クラフト 復活の雄叫び 佐藤幸椰 7位
2021年3月5日(金)オーベルストドルフ(GER)HS137/K120
Men Large Hill Individual
金 | シュテファン・クラフト(AUT) | 276.5pt |
銀 | ロベルト・ヨハンソン(NOR) | 272.1pt |
銅 | カール・ガイガー(GER) | 267.4pt |
7 | 佐藤 幸椰(雪印メグミルク) | 256.7pt |
13 | 佐藤 慧一(雪印メグミルク) | 235.9pt |
32 | 小林 潤志郎(雪印メグミルク) | 93.9pt |
29 | 小林 陵侑(土屋ホーム) | 90.3pt |
水曜日。衝撃的なニュースは、自身のインスタグラムによって伝えられた。
グランネルがまさかのコロナ陽性反応。
「明らかに私の今大会が終わったことを意味している」
金メダルの最有力候補は、個人ノーマルヒル4位、混合団体で銀メダルという、期待されていたものよりも随分と寂しい成績しか残せずに大会を去ることとなった。
金メダルに輝いたクラフトは、今季のワールドカップにおいては存在感が薄かった。
コロナ陽性や持病の腰痛により7試合を欠場。流れに入れないままシーズンは進み、ここまで勝利なし。表彰台もティティゼー-ノイシュタットで3位になった1回だけ。オーバーオールは17位だ。
今大会に入ってからも個人NHで10位。混合団体では銅を獲ったが、クラフト自身はやや精彩を欠いた。
それが一転。ラージヒルで突如として王者の顔を見せた。
予選前のトライアルでトップ。予選でトップ。本戦前のトライアルでトップ。
何がそうさせたのかは知らないが急にゾーンに入りだした。
本戦でもその勢いは止まらず1本目でトップ。条件が悪かった上位陣とは違い、条件が良かった早い番手で飛べたことも幸いした。
最後は緑のラインを超え雄叫びを上げた。2位ヨハンソンとは4.4pt。2本ともオール19点台の美しすぎるテレマークが効いた。
クラフトは2017年大会以来となる2度目の個人LHの金。今大会では混合団体の銅メダルに続く2つ目のメダル獲得。
難しい試合ではあった。
基本は向かい風。でも、強さの変化が激しい。
大雪ともなり、アプローチでは常にブロワーの音が響き渡ってもいた。
これによりスピードを失った選手もいただろうし、ランディングバーンにも雪が積もり着地が危うい。
小林陵侑が1本目で、アイゼンビヒラーが2本目でその餌食となり着地で派手に転倒。
でも、転倒が無かったとしても二人ともメダルに届くことは難しかったと思われる。
アイゼンビヒラーは1本目で悪条件にあたり16位と出遅れていたし、陵侑は悪条件に加えて踏切が遅れたこともあり飛距離が出なかった。
風と雪は多くの選手たちを苦しめはしたが、それでも結果はそれほど不条理には感じない。
銀のヨハンソン、銅のガイガーは条件も良かったかもしれないが、しっかりと仕事を果たし大舞台に強いところを見せつけたと思う。
ガイガーは前回大会の銀に続く2大会連続の個人LHのメダル獲得。今大会では個人NHの銀、混合団体の金に続く3つ目のメダル獲得。
ヨハンソンは混合団体の銀メダルに続く2つ目のメダル獲得。
残念だったのは佐藤幸椰。
1本目は4位でメダルの期待もかかったが2本目は伸ばせず7位。
ただ、1本目の134.0mは、ここ最近では一番いいジャンプだったように思う。
個人NHのチーム最高位は陵侑の12位だったけれど、何とかシングル順位を一つ獲ることができた。
日本チームとしては、ちょっとだけ胸をなでおろすことができたかも。
男子個人ラージヒル歴代メダリスト
金 | 銀 | 銅 | |
2007 | S.アマン | H.オリ | R.ヨケルソイ |
2009 | A.キュッテル | M.シュミット | A.ヤコブセン |
2011 | G.シュリーレンツァウアー | T.モルゲンシュテルン | S.アマン |
2013 | K.ストッフ | P.プレヴツ | A.ヤコブセン |
2015 | S.フロイント | G.シュリーレンツァウアー | R.ベルタ |
2017 | S.クラフト | A.ヴェリンガー | P.ジワ |
2019 | M.アイゼンビヒラー | K.ガイガー | K.パイエル |
NEW | S.クラフト | R.ヨハンソン | K.ガイガー |