ザイツが開催国に栄冠をもたらす 小林陵侑は遂にメダルをつかむ
2023年3月3日(金)プラニツァ(SLO)HS138/K125
Men Large Hill Individual
金 | ティミ・ザイツ(SLO) | 287.5pt |
銀 | 小林 陵侑(土屋ホームスキー部) | 276.8pt |
銅 | ダヴィド・クバツキ(POL) | 276.2pt |
29 | 中村 直幹(Flying Laboratory SC) | 230.5pt |
32 | 二階堂 蓮(日本ビールスキー部) | 110.2pt |
34 | 小林 潤志郎(雪印メグミルクスキー部) | 107.6pt |
小林陵侑は晴れやかな笑顔だった。
トップで折り返した2本目。目前でザイツが137.0mの大ジャンプを見せカレントリーダーに。地元の観客が沸く。
その声援が鳴りやまない中、金メダルを賭けて踏み切った渾身の一発。しかし、2本目の中で最も強い追い風を受けてしまいザイツが残した緑のラインには数メートル届かなかった。
この瞬間に金メダルの目は消えたが、クバツキ、ストッフとのメダル争いは果たして…
WFがしっかりと役目を果たし2位を確保した。
その瞬間、陵侑は満面の笑みを見せた。「2本ともビックジャンプができたので、すごくうれしいです」とインタビューで見せた表情も柔和だ。
今季の序盤での成績からメダルは厳しいと思っていたという。世界選手権で個人種目としては3度目の出場にして初のメダル獲得。「ようやく取れて良かった」と、喜びというよりほっとしたという心境だろうか。
日本勢にとって今大会のスキージャンプ種目としては初のメダル。
世界選手権でのジャンプ個人男子としては、2003年にLHとNHで銅を獲得した葛西紀明以来20年ぶりのメダル獲得となる。
開催国スロベニアの今大会のメダルは、この試合を前にして混合団体の銅メダルのみ。個人種目では期待されていたラニセク、クリネツらも精彩を欠いた。
2日前にはぺテル・プレヴツが練習中に大クラッシュを起こし欠場を余儀なくされ、また元日の試合での転倒により大怪我を負い療養中だったウルサ・ボガタイが引退かというようなニュースが流れてきたりもした。
そんな中にあってザイツの金メダルは特別に喜ばしい。
今季は序盤から目立った成績は上げていなかったが、クルムのフライング戦から一気に調子を上げこの栄冠を手繰り寄せた。狙ってこの大会にピークを合わせてきていたのだとすれば凄いことだ。
世界選手権の個人種目でのこれまでの最高位は10位。一気に頂点に上り詰めた。
今季四天王のうちの一人クバツキが銅メダルを獲得。
残る二人のうちグランネルとラニセクは混合団体でこそメダルを獲得しているが、クラフトも含めて個人種目では結果を出すことができなかった。
今日のグランネルは1本目で3位。ようやく世界選手権におけるイエロービブの呪いから抜け出せるかと思いきや2本目は14番手の得点で7位まで順位を下げてしまった。
やはり呪われているのか。
男子個人ラージヒル歴代メダリスト
金 | 銀 | 銅 | |
---|---|---|---|
2007 | S.アマン | H.オリ | R.ヨケルソイ |
2009 | A.キュッテル | M.シュミット | A.ヤコブセン |
2011 | G.シュリーレンツァウアー | T.モルゲンシュテルン | S.アマン |
2013 | K.ストッフ | P.プレヴツ | A.ヤコブセン |
2015 | S.フロイント | G.シュリーレンツァウアー | R.ベルタ |
2017 | S.クラフト | A.ヴェリンガー | P.ジワ |
2019 | M.アイゼンビヒラー | K.ガイガー | K.パイエル |
2021 | S.クラフト | R.ヨハンソン | K.ガイガー |
2023 | T.ザイツ | 小林陵侑 | D.クバツキ |