第65回雪印メグミルク杯ジャンプ大会

佐藤慧一が国内戦5年ぶりの勝利 電撃参戦の伊藤有希は格の違いを見せつける

全日本スキー連盟A級公認
  • 2024年2月12日(月祝)
  • 札幌市 大倉山ジャンプ競技場
  • HS137/K123

女子組(基本ゲート1本目30、2本目30)

1  伊藤 有希(土屋ホームスキー部) 263.9pt
2  岩佐 明香(大林組スキー部) 201.6pt
3  櫻井 梨子(あいおいニッセイ同和損保) 151.0pt
 
4  小林 諭果(CHINTAIスキークラブ) 77.5pt
5  五十嵐 彩佳(ガスワンスキーチーム) 56.2pt
6  鴨田 鮎華(ブレイズスキーチーム) 42.3pt

リザルト

ジュニア組(基本ゲート1本目28、2本目28)

1  岡部 凛大郎(江別第三中学校) 220.1pt
2  三上 託摩(積丹美国中学校) 197.3pt
3  姫野 蒼大(札幌前田中学校) 164.0pt
 
4  高橋 劉成(札幌伏見中学校) 101.0pt
5  森 大耀(札幌福井野中学校) 99.5pt
6  清水 絢心(札幌福井野中学校) 97.8pt

リザルト

少年組(基本ゲート1本目20、2本目20)

1  清水 広大(余市紅志高校) 8.2pt
2    
3    
 
4    
5    
6    

リザルト

成年組(基本ゲート1本目20、2本目20)

1  佐藤 慧一(雪印メグミルクスキー部) 264.3pt
2  葛西 紀明(土屋ホームスキー部) 257.2pt
3  小林 朔太郎(群馬県スポーツ協会) 255.8pt
 
4  池田 龍生(雪印メグミルクスキー部) 242.3pt
5  内藤 智文(山形県スポーツ協会) 236.1pt
6  宮﨑 敬太(東京美装グループスキー部) 228.9pt

リザルト 総合リザルト


晴天に恵まれた札幌。
今季の大倉山の試合で全く雪が降らなかったのは初めてではなかったろうか。
そのせいなのか、あるいは雪印さんの動員策の賜物なのかお客さんがよく入った。

雪印メグミルクチームにとって、会社の名を冠したこの大会での勝利は2017年大会での小林潤志郎までさかのぼる。
7年ぶりの勝利奪還はチームにとって最優先課題と位置付けられた。

それを見事に果たしたのは佐藤慧一。
1本目で138.5mを飛びトップに立つと、向かい風が増して飛距離合戦となった2本目で最長不倒となる143.5mを飛び、迫りくるライバルたちを突き放した。

自身にとっても2019宮様大会ノーマルヒル以来5年ぶりとなる国内戦での勝利。
今季は成績不振でワールドカップチームから外れていたが、先月行われたCOC札幌大会の結果によりWC札幌大会の代表権を獲得している。
空中での操作性向上のために板を5cm短くするなどの試行錯誤がようやく結果に表れてきたようだ。

2位の葛西紀明と3位の小林朔太郎も、COC札幌大会でWC札幌大会の代表権を掴んでいる。
結果としてこの日は、代表権を掴んだ3名が表彰台に上った。

例年だとCOC札幌の結果を受けて代表選手が決まると翌週がWC札幌。
対して今季はCOCからWCまでが4週間ほど空いている。
しかもその間に大倉山での大会が二つ(TVh杯、雪印メグミルク杯)あり、実戦を交えながら調整に取り組める。更には大会直前に来日する選手たち-日本の選手も含めて-と比べて時差調整の心配もない。

このあたりにアドバンテージがあるように思えるので、この日の表彰台の3人には期待が膨らむ。

ワールドカップ札幌大会 代表選手

  • 小林 陵侑(TEAM ROY)
  • 二階堂 蓮(日本ビールスキー部)
  • 小林 潤志郎(雪印メグミルクスキー部)
  • 中村 直幹(Flying Laboratory SC)
  • 竹内 択(team taku)
  • 葛西 紀明(土屋ホームスキー部)
  • 佐藤 慧一(雪印メグミルクスキー部)
  • 小林 朔太郎(草津スキークラブ)
  • 坂野 旭飛(下川商業高校)

