FISノルディックスキー世界選手権2025トロンハイム女子個人NH

大本命のニカ・プレヴツが地力を発揮し金 銀はフライターク 銅はストローム 日本勢最高は伊藤有希の9位

Women Normal Hill Individual
  • 2025年2月28日(金)
  • トロンハイム(NOR)
  • HS102/K94

Official Results

 ニカ・プレヴツ(SLO) 259.2pt
 セリーナ・フライターク(GER) 250.8pt
 アンナ-オディヌ・ストローム(NOR) 246.6pt
 
9  伊藤 有希(土屋ホームスキー部) 214.2pt
14  高梨 沙羅(クラレ) 205.2pt
17  丸山 希(北野建設SC) 195.6pt
24  勢藤 優花(オカモトグループ) 178.3pt

予選リザルト 本戦リザルト


ワールドカップで6連勝中のニカ・プレヴツがその力を存分に発揮しタイトルを手中に収めた。
WCのリーダーがオリンピックや世界選手権のタイトルを獲れないことも多い中で、重圧をはねのけ、いつも通りのパフォーマンスを披露したプレヴツは最大限の称賛に値する。

昨シーズンのWCの総合優勝者であるニカ・プレヴツだが、世界選手権でのメダル獲得はこれが初めて。
この種目でのスロベニアの金メダルは、2021オーベルストドルフのエマ・クリネツ以来二人目。
なお、2015/16のWC総合優勝者であるニカの兄ペテル・プレヴツは、世界選手権では個人での二つのメダルを獲得しているが金メダルは獲得していない。

21番ゲートで始まった1本目は徐々にゲートが下がった。
数値上は強めの向かい風だが実際はかなり巻いているのだろう。ゲートが下がっていけば低めの飛行曲線を描く台の形状とも相まって飛距離を伸ばすことがかなり難しくなる。

リサ・エダーをはじめとした何人かの選手がこの低速ゲートの餌食となってしまったが、上位陣はさすがの技術でこれに打ち勝った。
1本目のトップはプレヴツ。2位ストローム、3位は同点でフライタークとルティト、5位ストレイト、6位クバンダル、7位ピンケルニッヒ。
この7人が飛距離にして2mの内にひしめき合った。世界選手権にふさわしい混戦。

2本目もゲートが徐々に下がる展開ではあったが、さすがの7人は一人として脱落する者はなく息詰まるような戦いが繰り転げられた。

ただ、最後はプレヴツの地力が勝った。
WCでは、プレヴツの6連勝の際にフライタークは4度の2位になっている。フライタークは飛距離でプレヴツを上回ることができるが、プレヴツは飛型点でこれを突き放すことができる。
この試合もまさにそうで、WCでの両者の対決がそのまま世界選手権に持ち込まれた形となった。

フライタークにも金メダルの可能性がなかったわけではない。かつて何人かの選手がそうであったように、WCでの初優勝より先に世界選手権で勝利を飾ることを期待されてもいた。
それは叶わなかったが、フライタークの表情にもコメントにも悔しさよりもうれしさがあふれている。
ちなみに兄のリヒャルトは世界選手権の団体混合団体での金を含む4つのメダルを獲得しているが、個人のメダルは獲得していない。

ストロームは2大会連続のこの種目での銅メダル。
1本目でプレヴツを0.4pt差にまで追いつめたのは鳥肌が立つほどの凄みを感じさせた。
メダル候補の一角であったビョルセットを怪我で欠き、開催国の威信をクバンダルと共に背負ったストロームではあったが、しっかりと結果を出した。なお、クバンダルは4位。

日本勢の最高位は伊藤有希の9位。
今季はアプローチの不調に苦しみ続けてきたが、8位だったこの日の1本目は今季最高の出来だったと振り返った。

インタビューで涙を見せた勢藤優花は、先週のWCを終えてこの地に向かう際にスキーを積み忘れるというハプニングがあったらしい。
試合で使った板が本来使うはずの板だったのか違う板なのかは定かではないが、この大事な試合でそんなことが起こるなんて…
2025.03.02追記:板はこの大会には間に合わなかったようで、この試合で使った板も、団体戦で使った板もスペアだったらしい

世界選手権に女子ジャンプが採用されたのは2009年。2大会後の2013年に混合団体が採用されるまでは女子は個人ノーマルヒルの1種目しかなかった。
なので、その1種目に失敗してしまえば挽回の機会のないまま大会を去らねばならなかった。

その後、2019年に女子団体が採用され、2021年に個人ラージヒルが採用された。こうして今では男子と同数の4種目が実施される。
よって、最初の試合に思うような成績を挙げられなくても挽回の機会はまだ残されている。
今日の試合のエントリーからは外れた一戸くる実にも、思うような成績とはならなかった高梨沙羅と丸山希にも。

女子個人ノーマルヒル歴代メダリスト

 
2009 L.バン U.グレッスラー A.サーゲン
2011 D.イラシュコ E.ルンガルディエール C.マテル
2013 S.ヘンドリクソン 高梨 沙羅 J.ザイフリーズベルガー
2015 C.フォークト 伊藤 有希 D.イラシュコ-シュトルツ
2017 C.フォークト 伊藤 有希 高梨 沙羅
2019 M.ルンビ K.アルトハウス D.イラシュコ-シュトルツ
2021 E.クリネツ M.ルンビ 高梨 沙羅
2023 K.アルトハウス E.ピンケルニッヒ A-O.ストローム
NEW N.プレヴツ S.フライターク A-O.ストローム
いいね!が励みになります