2019/20 FISスキージャンプワールドカップ男子個人第3戦ニジニ・タギル

佐藤幸椰 ワールドカップ初優勝

2019年12月7日(土)ニジニ・タギル(RUS)HS134/K120

5th World Cup Competition

1  佐藤 幸椰(雪印メグミルクスキー部) 251.6pt
2  カール・ガイガー(GER) 250.1pt
3  フィリップ・アッシェンバルド(AUT) 249.4pt
 
6  小林 陵侑(土屋ホームスキー部) 244.6pt
11  伊東 大貴(雪印メグミルクスキー部) 233.5pt
26  小林 潤志郎(雪印メグミルクスキー部) 206.4pt
36  中村 直幹(東海大学札幌スキークラブ) 93.2pt
54  葛西 紀明(土屋ホームスキー部) 予選落ち

予選リザルト オフィシャル リザルト


 

佐藤幸椰がワールドカップ初優勝。

 

2014/15札幌でのWCデビューから約5年。
2017/18ヴィリンゲンで29位となり初ポイント。
その翌日に11位。
2018/19インスブルックで初シングル6位。
2018/19ザコパネで初表彰台3位。
今夏GPで総合2位。
時には一進一退を繰り返しながらも、一歩一歩階段を上って遂に栄冠にたどり着いた。

 

時には一進一退を繰り返しながら-
この日の勝利もそんな展開。
1本目を7位で折り返した時点では、表彰台争いには絡めたとしてもまさか勝てるとは思わなかった。
しかし、2本目でカレントリーダーに立つと、リーダーボードの前でパイエル、クラフト、ガイガー、アッシェンヴァルト、ジワのジャンプを見届けた。
そして、ラストのぺテル・プレヴツが緑のラインの手前に着地した瞬間にチームメートたちの祝福の抱擁が待っていた。

 

伊東大貴の初勝利も、小林潤志郎の初勝利も、小林陵侑の初勝利もすべてうれしかったのは間違いないけれど、中でも中学生の時から観てきた幸椰の勝利が一番うれしいかな。

 

そして佐藤幸椰だ。
小学2年でジャンプを始め、兄の正棋の活躍に触発されより高いところを目指すようになったという。
男女各1名しか出場できない第1回冬期ユースオリンピックで高校1年生ながら見事銅メダルを獲得。インターハイ3連覇を成し遂げた史上唯一の選手でもある。

雪印メグミルク入社後も、2015ジュニア世界選手権でフォルファング、ヴェリンガーなどに次ぐ4位と健闘する等、着々とステップアップは果たしていた。
でも個人的には、2017年のHBCカップで「一人だけ違うテーブルから踏み切ったかのような高い飛び出しを見せた」、あの頃から幸椰のジャンプが大きく変わったように感じている。

2017/18 男子個人第15戦ヴィリンゲン

 

ヴィスワとルカに比べると条件は安定していたとは思うけれど、1本目と2本目での順位の乖離も大きいことから、数値には表れない風のいたずらがあったのではないかと推察される。
1本目トップだったプレヴツは2本目15位で結果8位。2位だったジワに至っては2本目28位で結果24位にまで沈んでしまった。
一方で、シュリーレンツァウアー、クバツキ、ストッフ、リンビーク、フォルファングなどは1本目の泣きたくなるような結果を2本目で取り返している。
やはり、この試合もかなり難しい試合だったと思われる。そんな中、2本揃えられた3人が表彰台に立った。

 

2位のガイガーは今季初、昨季ヴィリンゲンでの優勝以来の表彰台。
3位のアッシェンバルドは前戦に続く今季2度目の表彰台。
4位のシュリーレンツァウアーは2016/17ヴィリンゲンでの7位以来となるシングル。

 

それにしても、幸椰の後の6人のジャンプはホントに心臓に悪かった。
特に表彰台が懸かったラスト3人。これほど緑のラインを凝視したこともない。
越えたか、手前か、オンラインか-
食い入るように見ていた。
あのライン、WF/GFの試合では絶対的な必需品。