成年組

1 佐藤 慧一(雪印メグミルクスキー部)
2 葛西 紀明(土屋ホームスキー部)
3 小林 朔太郎(群馬県スポーツ協会)
4 池田 龍生(雪印メグミルクスキー部)
5 内藤 智文(山形県スポーツ協会)
6 宮﨑 敬太(東京美装グループスキー部)

ジュニア組

1 岡部 凛大郎(江別第三中学校)
2 三上 託摩(積丹美国中学校)
3 姫野 蒼大(札幌前田中学校)
4 高橋 劉成(札幌伏見中学校)
5 森 大耀(札幌福井野中学校)
6 清水 絢心(札幌福井野中学校)
7 長谷川 琉已(名寄中学校)

少年組

1 清水 広大(余市紅志高校)

雪印メグミルク杯は、「若手ジャンパーの登竜門」的位置づけで長らく開催されてきたため、少年組(高校男子)だけでなくジュニア組(中学男子)の設定がある。

ただし、2020年大会から舞台を宮の森から大倉山に移したことと、年始の開催だった時期も変更となったために全国中学やインターハイとも開催時期が被り中高生の選手が参加しずらくなってしまった。
昨年のジュニア組は1名のみ。今年も少年組が1名のみとかなり寂しい。

しかし、今年のジュニア組には7名が参戦した。
彼らは大倉山の国内戦には少年組としてエントリーしている選手たちではあるが、ジュニア組として参戦するこの大会では、少年組・成年組とは切り離されているためゲート設定が異なるという点が大事なポイント。

この日の少年組・成年組の基本ゲートは20番。対してジュニア組は28番。
いつもはシニア選手と同じゲートで飛ぶので飛距離を出すことが難しいが、この大会では彼らの力に合わせたゲートが設定されているので大ジャンプが期待できる。

これによって生まれたのが岡部凛大郎の132.5mであり、姫野蒼大の127.0m。
男子中学生たちが大倉山でぶっ飛ぶことができる唯一の大会。
それが雪印メグミルク杯。

女子組

1 伊藤 有希(土屋ホームスキー部)
2 岩佐 明香(大林組スキー部)
3 櫻井 梨子(あいおいニッセイ同和損保)
4 小林 諭果(CHINTAIスキークラブ)
5 五十嵐 彩佳(ガスワンスキーチーム)
6 鴨田 鮎華(ブレイズスキーチーム)

驚きは伊藤有希の参戦。
今週は元々WCの試合が組まれていないことに加えて翌週のルシュノフもキャンセルが決定している。そのために女子WCチームは一旦帰国。
「日本にいる限り、出ないという選択肢はない」(昨年のHBCカップ)と公言する伊藤有希は、今年のHBCカップと同様にその信念を貫き有言実行。

その伊藤は、リクエストにより1本目で6段、2本目で5段ゲートを下げた。
これ、本来は逆なのだと思う。
逆というのは、伊藤がゲートを下げるのではなく、下げたそのゲート(あるいはそれに近いゲート)でこの試合を行うことが本来の姿であったということ。

国内戦にはかねてから「沙羅ゲート問題」があった。
高梨沙羅にゲートを合わせると、他の多くの選手たちがK点の遥か手前に着地してしまう。
競技という観点からはそれが実力差の表れであるので何も問題はない。
ただ、スペクタクルという観点からは、(誤解を恐れずに敢えて言えば)観客は正直なんともつまらないものを見せられることになる。

国内戦でのゲートファクター(GF)の導入は、この問題の解消に繋がるのではないかと見る向きもあった。
つまり、下位選手には高めのゲート設定をしておいて高梨ら上位陣はジュリー判断で下げるという手法を採ることで、下位選手であってもある程度の飛距離を出すことができる。

