スキージャンプFISワールドカップ2023/24女子個人第10戦札幌

伊藤有希が「狙って勝った」通算9勝目 札幌大会で7年ぶりの日本勢の勝利

10th World Cup Competition
  • 2024年1月14日(日)
  • 札幌(JPN)
  • HS137/K123

Official Results

1  伊藤 有希(土屋ホームスキー部) 230.1pt
2  カタリナ・シュミット(GER) 224.0pt
3  ニカ・クリジュナル(SLO) 218.2pt
 
7  高梨 沙羅(クラレ) 204.9pt
23  丸山 希(北野建設SC) 146.9pt
24  岩佐 明香(大林組スキー部) 145.7pt
34  勢藤 優花(北海道エネルギースキー部) 56.4pt
 宮嶋 林湖(松本大学) 予選42位

予選リザルト 本戦リザルト


狙って勝ちにいく

昨シーズン、ヴィリンゲンでの日本勢表彰台独占の際の6季ぶりの勝利と、最終戦ラハティでの勝利の2勝を挙げた伊藤有希。
シーズン終了後に帰国した際のインタビューで語ったのが冒頭の言葉だ。

本人としては、周りの流れや運、助けなど色々な力があっての勝利と捉えており、狙って勝ち取ったという実感が乏しかったらしい。
そのことが、次のシーズン以降は「自分で狙って勝ちにいく」という強い決意表明につながったようだ。

以降、伊藤有希は何度かこの言葉を口にしてきた。
今シーズンは開幕戦で勝利を挙げたが、それもまた狙って勝てたものではなかったようだ。
ここまで8試合でシングル順位を逃したのは一度だけ。
機は熟したか「札幌に戻った時から今回は優勝を狙っていた」

1本目をトップで折り返した。
飛んだ後に、今日1月14日は2017年に宮の森でWC初優勝を遂げた日であることを小川コーチから告げられ緊張が高まったらしい。

そうして迎えた2本目。
リーダーボードに立つシュミットと同じ129.5mを飛んだ。
WFの差と何よりも1本目の貯金があったので、緑のラインはしっかりと越えてきた。

得意のテレマークも入り、勝利を確信したかブレーキングではガッツポーズを見せた。
同じく勝利を確信した観客も大声援を送る。

高梨沙羅、岩佐明香、丸山希、宮嶋林湖が駆け寄り、伊藤有希はその輪の中で勝利の瞬間を迎えた。
今季2勝目。
札幌で2度目の勝利。
そして、初めて「狙って勝った」通算9勝目。

Top10 & Team Japan

1 伊藤 有希(土屋ホームスキー部)
2 カタリナ・シュミット(GER)
3 ニカ・クリジュナル(SLO)
4 アレクサンドリア・ルティト(CAN)
5 シリエ・オプセット(NOR)
6 ジョセフィーヌ・パニエ(FRA)
7 高梨 沙羅(クラレ)
8 エバ・ピンケルニッヒ(AUT)
9 ジャクリーン・ザイフリーズベルガー(AUT)
10 ニカ・プレヴツ(SLO)
23 丸山 希(北野建設SC)
24 岩佐 明香(大林組スキー部)
34 勢藤 優花(北海道エネルギースキー部)
予選42位 宮嶋 林湖(松本大学)

日本勢の札幌大会での優勝は、前述の2017年の伊藤有希以来7シーズンぶり。
2019年に舞台が宮の森から移って以降、大倉山では初勝利となる。
何度味わっても、この地で聞く「君が代」には心が震える。

日本勢の札幌大会での勝利

2014.01.11 宮の森 高梨 沙羅
2014.01.12 宮の森 高梨 沙羅
2015.01.10 宮の森 高梨 沙羅
2015.01.11 宮の森 高梨 沙羅
2016.01.16 宮の森 高梨 沙羅
2016.01.17 宮の森 高梨 沙羅
2017.01.14 宮の森 伊藤 有希
2024.01.14 大倉山 伊藤 有希

伊藤有希は、総合順位を2つ上げ2位に浮上。
イエロービブのニカ・プレヴツが2試合連続10位だったこともあり一気に69ptにまで迫った。

高梨沙羅は、前日は4位、この日は7位で、今季初めてとなる2試合連続シングル。総合順位を一つ上げた。
丸山希は4試合連続のポイント獲得。総合順位を一つ上げた。

地元の応援団も大勢駆け付けた勢藤優花は7試合ぶりのノーポイント。
前日、ようやく今季初ポイントを獲得した宮嶋林湖は残念ながら予選を通過できなかった。

開催国枠の出場ながら、前日に23位になったことで日本勢のWCスタンディング5位となり、選考基準によりこの日の出場権を得た岩佐明香。
この日もしっかり予選を通過し本戦では24位。
こうしてコツコツとポイントを獲得していけば、きっと未来は開けるはず。

表彰式

前日はロストバゲージにより出場できなかった選手たちも、この日まで荷物は間に合い全員が予選に出場できた。
クリジュナルは3位、ルティトは4位。ストレイトやハラランビエもポイントを獲得した。

少しはうっ憤を晴らすことができただろうか。

ピックアップ ギャラリー

今季は札幌大会が初参戦となった中国チーム。
北京オリンピックを機に強化が進み、フィンランドからコーチを招くなど進化し続けている。
この2日間でリュウ・キが21位、30位で連続ポイント獲得で気を吐いた。

そんなリュウ・キをはじめとして、遠い遠いSapporoまで遥々やってきてくれた海外選手たちに敬意を表し、下手な写真ではあるが例によって何人かをピックアップしてみた。

12 アビゲイル・ストレイト(CAN)
13 マリタ・クラマー(AUT)
16 リサ・エダー(AUT)
19 ユリア―ネ・ザイファルト(GER)
20 テア-ミニャン・ビョルセット(NOR)
22 キアラ・クロイツァー(AUT)
26 ララ・マルジナー(ITA)
28 ダニエラ・ハラランビエ(ROU)
30 リュウ・キ(CHN)
33 ニコル・マウラー(CAN)
35 カロリーナ・インドラツコバ(CZE)

WC総合順位

ツアーは蔵王に移動する。
選手たちは、束の間の札幌でのフリータイムを楽しんだらしい。
札幌のことをますます好きになってくれたのだとしたら、とてもうれしい。

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