2017/18 FISスキージャンプワールドカップ男子個人第20戦ヴィケルスン

ストッフ総合優勝とRAWAIR獲得 ヨハンソン初優勝

2018年3月18日(日) ヴィケルスン(NOR)HS240/K200 

28th World Cup Competition 

 ロベルト・ヨハンソン(NOR)  444.3pt  232.0m  246.0m
 アンドレアス・ストエルネン(NOR)  438.9pt  239.0m  235.0m
 ダニエル-アンドレ・タンデ(NOR)  436.6pt  231.5m  243.0m
 
10  葛西 紀明(土屋ホームスキー部)  396.5pt  224.5m  216.0m
20  佐藤 幸椰(雪印メグミルクスキー部)  365.8pt  200.0m  220.0m
22  小林 陵侑(土屋ホームスキー部)  362.6pt  203.5m  202.0m
23  小林 潤志郎(雪印メグミルクスキー部)  361.0pt 210.0m  206.5m
   竹内 択(北野建設) 予選落ち    

予選 リザルト
オフィシャル リザルト


 

話を整理しよう。
この試合の勝者は、これがWC初優勝となるロベルト・ヨハンソン。
そして、長かった10日間の結末として、この試合でRAW AIRのタイトルを決めたのはカミル・ストッフ。
更にストッフは、長かった2017/18シーズンの結末として、この試合でWC総合優勝も決めた。

 

RAW AIRのタイトル争いは、9ラウンドを終わって、首位ストッフをヨハンソンが55.7pt差で追う展開となっていた。
最終決戦となるこの試合で、ストッフはFHのランキングが低いためライバルたちよりも先に飛ぶことを余儀なくされた。
このことがヨハンソンに有利に働いたように思う。ストッフの1本目がやや精彩を欠いた結果に終わったことも手伝って、ヨハンソンは主導権を握ることができ、コーチリクエストを駆使する展開に持ち込めた。
6位に終わったストッフに対し、最後は尻もちつきそうな246.0mでヨハンソンは初優勝をものにした。
両者のRAW AIRポイントは37pt差にまで詰まったが、ストッフが逃げ切りタイトル獲得。ヨハンソンは総合2位。

 

試合は2位にストエルネン、3位にタンデと、ノルウェーが表彰台を独占。
同一国での表彰台独占っていつ以来だろう?
なお、ストエルネンはRAW AIRの総合3位を獲得。

 

この試合の結果、ストッフの4シーズンぶり2度目のWC総合優勝も決定。
これは2位フライタークとの間で、残り2試合で253pt差がついたため。
前述の通り、この日のストッフは6位。フライタークは大きな見せ場もなく8位。
RAW AIRタイトル決定、ヨハンソン初優勝、ノルウェー表彰台独占の陰で、気がつけばWC総合優勝がひっそりと決まっていたって感じ。

 

昨季のヴィケルスンが終わった時にこんなことを書いている。

シーズン終盤のWC総合王者争いの真っ最中に、別のタイトル争いをぶち込んできたことで、双方ともにやや焦点がぼけてしまったような気もする点がやや気になるが、RAW AIRは非常に面白いチャレンジだったと思う。
多少の改善は必要かもしれないが、また見たいと思わせてくれる魅力があった。

 

昨季は最終戦プラニツァでWC総合優勝が決まったのでまだ良かったが、今季はモロにRAW AIRタイトルとWC総合優勝が同じ試合で決まってしまった。
しかも、この日の主役はヨハンソンで、彼がWC総合ではなくRAW AIRタイトルを争っていたこともあり、この試合の注目点がRAW AIRタイトル争いに集中してしまったような感がある。
結果としてWC総合優勝決定が霞んでしまった感は否めない。

 

RAW AIRは非常に面白いチャレンジであるという印象は今も変わらないし、また見たいと思わせてくれる魅力があるという感想も変わらない。
でも、開催する時期だけはなんとかならないものかと思う。
ただ、移設するにしても【10日間】を丸ごと移設できる隙間がシーズンにあるのかと問われるとなかなか難しいのだけれど・・・
RAW AIR、ヴィリンゲン・ファイブ、そしてこの後はプラニツァ・セブン。ついでに女子のリレハンメル・トリプル。
別格である4HT以外は要らないかも… というのが正直な感想ではある。

 

日本勢では、葛西紀明が10位。
昨季はここで2位となり、かつ、FHでのパーソナルベストを更新した。
この日は、その再現とはならなかったが、やはり葛西のFHは見ていて楽しい。プラニツァも楽しみ。
佐藤幸椰がFHを普通に飛べることも分かった。いや、普通にどころか結構ちゃんと飛んでK点を越えてくる。プラニツァも楽しみ。

 

 

 RAW AIR トーナメント 総合順位   (オフィシャル スタンディング) 
1  カミル・ストッフ  POL   2590.6 
2  ロベルト・ヨハンソン NOR  2553.6 
3  アンドレアス・ストエルネン NOR 2508.3 
4  シュテファン・クラフト AUT 2480.9 
5  ダニエル-アンドレ・タンデ NOR 2408.3 
6  ヨハン-アンドレ・フォルファング  NOR 2392.8 
7  リヒャルト・フライターク GER 2333.1 
8  ダヴィド・クバツキ POL 2286.4 
9  マルクス・アイゼンビヒラー GER 2194.6 
10  ぺテル・プレヴツ SLO 2165.9 
11  小林 陵侑 JPN 2140.1 
16  小林 潤志郎 JPN 2025.7 
21  佐藤 幸椰 JPN 1774.9 
24  葛西 紀明 JPN 1631.8 
43  竹内 択 JPN 848.9 

 


 

さて、WC総合はストッフに決まったが、2位以下はまだ順位が変動する可能性を残している。
4位のヴェリンガーまでが2位の可能性を残しているし、6位のヨハンソンまでが3位の可能性を残している。
クラフトとヨハンソンが好調な一方で、ドイツ勢に勢いがみられなくなっているので、3位争いが面白いかも。

 

 2017/18ワールドカップ 総合順位 (オフィシャル スタンディング
1  カミル・ストッフ POL  1243   
2  リヒャルト・フライターク GER  990  -253 
3  ダニエル-アンドレ・タンデ NOR 925  -65 
4  アンドレアス・ヴェリンガー GER  813  -112 
5  シュテファン・クラフト AUT  741  -72 

※ 個人第20戦終了時点