葛西紀明ガッツポーズ 愛弟子伊藤有希とアベックV
2017年11月5日(日) 札幌市 大倉山ジャンプ競技場 HS134/K120
NHK杯 女子組(ゲート1本目13 2本目14)
① 伊藤 有希(土屋ホームスキー部) 256.8pt(123.0m 133.0m)
② 高梨 沙羅(クラレ) 222.6pt(117.5m 122.0m)
③ 岩渕 香里(北野建設) 135.9pt(85.0m 110.5m)
全日本選手権 兼 NHK杯 男子組(ゲート1本目8 2本目8)
① 葛西 紀明(土屋ホームスキー部) 276.1pt(130.5m 134.0m)
② 小林 潤志郎(雪印メグミルクスキー部) 261.0pt(132.5m 125.0m)
③ 小林 陵侑(土屋ホームスキー部) 234.0pt(121.5m 123.5m)
4 竹内 択(北野建設) 231.4pt(122.5m 120.5m)
5 伊東 大貴(雪印メグミルクスキー部) 213.0pt(127.0m 108.0m)
6 渡部 弘晃(東京美装グループスキー部) 210.7pt(116.5m 117.5m)
アイストラックで行われる冬季国内開幕三連戦の最終戦。
男子は全日本選手権とNHK杯を兼ね、女子はNHK杯として開催。
2日前に行われた宮の森での全日本選手権NHで採用されたGF/WFは採用されていない。
葛西の飛行曲線が戻ってきた。
昨年のHBCカップで見た時のモデルチェンジしたのかと思うほどの低いフライト。その後のWC札幌大会での2試合続けての惨憺たる結果。そしてWCでの不振。
これらの要因として、元康氏が本人への取材をもとにスリップ現象を挙げていたが、今季は-まだ始まったばかりだけど-それが解消されたということか。
夏の宮の森と大倉山では優勝し、名寄でも2位になったりしていたので大丈夫とは思っていたけれど、サッツの映像見てないし、アイストラックだとどうなのかなとか、失礼ながら半信半疑で・・・
でも、これで安心できた。
助走姿勢についてはまだ悩みがあったようだが、金曜日の全日本NHの伊藤有希の映像をヒントに修正したのだとか。
愛弟子からでさえ得られるものを得ようとする姿に、有希ちゃんも「そこが凄いところですよね」
その伊藤有希も、沙羅に敗れた金曜・土曜の借りを返すかのような圧勝ぶり。
飛距離もさることながら、飛型点で沙羅に差をつけることができたのが大きい。
有希は高く、沙羅は低く。二人の飛行曲線の違いがより鮮明になってきた3連戦だったようにも思う。
葛西紀明と伊藤有希の土屋ホームアベック優勝。
さらには小林陵侑も3戦連続表彰台。
退任する川本総監督への最高のはなむけになったんじゃないかな。
女子組
① 伊藤 有希(土屋ホームスキー部)
② 高梨 沙羅(クラレ)
③ 岩渕 香里(北野建設)
4 丸山 希(明治大学)
5 勢藤 優花(北海道ハイテクアスリートクラブ)
6 御家瀬 恋(下川商業高校)
男子組
① 葛西 紀明(土屋ホームスキー部)
② 小林 潤志郎(雪印メグミルクスキー部)
③ 小林 陵侑(土屋ホームスキー部)
4 竹内 択(北野建設)
5 伊東 大貴(雪印メグミルクスキー部)
6 渡部 弘晃(東京美装グループスキー部)
表彰式
女子組 高梨、伊藤、岩渕
女子組最長不倒賞 伊藤 有希 133.0m
男子組 小林潤、葛西、小林陵
男子組 竹内、伊東、渡部
男子組最長不倒賞 葛西 紀明 134.0m
TV中継を見ていて、スーツの形状に変化が見られたように思ったんだけど気のせいかな?
