2019/20 FISスキージャンプワールドカップ男子個人第22戦ルシュノフ

ガイガー ノーマルヒルで甦る ライエ ワンツーで援護射撃

2020年2月21日(金)ルシュノフ(ROU)HS97/K90

27th World Cup Competition

1  カール・ガイガー(GER) 270.3pt
2  シュテファン・ライエ(GER) 264.7pt
3  シュテファン・クラフト(AUT) 264.5pt
 
35  渡部 弘晃(東京美装グループ) 109.4pt
36  岩佐 勇研(東京美装グループ) 109.0pt
40  栃本 翔平(雪印メグミルク) 107.3pt
43  竹内 択(team taku) 106.0pt

予選リザルト オフィシャル リザルト


 

ガイガーが、ただ一人100.0mジャンプを2本揃えて快勝。
今季3勝目だが、前2つの勝利はいずれもバルディフィエンメのノーマルヒル戦。
これで今季ここまでのNHは3戦全勝だ。

 

とにかくガイガーはNHで強さを発揮する。
さらに言えば、ここルシュノフで男子WCが開催されるのは初めてだが、過去2試合だけ開催されたGPでも連勝。つまりこれでルシュノフ3連勝。

カール・ガイガーが前日のGP初優勝からの連勝。
今季はここまで第2戦ヒンターツァルテンでの2位表彰台があったが、その時もNH。
WCでは2015/16ラハティでの2位がこれまで唯一の個人表彰台だが、それもNH。
NHが得意ではあるようだけれど、GPでは2016チャイコフスキーでの3位と2017ヴィスワでの3位は、いずれもLH。そして2014平昌五輪団体での銀も、もちろんLH。
決してNH専用機というわけではない。

2018 GP個人第9戦ルシュノフ

この記事の通り、2018GPルシュノフ時点ではWC・GPを通じてLHでの勝利がなかったが、その後2018/19エンゲルベルク2018/19ヴィリンゲンで勝利を飾っており、NH専用機ではないことを証明して見せたが、2019GPヒンターツァルテンでの勝利はまたもやNH。
NHが強いことは間違いない。

 

ガイガーのWC・GPでの勝利
1 2018.9 GP ルシュノフ NH
2 2018.9 GP ルシュノフ NH
3 2018.12 WC エンゲルベルク LH
4 2019.2 WC ヴィリンゲン LH
5 2019.7 GP ヒンターツァルテン NH
6 2020.1 WC バルディフィエンメ NH
7 2020.1 WC バルディフィエンメ NH
8 2020.2 WC ルシュノフ NH

 

2位の座をめぐってはクラフトとライエの争いとなったが、0.2pt差でライエが1本目のポジションを死守。総合争いでクラフトを追うガイガーにとってはチームメートの頼もしい援護射撃となった形。

 

2本目が始まると、カメラにもはっきりと映るほどに雪が降り始め5人目のコウデルカが飛んだところで中断。
雪がアプローチに積もって全くスピードが出なくなり、80mにも届かなかったことにナイスガイのコウデルカもお冠のご様子。
ブロワーだけでなくブラシでアプローチを激しくこする場面が映し出されたけど、かなり湿った雪だったのだろう。こういう雪はブロワーでは吹き飛ばすことはできない。
その後雪は止み、くだんの5人は最初のテクニカルブレイク明けに飛び直しとなったけれど、ことコウデルカに関してはその救済措置をあまり活かせなかったかな。

 

日本勢は当初の派遣基準通りに総入れ替え。(その件に関しては、以前書いたので興味のある方は是非どうぞ)
海外WC初エントリーとなった渡部弘晃は、17日に国体に出場した後19日に出国し予選当日の20日未明に現地に到着するという強行軍。
国体の舞台は初めて飛ぶ立山シャンツェで、しかもアプローチがシャーベット状になっていたようだが、「難しい台や、いつもとは違う台を飛ぶことが、国体に出る一番の理由」として、ルシュノフの台にいち早く対応することを念頭に戦い見事に優勝を遂げた。

 

その意気や良し。
海外初WCで予選を見事に突破。しかも日本勢トップで。
そして、本戦は残念ながら2本目には進めなかったものの、これまた日本勢でトップ。
今季からモデルチェンジした驚くほど低いアプローチからの、直線的に前へ前へ進む持ち味はある程度見せられたのではないか。
予選ではあまり出ていなかったスピードを本戦では修正できていたことも国体での経験がさっそく活きたのかも。

 

WCスタンディング