二階堂蓮が難試合を制する 伊藤有希はHSオーバーでV
2022年10月30日(日)北海道札幌市 大倉山ジャンプ競技場 HS137/K123
女子組(基本ゲート1本目18、2本目18)
1 | 伊藤 有希(土屋ホームスキー部) | 232.8pt |
2 | 宮嶋 林湖(松本大学) | 198.4pt |
3 | 小林 諭果(CHINTAIスキークラブ) | 173.8pt |
男子組(基本ゲート1本目8、2本目10)
1 | 二階堂 蓮(日本ビールスキー部) | 250.5pt |
2 | 内藤 智文(米沢スキージャンプクラブ) | 212.1pt |
3 | 中村 直幹(Flying Laboratory SC) | 212.0pt |
4 | 小林 潤志郎(雪印メグミルクスキー部) | 207.3pt |
5 | 坂野 旭飛(下川商業高校) | 205.8pt |
6 | 竹内 択(team taku) | 205.0pt |
試合開始予定時刻は14時10分。
天気予報は曇りで、午後から風が強まるとあった。
実際、試技が始まる13時の時点で既に風は強まってきていた。
その割に試技はサクサクと進んだ。
前日のUHB杯も、多少の条件の違いはシグナルでコントロールすることなくWFにその補正を委ねるような運営だった。この日もそういう運営となるのか…
しかし、この日は前日よりも風の強弱が激しい。おまけにアプローチに舞った枯葉の除去の為もあり、試合は頻繁に止まった。
日没時刻の16時半までには終わらず途中からはナイトゲームに。終盤には雨が降り始めたこともあり、試合は混沌とした様相を呈した。
1本目の1~4位がそのまま最終順位となった女子に対して、男子は2本の順位が大きく乖離する荒れ模様。
12位から2本目は2位の得点で2位表彰台を射止めた内藤智文、24位から2本目はトップの得点で4位入賞となった小林潤志郎らに対して、岩佐勇研は3位から2本目は20位の得点で7位に転落し、佐藤幸椰は4位から8位に沈められることになってしまった。
女子組
2本目にHSオーバーとなる138.5mの圧巻のジャンプを見せた伊藤有希。
試技でも最長となる131.0m、前日のUHB杯の2本目でも134.0m。
飛距離だけでなく真骨頂ともいえる美しすぎるテレマークもビタリと決まる。
宮嶋林湖は9月の白馬サマー大会3位以来の表彰台。
小林諭果は連続の3位。
なお、試技で124.5mを飛んだ高梨沙羅は、着地で左足首をひねってしまったために大事をとって本戦は欠場。
その後、軽く腫れたりもしたようだが、すぐに練習が問題なくできる程度には回復したとのこと。
今季の国内戦表彰台(女子)
大会 | 1位 | 2位 | 3位 |
---|---|---|---|
全日本朝日 | 伊藤 有希 | 佐藤 柚月 | 久保田 真知子 |
サンピラー記念 | 伊藤 有希 | 久保田 真知子 | 中山 和 |
札幌市長杯NH | 丸山 希 | 伊藤 有希 | 岩崎 里胡 |
札幌市長杯LH | 伊藤 有希 | 中山 和 | 久保田 真知子 |
チャレンジ杯 | 伊藤 有希 | 岩崎 里胡 | 五十嵐 彩佳 |
サマー蔵王 | 伊藤 有希 | 高梨 沙羅 | 丸山 希 |
塩沢 | 伊藤 有希 | 高梨 沙羅 | 岩佐 明香 |
白馬サマー | 伊藤 有希 | 丸山 希 | 宮嶋 林湖 |
鹿角サマー | 小林 諭果 | 一戸 くる実 | 櫻井 梨子 |
全日本選手権NH | 高梨 沙羅 | 伊藤 有希 | 丸山 希 |
全日本選手権LH | 高梨 沙羅 | 伊藤 有希 | 勢藤 優花 |
UHB杯 | 高梨 沙羅 | 伊藤 有希 | 小林 諭果 |
NHK杯 | 伊藤 有希 | 宮嶋 林湖 | 小林 諭果 |
男子組
二階堂蓮は、今季国内で6勝目。
11戦出場し6勝、2位2位、3位2回。表彰台を逃したのは9位入賞の1回だけと見事な成績を残しワールドカップへと旅立つ。
2位の内藤智文は、今年1月のHTBカップで優勝して以来となる表彰台。
