小林陵侑がしびれるジャンプで今季初勝利 二階堂蓮9位 中村直幹10位

Official Results
1 | 小林 陵侑(TEAM ROY) | 286.4pt |
2 | ヤン・ヘール(AUT) | 266.7pt |
3 | ドメン・プレヴツ(SLO) | 266.2pt |
9 | 二階堂 蓮(日本ビールスキー部) | 242.4pt |
10 | 中村 直幹(Flying Laboratory SC) | 241.8pt |
21 | 小林 朔太郎(雪印メグミルクスキー部) | 224.3pt |
31 | 小林 潤志郎(Wynn.) | 91.8pt |
33 | 内藤 智文(山形県スポーツ協会) | 89.6pt |
40 | 佐藤 幸椰(雪印メグミルクスキー部) | 84.8pt |
43 | 佐藤 慧一(雪印メグミルクスキー部) | 79.6pt |
50 | 竹内 択(team taku) | 35.5pt |
葛西 紀明(土屋ホームスキー部) | 予選52位 |
なんだかちょっとむかつく。
今季ここまで優勝はおろか表彰台すらなかった小林陵侑。
シーズン序盤は腰痛や風邪にも苦しみ、また、アプローチ姿勢が安定せずマテリアルの調整にも時間を費やしたことなどから成績が出ない状態が続いた。
功を奏したのは、ジャンプ週間後に帰国し次のザコパネをスキップして調整に充てたこと。
欧州に戻った最初の試合で今季初のシングルとなる5位となるなど、札幌大会までの6試合中4試合でシングル順位。調子は上がってきていた。
2022/23シーズンには、序盤から不調をかこち一度も表彰台に上がることなく迎えた札幌で頂点に帰還するという奇跡的な姿を見せた。
しかし、だからと言ってその再演があるなどとは正直想像できなかった。
風向風速が定まらない中、厄介な追い風を受けながらヒルサイズに届いた1本目でまずは観客の度肝を抜かした。
5人が19.0を付けた完璧なテレマークも含めて「今シーズン一番。しびれるジャンプだった」と作山ヘッドコーチも絶賛。2位に10pt以上の差をつけてトップに立った。
「めちゃめちゃ緊張した」という2本目は、1本目よりもさらに強い追い風を受けながらもヒルサイズに迫る136.5m。そして、5人が19.5を付けた美しすぎるテレマーク。
終わってみれば2位に20点近い差をつけての圧勝だった。
ジャンプ週間の頃に「札幌で優勝しそう」と言っていたらしいが、その頃は20位台の順位が続いていたとき。
本人の中には確固たる何かがあったのだろう。
いずれにしても有言実行して見せた。
二階堂蓮が札幌大会で2年連続となるシングル。中村直幹が札幌大会で初のトップ10入り。
日本勢としては今季初めてトップ10内に3人が入ったが、そういうことが霞んでしまうくらいに小林陵侑がおいしいところを全部持って行った。
なんという千両役者ぶり。
スーパースターとはこういうものなのだということをまざまざと見せつけられた。
ホントにちょっとむかつく。
Top10 & Team Japan
















ちょっとむかついたというのは冗談だけども半分はホントのこと。
札幌大会には10人の日本人選手がエントリーしている。
選考基準上は明確に正規枠と開催国枠が区分されていないが、WCスタンディングス上位の選手として選出された6名が正規枠で、COCスタンディングス上位の選手として選出された4名が開催国枠と言えるだろうか。
後者は、葛西紀明、内藤智文、小林潤志郎、竹内択が該当するが、個人的にはこの4名の戦いにすごく注目していた。
とりわけ葛西紀明と内藤智文に。
国内大会で2連勝したこともあり、WC最多出場のギネス記録更新に期待の懸かった葛西紀明。
しかし、予選52位で本戦出場は叶わなかった。「普通に飛べば予選は全然通るけど、ただ失敗したら残れないな…という変なプレッシャーもあった」という。
内藤智文は、これまでにWC13試合にエントリーし最高位は36位。GPでは7試合でポイントを獲得しているがWCではまだポイントを獲得したことがない。
今回は予選で16位。本戦前の試技では22位。今度こそ…と思われたが…
あと3人。あと3.8pt。無念の涙をのんだ。
葛西紀明の予選落ちは金曜日の出来事だったので1日経って冷静に受け止めることができたが、内藤智文は現在進行形の出来事。
2本目に進めないということが分かって以降は、ショックが大きすぎて心ここにあらずの状態で試合を観ることになってしまった。
明日も試合があるとはいえ、明日は明日でより大きなプレッシャーを受けながら戦うことになるだろう。
また、この2試合は世界選手権の選考にもかかわる大事な試合。2日連続でポイント獲得となれば逆転で選出される余地がある。
そうしたことを思うにつれ、何とも悔しい結果ではある。
こうしたことの一方で、おいしいところを全部持って行った小林陵侑。
万余の観衆の喝采を浴びる姿があまりにも輝いて見えて少し憎らしくさえ思えた。
だからちょっとだけむかついた(笑)
表彰式


ひときわ高いところを飛んでくる姿が印象的だったヤン・ヘールは4試合連続の表彰台にして今季9回目の2位。
総合首位のダニエル・チョフェニックが4位だったことで30ptの差を詰めることに成功した。
以前ほどではないとはいえひときわ低いところを飛んできたドメン・プレヴツが今季3度目の表彰台となる3位。
昨年日曜日にここで勝利を挙げているのでシーズンを跨いで札幌大会2試合連続の表彰台となる。
この日はヒルサイズジャンプが4本(小林陵侑:137.0m、プレヴツ:137.5m、チョフェニック:137.0m、ヘール:137.5m)
これを観られただけでも儲けものだが、金曜の公式練習2本目でロビン・ペデルセン(NOR)で152.0mを飛んだ。そして立った。
前述の通り、葛西紀明は予選の際に「変なプレッシャーもあった」というが、「目の前で140メートルをガンガン超えられる」ことがプレッシャーの原因となったという趣旨のことを述べてもいる。
まぁ、確かにこんなに飛ばれては、葛西紀明ほどの選手であっても堪ったものではないだろう。
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