スキージャンプFISワールドカップ2024/25男子個人第23戦札幌

小林陵侑が完全復活の2連勝 葛西紀明は最多出場記録を579に伸ばす

28th World Cup Competition
  • 2025年2月16日(日)
  • 札幌(JPN)
  • HS137/K123

Official Results

1  小林 陵侑(TEAM ROY) 278.4pt
2  マリウス・リンビーク(NOR) 274.2pt
3  ヨハン-アンドレ・フォルファン(NOR) 268.7pt
 
14  二階堂 蓮(日本ビールスキー部) 238.8pt
15  中村 直幹(Flying Laboratory SC) 238.5pt
21  小林 朔太郎(雪印メグミルクスキー部) 226.4pt
22  佐藤 幸椰(雪印メグミルクスキー部) 224.1pt
32  内藤 智文(山形県スポーツ協会) 99.8pt
34  小林 潤志郎(Wynn.) 98.7pt
45  葛西 紀明(土屋ホームスキー部) 75.4pt
46  佐藤 慧一(雪印メグミルクスキー部) 74.9pt
48  竹内 択(team taku) 72.0pt

予選リザルト 本戦リザルト


既視感がある。
2023/24札幌。小林陵侑はシーズン序盤から不調をかこち一度も表彰台に上がることなく迎えた札幌第1戦で優勝するという奇跡的な姿を見せた。
それだけではない。第2戦では3位表彰台。そして第3戦(この年は札幌で3試合が組まれた)では再び表彰台の頂点に立った。

自らをして「とんでもない3日間」と言わしめた、まさに陵侑の陵侑による陵侑のための札幌大会だったわけだが、この日大倉山に集ったジャンプファンはその再演を目撃することになった。

前日の今季初優勝で勢いに乗る小林陵侑。されど予選は17位と控えめ。
しかし、本戦1本目は前日同様に追い風ではあったけれど132.0mまで飛んで見せた。
ヒルサイズに迫る136.0mを飛びビタビタのランディングを決めたリンビークの7.3pt後方に位置する2位で折り返すこととなった。

真骨頂は2本目。
大歓声の中で届いた先はこの日ただ一人のヒルサイズ。
1本目と同様に少しランディングがぶれたが、それでも2人が19.0を付けた。

強烈なプレッシャーを受けたであろうリンビークは131.0m。緑のライン上に着地したように見えた。接戦だ。
しばらく焦らされてから電光掲示板のトップに「47 JPN」が表示された。
息詰まる接戦は4.2pt差で小林陵侑の逆転勝利で決着を見た。

2連勝となった小林陵侑は通算34勝目。
昨日の勝利により2018/19の初優勝から7シーズン連続の勝利を挙げたことになり、今日の勝利で7シーズン連続の複数回勝利を挙げたことになる。

今季初勝利には届かなかったが、リンビークは今季初表彰台。
3位のフォルファンは今季1勝を含む6度目の表彰台。その全てを直近9試合のうちに果たしている。
トロンハイムでの世界選手権に向けてノルウェー勢がいよいよ調子を上げてきたか。

Top10 & Team Japan

1 小林 陵侑(TEAM ROY)
2 マリウス・リンビーク(NOR)
3 ヨハン-アンドレ・フォルファン(NOR)
4 ダニエル・チョフェニック(AUT)
5 シュテファン・クラフト(AUT)
6 ヤン・ヘール(AUT)
7 マキシミリアン・オルトナー(AUT)
8 ドメン・プレヴツ(SLO)
9 アンドレアス・ヴェリンガー(GER)
10 ティミ・ザイツ(SLO)
14 二階堂 蓮(日本ビールスキー部)
15 中村 直幹(Flying Laboratory SC)
21 小林 朔太郎(雪印メグミルクスキー部)
22 佐藤 幸椰(雪印メグミルクスキー部)
32 内藤 智文(山形県スポーツ協会)
34 小林 潤志郎(Wynn.)
45 葛西 紀明(土屋ホームスキー部)
46 佐藤 慧一(雪印メグミルクスキー部)
48 竹内 択(team taku)

日本勢は全員が予選を突破。
開催国枠の選手を含む全員が本戦に進んだのは2019/20以来のこと。その前は2012/13まで遡る。

これにより、まずは葛西紀明のWC個人戦出場が579試合となり、自らが持つギネス記録を更新。
「素直にうれしい」と語ったが、本戦1本目は自ら「クソジャンプ」と評した105.0mで2本目には進めず。
ポイントを獲得した昨年の再現とはならなかったが「来季に繋がるようなジャンプをしていきたい」と向上心は尽きない。