3位の中村直幹は、前日の優勝に続く連続表彰台。
今季の国内戦の表彰台(男子)
大会 | 1位 | 2位 | 3位 |
---|---|---|---|
全日本朝日 | 二階堂 蓮 | 岩佐 勇研 | 馬淵 源 小林 朔太郎 |
サンピラー記念 | 岩佐 勇研 | 渡部 弘晃 | 坂野 旭飛 |
札幌市長杯NH | 小林 陵侑 | 二階堂 蓮 | 竹花 大松 |
札幌市長杯LH | 小林 陵侑 | 佐藤 幸椰 | 二階堂 蓮 渡部 弘晃 |
チャレンジ杯 | 二階堂 蓮 | 渡部 弘晃 | 小林 陵侑 |
サマー蔵王 | 小林 陵侑 | 二階堂 蓮 | 岩佐 勇研 |
塩沢 | 二階堂 蓮 藤田 慎之介 | 竹花 大松 馬淵 源 | |
白馬サマー | 二階堂 蓮 | 渡部 弘晃 | 葛西 紀明 |
鹿角サマー | 岩佐 勇研 | 渡部 弘晃 | 馬淵 源 |
全日本選手権NH | 二階堂 蓮 | 小林 陵侑 | 山本 涼太 |
全日本選手権LH | 小林 陵侑 | 山本 涼太 | 二階堂 蓮 |
UHB杯 | 中村 直幹 | 二階堂 蓮 | 清水 礼留飛 |
NHK杯 | 二階堂 蓮 | 内藤 智文 | 中村 直幹 |
表彰式
大倉山の国内戦は一部のナイトゲームを除き、通常は午前10時又は10時半に1本目が開始される。よって、この試合の14時10分開始というのは異例。
NHK杯は数年前からBSで生中継されるようになったが、この日の午前にはMLBのワールドシリーズの生中継があった。異例なスケジュールの理由はこれだろうか。
異例といえば、この秋の大会はスーツに関して二つの異なる基準が適用されている。
2022/10/18
【お知らせ ジャンプ】2022/2023 FISルール改正に伴うジャンプスーツ国内ルールの取扱い一部変更について
2022/2023シーズンに向けて、FISのルールが改定されますが、秋季国内大会における取り扱いについて一部、下記の通り変更いたします。記
ジャンプスーツについて
SAJのA級公認サマー大会においては、改正前(現在使用のもの)のスーツを着用することとしますが、10月に開催される全日本スキー選手権大会、それ以後のサマー大会においては、今夏全日本スキー連盟派遣で海外遠征した代表選手は、新しいルールに適応したジャンプスーツを着用することを認めます。以上
公益財団法人全日本スキー連盟
冬シーズンを目前に控え、選手が新ルールに即した道具を使いたいと思うのは当然のこと。
でも、なぜ「今夏全日本スキー連盟派遣で海外遠征した代表選手」だけに新スーツの着用を認めたのか?
おそらくは、スーツのルール変更と同時に身長等の計測方法も変更されたことが関係しているものと思われる。
選手の身長等の計測は今までのアナログ式からレーザー測定器を使ったデジタル式に変更されたのだが、今夏の海外派遣によりFISの試合に出た選手はデジタル式の計測が済んでいる。なので、それに対応した新スーツを用意することができる。
一方、国内組はデジタル式の計測が済んでいないので新スーツを用意できない。
…という理解でよいのだろうか?
「今夏全日本スキー連盟派遣で海外遠征した代表選手」のほとんどが、この冬に海外派遣される代表選手でもある。
彼らに新スーツに慣れさせる機会を与えたと思えば悪いことでもなかったのかもしれない。
ただ、新スーツは上半身が少しゆったりしているようで、旧スーツよりも有利であると思われる。
となると、一部の者だけがそれを着用できるというのは競技会としてはやはり公平性を欠く。
というか、これでは、日頃厳しく違反をチェックし公平性を保とうとしてきたことは何だったのかということにもなりかねない。
オリンピック直後ということもあってか、今季はスーツ以外にもいろいろとルール変更が行われた。
ただ、入ってくる情報も錯綜していたようで、手探りで対応せざるを得ないことも多かったようだ。
この辺りは欧州勢はどうだったのだろう。やはり地の利があるだろうか。
いずれにしても、11月4日にヴィスワにて2022/23ワールドカップがすぐに始まる。