二階堂蓮がポイントを獲得。

小林潤志郎は2021/22クリンゲンタールでの9位以来となるトップ10入り。
今季の最高位は前戦レークプラシッドの17位だったので、ここにきて調子が上がってきているようだ。
なによりも、日本のファンの前で今季ベストの成績を出せたことがうれしかったようだが、日本のファンにとってもそれがなによりもうれしい。

ピックアップ ギャラリー

今季は厳しい試合が続くポーランド。
この日の大倉山では、例年通りにポーランドサポーターが声援を送った。
その甲斐あってかクバツキが今季初のシングル8位。この台のヒルレコードホルダーであるストッフも今季ベストの11位に迫る12位と、まずまずの結果を見せた。

そんなストッフをはじめとして、遠い遠いSapporoまで遥々やってきてくれた海外選手たちに敬意を表し、下手な写真ではあるが例によって何人かをピックアップしてみた。

12 カミル・ストッフ(POL)
13 マリウス・リンビーク(NOR)
15 ロマン・コウデルカ(CZE)
18 アルティ・アイグロ(EST)
21 フィリップ・ライムント(GER)
23 ロブロ・コス(SLO)
28 アンティ・アアルト(FIN)
40 シモン・アマン(SUI)
41 グレゴール・デシュバンデン(SUI)
43 ウラジミール・ゾグラフスキ―(BUL)

WC個人総合順位

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