2018/19 FISスキージャンプワールドカップ男子個人第5戦ニジニ・タギル

快進撃! 小林陵侑 5戦3勝で総合トップを独走

2018年12月2日(日) ニジニ・タギル(RUS)HS134/K120 

6th World Cup Competition 

 小林 陵侑(土屋ホームスキー部) 273.1pt 132.5m133.5m
 ヨハン-アンドレ・フォルファング(NOR) 259.2pt 132.5m 130.0m
 ピオトル・ジワ(POL) 258.9pt 126.0m 133.0m
 
18 中村 直幹(東海大学) 230.1pt 125.5m 119.0m
19 小林 潤志郎(雪印メグミルクスキー部) 229.5pt 121.5m124.5m
23 伊東 大貴(雪印メグミルクスキー部) 227.6pt124.0m121.0m
34 葛西 紀明(土屋ホームスキー部)109.1pt120.5m 
39 竹内 択(北野建設)101.7pt116.0m 

予選 リザルト

オフィシャル リザルト


 

小林陵侑の快進撃が止まらない。
予選を含めて3本のジャンプで一度もトップを譲ることなく完勝。
5試合で早くも3勝目。残る2試合も3位。
重ねたポイントは420ptで、2位ジワとの間に135ptの差をつけて独走状態だ。

 

スタートゲート上や飛び終えた後、そして表彰台等での所作も随分と様になってきた。
ついでに言うと、この日勝利の瞬間に満面の笑みで両手を突き上げた宮平コーチもその所作に余裕が感じられるようになってきた。

 

ジワとストッフがここまでの5試合全てでシングルと中々の好調さを見せ総合2位と3位に付けていたり、フォルファングがじわじわと総合順位を上げてきていたり、ライエがドイツ勢のトップに位置していたり、アアルトが開幕戦で初のシングルとなる7位に入ったと思ったらこの日はさらに更新して6位になってたり、ゾグラフスキーもルカで2011/12リレハンメル以来となる2度目のシングルに入っていたり・・・
陵侑が巻き起こす衝撃の前では、そういったことが全部霞んでしまう。

 


 

さて、SAJの事前の発表では、ニジニ・タギル終了時点で「6名のなかでもっとも成績の芳しくない選手」と佐藤幸椰を入れ替えることとなっていたが、それが竹内択となることが明らかとなった。
5戦目にして伊東大貴が初ポイントを挙げ、これでポイントがないのは竹内と葛西紀明だけだったのだが、最近の調子を踏まえて葛西を残すことにしたとのこと。
この後、竹内はCOC派遣チームに合流するらしい。

 

namerankpt1st2nd3rd4th5th
小林 陵侑14203位1位1位3位1位
小林 潤志郎215219位17位18位30位19位
中村 直幹292844位28位23位27位18位
伊東 大貴41834位52位32位44位23位
葛西 紀明038位38位35位34位
竹内 択043位58位41位39位

 

小林陵侑の大躍進は、この夏にアプローチを変えたことが大きく関係しているということに先日も触れたが、実は竹内択もこの夏にアプローチの改善に手を付けたうちの一人。

 

竹内択は新アプローチ姿勢への取り組みが奏功した。
今季から、筋力ではなく骨格で姿勢を保つように変更したというのだが、素人にはイメージしにくい。
他の選手でもやっている人はいない独自のものらしいが、名寄に続き2連勝したことから、確かな手ごたえを感じているようだ。
平昌五輪ではNHには漏れ、LHでも22位に終わった。そこで危機感を抱いたことがアプローチの変革を決意させたのだとか。
GPでは3勝を挙げているがWCでは未勝利。2013/14シーズンに葛西紀明がよみがえる前は、伊東大貴と並んで日本のダブル・エースと称されていた男。今度こそはと期待したい。

第36回札幌市長杯宮の森サマージャンプ大会(2018.08.09)

 

そして葛西も。

 

その意味では、今夏絶不調の葛西紀明が選ばれたことには、いろいろな意見があろうとは思う。
2シーズン前から出始めたスリップ現象は、いまだに解消されていないらしく、今夏は新しいアプローチ姿勢に取り組んだ。
そのおかげてアプローチスピードは向上が見られたけれど、やはりスリップが収まらない。
前日のNHでの26位を受けて、この日はアプローチ姿勢を元に戻したら18位。
一部のメディアからはこれを一筋の光明と捉える報道もなされたが・・・

第97回全日本スキー選手権大会ラージヒル(2018.10.29)

 

この夏にアプローチを変えた3人ではあるが、半年も経たないうちに明暗が分かれてしまった。
ホント、つくづく繊細なスポーツだと思うね。

 

でも、シーズンはまだ始まったばかり。
幸椰の活躍を期待すると同時に、竹内、葛西の復活を待ちたい。