FISノルディックスキー世界選手権2025トロンハイム女子個人LH

ニカ・プレヴツが個人2冠達成 銀はフライターク 銅はクバンダル 丸山希が7位 伊藤有希は9位

Women Large Hill Individual
  • 2025年3月7日(金)
  • トロンハイム(NOR)
  • HS138/K124

Official Results

 ニカ・プレヴツ(SLO) 150.9pt
 セリーナ・フライターク(GER) 136.7pt
 エイリン‐マリア・クバンダル(NOR) 132.4pt
 
7  丸山 希(北野建設SC) 114.3pt
9  伊藤 有希(土屋ホームスキー部) 112.0pt
12  高梨 沙羅(クラレ) 107.0pt
31  勢藤 優花(オカモトグループ) 72.0pt

予選リザルト 本戦リザルト


ニカ・プレヴツが他を圧倒する強さを見せつけた。
強風のため2本目はキャンセルとなったが、1本のジャンプだけで2位に14.2ptの差をつける圧巻の勝利。
個人NHで獲得した金メダルに続く個人種目2冠を達成。世界選手権においては、女子個人LHが実施されるようになって3大会目にして初の2冠達成者。

  ノーマルヒル ラージヒル
2021 E.クリネツ(SLO) M.ルンビ(NOR)
2023 K.アルトハウス(GER) A.ルティト(CAN)
NEW N.プレヴツ(SLO) N.プレヴツ(SLO)

28番ゲートで始まった試合は、徐々に向かい風が強まり23人目から2段下がり、30人目から更に3段下がり、最後の4人で更に1段下がった。

最後の4人で下がったのは、その前のクバンダルが136.0mを飛んだため。これで運営はゲートを下げざるを得なくなった。
しかし、クバンダルが受けたのはこの試合で最も強い向かい風。続くザイフリーズベルガーは風が収まり119.0mと伸ばせず、アルトハウスに至っては追い風に変わってしまい100.5mに撃沈されてしまった。

自らの大ジャンプでゲートを下げさせ後続の勢いを断つ。クバンダルにしてみればしてやったりの展開だったのではないだろうか。
テレマークが入らず飛型点こそ大きく引かれたが、このままトップで折り返すことも十分にあり得る展開ではあった。

ところがフライタークとプレヴツの二人がこれを許さない。
今季のWCで幾度となくこんな試合を競ってきたフライタークは、プレッシャーなど感じることがないかのようにいつも通りの高くてダイナミックなジャンプを披露。クバンダルを4.3pt上回った。

そしてプレヴツ。
いつものように空中で左右に揺れながらもフォーム自体は崩すことなく134.5m。
そして強力な武器であるテレマークランディングをしっかりと決めて見せた。
基本ゲートから6段も下がっていたこともあって150点を超える大量得点で他を圧倒した。

1本目の終了後に風が強まり、2本目をスタートさせたものの5人ほど飛んだところで15分の中断。
そのまま再開されることなく2本目はキャンセル。1本目の結果を持って試合は成立した。

スタートハウスで試合終了を知らされた選手たちは、そこかしこで祝福と健闘を讃え合うハグを交わした。
笑顔の選手たちではあったが、リフトで降りていくときにはクバンダルが涙を流し、プレヴツにも涙が見られた。喜びの涙(クバンダルには悔しさもあったように見えた)というよりはプレッシャーから解放された安どの涙のようにも見えた。

試合後のインタビューに答えた丸山希も、直前まで涙していたのか何度も目をぬぐってからカメラの前に立った。
128.0mを飛んだ後にはガッツポーズも笑顔も見られた。今季WCではまだ一度も獲れていないシングル順位をこの大舞台で獲ることができた。
前回大会は「素直に悔しい」4位。それ以来メダルを獲ると言い続けてきた。それは叶わなかったけれど2年後のメダルを目指すと前を向く。

伊藤有希のインタビューも少し涙声だっただろうか。
夏からずっとアプローチの不調を口にしてきた。世界選手権を目指すことなど考えられないとまで言っていた。
二つの個人戦はいずれも9位。ダブルエースの一人として今できる最高の結果を出したと思う。そして何よりも、いつも通りにチームメートを盛り立てる姿勢を見せ続けた。チームに欠かせない素晴らしきリーダー。

自分のスキーで戦うことができなかった勢藤優花、出場機会がなかった一戸くる実、「不完全燃焼で終わってしまった」という高梨沙羅。
いずれも不本意な結果ではあっただろう。

ただ、シーズンはまだ続く。休む間もなく6日後にはWCが再開する。
選手たちはしっかりと前を向いているはずだ。
いちファンとしては、選手たちの努力が報われることを祈りひたすら応援するのみ。

女子個人ラージヒル歴代メダリスト

 
2021 M.ルンビ 高梨 沙羅 N.クリジュナル
2023 A.ルティト M.ルンビ K.アルトハウス
NEW N.プレヴツ S.フライターク E-M.クバンダル

今大会の女子個人戦は、NHもLHも、WCでの表彰台争いの構図がそのまま反映されたような結果で違和感はほぼ無い感じ。
サプライズはなかったけれど、個人的には納得性の高い結果ではあったように思う。

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