昨シーズンのアディダスのスーツに顕著だった、肩の部分がまるで甲冑のように横に張り出して見える形状(こちら)に近く、かつ、腕の付け根部分が昨年のノルウェーのようにゆったりとしたように見えるんだけど・・・
もう一つ気づいたのは、一けた台の気温の中、選手たちが半袖のアンダーシャツを着用していたこと。
これは、今季からスーツの下に着るものは肘丈のシャツ・膝丈のパンツのツーピースに限定されるルール改定があったためと思われる。
横川コーチによる生地の話だけでなく、昨年のWCではスーツに関する怪しい話は他にもいくつか耳にした。アンダーウェアのルール改定は、その解消への一つの答え。
昨季の日本WC男子陣の不振の要因はスーツによるところが大きかったことは間違いないと思う。
地理的に不利な状況もあり、ある程度は仕方のないことではあるのだけれど、それでもなんとか開発競争に後れを取るまいと日本も必死に頑張っている。
でも、列強各国は、さらにその上の手を打ってくるかもしれない。
いたちごっこにならないことを祈るばかり。
予選で3位となった船木和喜。
残念ながら1本目は40位で2本目に進めなかったが久々に魅せてくれた。
船木 和喜(FIT SKI)
1本目で6位となり入賞の期待がかかった鈴木翔。
残念ながら2本目は22位で結果は13位。
もっともっと活躍してほしいし、またそれができる選手のうちの一人。
鈴木 翔(札幌手稲スキー協会)
昨年5月にジャンプを始めた選手がもう大倉山を飛んでいると青野さんに絶賛された清水悠月。確かに凄い。
清水 悠月(新潟新井高校)
この日6位の御家瀬恋も称賛に値する。
この3日間で、7位、5位、6位。
下川商業女子選手としては、TVh杯優勝のインパクトがデカい鴨田鮎華に注目が集まるが、御家瀬恋の方がランキングは上。この3日間もすべて鴨田鮎華より上に立った。
この二人が、沙羅と有希のようにWCで頂点を競い合える関係になってくれたらうれしいね。
3連戦は天候に恵まれず、特に金曜・土曜は過酷な観戦となってしまったが、それでもとても楽しかった。
男子は3戦とも低速ゲート設定だったが、これが単に悪天候ゆえのことだったのか、それとも世界の頂きを目指すための方針転換ゆえのことだったのか。後者だったら大歓迎だ。
WC序盤戦の遠征メンバーが発表された。
女子は高梨沙羅、伊藤有希、勢藤優花、岩渕香里がリレハンメルとヒンターツァルテンの計5戦に参戦。
男子は葛西紀明、伊東大貴、竹内択、小林陵侑、小林潤志郎がヴィスワとルカの計4戦に参戦
作山憲斗、中村直幹、原田侑武、佐藤幸椰、伊藤将充がニジニ・タギルの2戦に参戦。
平昌五輪の代表が、16/17シーズンと17/18シーズンの世界選手権・WC・GPで「8位以内1度」「10位以内2度」「12位以内3度」の基準を満たした選手から選考されることはすでに発表済み。
加えて、男子は1月6日のジャンプ週間最終戦までが選考対象となり、女子は12月17日のヒンターツァルテンまでが対象となるとも発表された。
現時点で選考基準を満たしているのは、男子は葛西、伊東、竹内、潤志郎、陵侑。女子は高梨、伊藤、勢藤、岩渕。
これ以外の選手は、女子は12月17日までに、男子は1月6日までに選考基準を満たさなければならないことになる。
女子は12月17日までの遠征メンバーは高梨、伊藤、勢藤、岩渕の4名とすでに発表されているので、これ以外の選手はノーチャンス。
男子はニジニ・タギル参戦の5名はもちろん、その他の選手にもティティゼーーノイシュタットからジャンプ週間最終戦までの計8戦の遠征メンバーに入ればチャンスはあることになる。
ただ、ティティゼーーノイシュタットまでの間にはもう国内戦は無いので、新たな選手が派遣される可能性はきわめて低いだろうけどね。