しかし、GFは本来このような趣旨のものではないと個人的には解釈している。
少なくともWCにおいては、やはりあくまでも最も遠くに飛ぶであろう選手に合わせて基本ゲートは設定される。そのうえで、変化する風向風速に対して安全と公平の観点からのみ、その補正をGFに委ねるというのが、このルールのあるべき姿なのだと理解している。

(中略)

これは想像にすぎないが、おそらくこの日のジュリーの判断は、WCのようなゲート設定ははなから目指さずに、選手の実力に合わせて徐々にゲートを下げていくことも止む無しといった、割り切った運営を行っていたのではないだろうか。
どのみちGFの加点・減点があるのだから、決してハンデ戦のようなことにはならないわけだし…

結果として、中位以下の選手たちにもK点ジャンプが続出したこの日の運営は大いなるスペクタクルもたらした。
どのようなゲート運用を「適性」と呼ぶかはわからないが、世界最高レベルの選手がいるこの国において、その選手と中高生を同じゲートで飛ばせることにそもそも無理があるのではとも思う。
であるならば、こと国内戦においては、選手の実力差に応じてゲート設定を変えるという運用方法はそれほどおかしなことでもないとも思える。

第34回UHB杯ジャンプ大会

今回の試合でも、これと同じ感想を持った。
加えてこの日は風の強弱も大きかった。ゲート設定は非常に難しかったと思われる。
いずれにしても大倉山はおそらく世界で一番運営の難しい台。

伊藤有希は格の違いを見せつけて圧勝したが「140.0mは飛べたはず」と不本意だった模様。
先日のWCでも同様の発言をしていたが、飛距離への飽くなき渇望があるようだ。
フライングが楽しみ。でも、怪我だけはゴメン。

表彰式

女子組
ジュニア組
少年組
成年組

恒例のジュニア特別奨励賞 。
今年の受賞はジュニア組で優勝した岡部凛大郎。
プレゼンターは雪印メグミルクスキー部総監督の岡部孝信。

周囲から促されて照れながらも岡部総監督は登壇。
岡部孝信の表彰台は、引退した2014年のTVh杯で優勝して以来10年ぶり(笑)

ジュニア特別奨励賞 岡部 凛大郎

最後にどうしても紹介したいのが鈴木翔。
ゲートに違いはあったとはいえ試技で137.0mを飛びトップ。
本戦では風にやられたか上手くいかなかったが、それでも今季の鈴木翔は本当に素晴らしい。

実業団に属さず、大きなスポンサーもない。
普通に仕事をしながら活動を続け、それでいて成績も出す。
こうした選手は男子において他にも見られるが、やはり琴線に触れるもの。ついつい応援したくなる。

11 鈴木 翔(札幌手稲スキー協会)

雪上シーズン国内戦の表彰台(女子)

大会 優勝 2位 3位
名寄ピヤシリ 岩佐 明香 小林 諭果 成田 楓
名寄吉田杯 岩佐 明香 小林 諭果 岩崎 里胡
HBCカップ 中止    
TVh杯 岩佐 明香 小林 諭果 櫻井 梨子
雪印メグミルク杯 伊藤 有希 岩佐 明香 櫻井 梨子
カツゲンカップ      
札幌五輪記念      
宮様ノーマル      
宮様ラージ      
伊藤杯ファイナル      

雪上シーズン国内戦の表彰台(男子)

大会 優勝 2位 3位
名寄ピヤシリ 小林 朔太郎 佐藤 幸椰 栗田 力樹
名寄吉田杯 中止    
HBCカップ 中止    
HTBカップ F.メート D.フーバー J.シュスター
STVカップ R.ペデルセン F.メート D.フーバー
TVh杯 葛西 紀明 佐藤 慧一 清水 礼留飛
雪印メグミルク杯 佐藤 慧一 葛西 紀明 小林 朔太郎
カツゲンカップ      
札幌五輪記念      
宮様ノーマル      
宮様ラージ      
伊藤杯ファイナル      
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