2018/19 FISスキージャンプワールドカップ男子個人第23戦オスロ

小林陵侑 日本男子初のワールドカップ総合優勝

2019年3月10日(日) オスロ(NOR)HS134/K120

30th World Cup Competition 

 ロベルト・ヨハンソン(NOR) 262.0pt 127.0m 129.5m
 シュテファン・クラフト(AUT) 258.3pt 134.0m 126.0m
 ぺテル・プレヴツ(SLO) 252.8pt 125.5m 129.0m
 
5 小林 陵侑(土屋ホーム) 250.1pt 127.0m 126.0m
8 佐藤 幸椰(雪印メグミルク) 244.4pt 130.0m 126.0m
11 小林 潤志郎(雪印メグミルク)  233.3pt 125.0m 125.5m
28 葛西 紀明(土屋ホーム) 197.9pt 114.0m115.0m
45 伊東 大貴(雪印メグミルク) 63.1pt 97.5m 
58 中村 直幹(東海大学) 予選落ち  

予選リザルト オフィシャル リザルト


 

小林陵侑がスキージャンプ・ワールドカップにおいて総合優勝を決めた。
1979/80シーズンに始まり40年の歴史を数えるこの大会で日本人の総合優勝は初。
過去には船木和喜が1997/98に総合2位、1996/97に総合3位、葛西紀明が1992/93と1998/99に総合3位になっているが、遂にその壁を破り日本人選手が頂点に上り詰めた。

 

「まだあまり実感できない」
小林陵侑の言葉の通り、まだあまり実感できていないジャンプファンも多いのではないか。少なくとも私はそうだ。
ただし、私が実感できない理由は「あまりに偉業すぎて…」だからではなく、もうとっくに陵侑の総合優勝は確定的であとはいつ決まるかだけだったと思えるから。
なのでジャンプ週間の時のようなドキドキ・ワクワク感に包まれてこの試合を見ていたわけでもなく、総合優勝が決まっても不思議なぐらい特別な感情は沸かなかった。

 

この試合を前にして陵侑は1620pt。2位のストッフは1145pt。
6戦を残して総合優勝の可能性は既にこの両者にしかなく、仮にストッフが6戦全勝したとしても陵侑は6戦で125ptを積めばよく、6戦すべて12位だったとしてもタイトルは獲れる位置にいた。
さらに、もしストッフがこの試合で勝てなかった場合は、残りの5戦を全勝したとしても、この試合で25pt以上の差が付けば陵侑の総合優勝が決まる。
もちろん怪我などの不測の事態はありえないことではないが、そうでもない限りは陵侑の総合優勝はやはり確定的。この日の試合で決まることも十分に考えられる状況だった。

 

残念なのは、そのあたりの状況をJスポがしっかりと伝えきれていなかったこと。
2本目でストッフが失速しカレントリーダーになれなかった時点で、陵侑の総合優勝決定の可能性が一気に高まったのに特にそれに触れるでもなく。
実況席がどうこうではなく番組全体として総合優勝決定戦への準備が足りていなかったように思う。

 

そもそも国際映像も全く総合優勝に触れていないし、場内でも総合優勝決定を告げるアナウンスすら流れなかったらしい。
正直、ちょっと拍子抜けな感じは否めなかった。
実は、昨季も状況は違えど同じような拍子抜け感を味わっている。

昨季は最終戦プラニツァでWC総合優勝が決まったのでまだ良かったが、今季はモロにRAW AIRタイトルとWC総合優勝が同じ試合で決まってしまった。
しかも、この日の主役はヨハンソンで、彼がWC総合ではなくRAW AIRタイトルを争っていたこともあり、この試合の注目点がRAW AIRタイトル争いに集中してしまったような感がある。
結果としてWC総合優勝決定が霞んでしまった感は否めない。

2017/18 FISスキージャンプワールドカップ男子個人第20戦ビケルスン

 

もちろん、だからと言ってこの大偉業自体が霞んでしまったわけではない。
陵侑をして「僕的には一番でかい。五輪よりもでかいかもしれない」と言わしめる究極のタイトル。
シーズン開幕前― そう、それは僅か4ヵ月前 ―には、まさかこんなことが達成されるなんて夢にも思っていなかった。

 

ホントに不思議なぐらいに「まだあまり実感できない」けれど、プラニツァでクリスタルトロフィーを掲げる姿を見た時に特別な感情が沸いてくるのかも。
その時までの残り5戦をしっかりと楽しみたいし、陵侑にもストッフにも他の全ての選手にも存分に楽しんでもらいたい。

 

WC総合順位

 


 

ヨハンソンは今季初優勝。
プレヴツ今季初表彰台。
佐藤幸椰は今季4度目のトップ10。
なかなか面白い試合だった。

 

RAW AIR トーナメント 総合順位 第3ラウンド終了時点(全順位
1ロベルト・ヨハンソン(NOR)547.0
2小林 陵侑(JPN)518.9
3シュテファン・クラフト(AUT)516.5
4マルクス・アイゼンビヒラー(GER)498.1
5フィリップ・アッシェンバルド(AUT)482.5

 


 

さて、こうして綴っていても「まだあまり実感できない」ので、気分を盛り上げるために少し陵侑について振り返っておくことにする。

 

小林陵侑が初めてこのブログに登場したのは2012年2月の第49回全国中学校スキー大会の記事。

豆情報
・小林 陵侑って潤志郎の弟らしい。

第49回全国中学校スキー大会

当時はその程度の認識だった。

 

初めて見たのは2011年7月の第15回全日本ジュニア&レディース サマージャンプ朝日大会だったようだけど、残念ながら記憶にも写真にも残っていない。
彼の写真が残っているのは2012年夏以降。
そのいくつかを紹介しておく。

 

2012年 第30回札幌市長杯宮の森サマージャンプ大会
少年組6位(岩手盛岡中央高校)

2013年 第31回札幌市長杯宮の森サマージャンプ大会
少年組2位(岩手盛岡中央高校)

2014年 第85回宮様スキー大会国際競技会LH
少年組3位(岩手盛岡中央高校)

2015年 第56回雪印メグミルク杯全日本ジャンプ大会
少年組優勝(岩手盛岡中央高校)

2016年 第28回UHB杯ジャンプ大会
男子組優勝(土屋ホームスキー部)

2017年 第96回全日本スキー選手権大会LH 兼 第59回NHK杯ジャンプ大会
男子組3位(土屋ホームスキー部)

2018年 第60回NHK杯ジャンプ大会
男子組優勝(土屋ホームスキー部)

2019年 FISスキージャンプワールドカップ男子個人第16戦札幌
3位(土屋ホームスキー部)