自身初のWCポイント獲得に挑んだ内藤智文は目標達成とはならなかった。昨日はあと3人の33位。今日は後二人の32位。
今季COCでしのぎを削ったホッフマン、ペデルセン、ミュラー、オストヴォルといった選手たちはこの二日間でポイントを獲得している。ならば内藤もそれができるはず。
でも、そこはさすがにワールドカップ。堅い扉をこじ開けることはできなかった。

COCスタンディングス上位の選手として選出された4名の選手- 葛西紀明、内藤智文、小林潤志郎、竹内択 -は、この二日間でポイントを獲得することはできなかった。
彼らの悔しさに勝手にシンクロしてしまって打ちひしがれた気持ちになってしまったのは事実。
でも、私のそんな気持ちはどうでもよい。選手はもちろん精いっぱい頑張った。そのことは痛いほど伝わってきた。
その頑張りに、心からの拍手を送りたい。

なお、この2試合は、今月末から始まるノルディック世界選手権の選考にもかかわる試合だった。
選考基準には「2024/2025 WCスタンディング上位の5名の選手(2/16 札幌WC終了時点)」が選出されるとある。

2月17日に発表された選手は以下の通り。

  • 小林 陵侑 566
  • 二階堂 蓮 350
  • 中村 直幹 152
  • 小林 朔太郎 30
  • 佐藤 幸椰 21

数字は札幌大会終了時点のWCポイント。選考基準の通り上位5名が選出された。
上位3名は札幌大会の結果にかかわらず既に当確と言ってよかったが、残り2枠に関しては札幌大会エントリーの全員にチャンスがあった。

特筆すべきは佐藤幸椰。
今季開幕時点ではWCチームの一員でもなければCOCチームの一員ですらなかった。
内藤智文がCOCピリオド3位となりWCのクォータ枠が1つ増えたことでCOCチームに引き上げられた。
そして、そこで自らもピリオド3位となりWC昇格を果たした。

内藤がもたらした1枠増の恩恵はあったとはいえ、COCに引き上げられたのは名寄で連勝したことか、全日本選手権LHの成績があってのことだろう。つまり自らチャンスを開いた。
そして、そこから世界選手権代表の座を射止めたのも自らの力。
頑張れば道が拓けることを身をもって示したといえよう。

表彰式

大倉山を愛し、大倉山に愛された選手としてはシュテファン・クラフトの名前がすぐに浮かぶ。
スキップした2016年を除けば、2015年以降は毎年少なくとも1試合は大倉山で表彰台に上り続け、かつ、2019年以降は4シーズン連続で優勝も遂げてきた。
ただ今年は6位と5位で表彰台がなかった。

大倉山の女神の気持ちは、ひょっとすると小林陵侑に移ったのかもしれない。
2019年以降は毎年表彰台に乗り続け、現在8試合連続の表彰台。うち4試合が優勝。

S.クラフト   小林陵侑
24位 2014.01.25
16位 2014.01.26
2位 2015.01.24
4位 2015.01.25
2016.01.30 20位
2016.01.31 36位
3位 2017.02.11 46位
3位 2017.02.12 予選落ち
優勝 2019.01.26 5位
優勝 2019.01.27 3位
2位 2020.02.01 15位
優勝 2020.02.02 3位
5位 2023.01.20 優勝
優勝 2023.01.21 3位
18位 2023.01.22 優勝
優勝 2024.02.17 2位
4位 2024.02.18 2位
6位 2025.02.15 優勝
5位 2025.02.16 優勝
 ※ 2018年、2021年、2022年は開催なし。

今後、大倉山の女神の寵愛を受けるのはクラフトなのか陵侑なのか。
それとも第3、第4の男が現れるのか。
個人的にはドロドロのソープオペラのような展開になっていく方が面白いかな。

ピックアップ ギャラリー

腕がないので、撮影はいつもピントを外してばかり。
なのに何故かいつもビシッと合う選手がいる。(ただし、あくまでも自分比)
すると、その選手を好きになるという自分の中の “あるある” 。

ロマン・コウデルカはそのうちの一人。
けれど今回は全く合わない。
相思相愛だと勝手に思っていたのに、なんだかフラれた気分。

よってコウデルカの写真はないけれど、遠い遠いSapporoまで遥々やってきてくれた海外選手たちに敬意を表し、下手な写真ではあるが例によって何人かをピックアップしてみた。

12 クリストファー-エリクセン・スンダル(NOR)
13 ケビン・ビックナー(USA)
16 カミル・ストッフ(POL)
17 パヴェル・ヴァセク(POL)
18 キリアン・バイエル(SUI)
20 ヴァランタン・フベール(FRA)
28 グレゴール・デシュバンデン(SUI)
35 ロブロ・コス(SLO)
36 エリク・ベルショー(USA)
41 ニコ・キトサホ(FIN)
44 アドリアン・ティテル(GER)

WC個人総合順位

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