スキージャンプFISワールドカップ2023/24男子個人第25戦オスロ

RAW AIR開幕 悪条件をものともせずクラフトが快勝 小林陵侑は2本目に進めず 

2023/24スキージャンプワールドカップ
31th World Cup Competition
  • 2024年3月9日(土)
  • オスロ(NOR)
  • HS134/K120

Official Results

1  シュテファン・クラフト(AUT) 255.0pt
2  クリストファー-エリクセン・スンダル(NOR) 246.2pt
3  ヤン・ヘール(AUT) 242.5pt
 
13  二階堂 蓮(日本ビールスキー部) 224.9pt
21  小林 潤志郎(雪印メグミルクスキー部) 210.9pt
38  小林 陵侑(TEAM ROY) 90.5pt
43  佐藤 慧一(雪印メグミルクスキー部) 87.1pt
47  葛西 紀明(土屋ホームスキー部) 81.2pt

予選リザルト 本戦リザルト


RAW AIRが開幕した。

RAW AIRは2016/17に初開催され、当初は10日間で4会場における4つの予選、4つの本戦、2つの団体戦のすべてのラウンド(計16本)のポイントの合計を競うというフォーマットだった。
しかし、2019/20は新型コロナの影響で6ラウンドで途中終了、2020/21はこれも新型コロナの影響により全ラウンドが中止となった。

2021/22にはトロンハイムが改修工事に入ったたことと、ヴィケルスンで世界選手権が開催されることでフォーマットが大きく変わり、2022/23もトロンハイムは改修中。
また2021/22以降は団体戦はフォーマットから外されている。

で、今季は特別ルールで開催される。
前述のとおり、新型コロナやトロンハイムの改修等の不可抗力はあったとはいえ何度かフォーマットは変わってきている。よって、今回だけが特別なのかというと実はそうでもない気はする。

RAW AIR 2024の特別ルール
  • オスロ大会
    2試合とその予選が各1回。計6本が行われる。
    その6本の終了後、RAW AIR総合上位50位の選手が、次のトロンハイム大会に出場できる。
  • トロンハイム大会
    前述のとおり、オスロ大会終了時のRAW AIR総合上位50位の選手が出場するので予選がない。本戦2試合、計4本が行われる。
    RAW AIR開始前のワールドカップ総合個人ランキングで上位3位以内の選手は、オスロ最終戦のあと上位50位以内にランクされなくてもトロンハイムの2試合に出場できる。
  • ヴィケルスン大会
    第1戦は予選を行い40人に絞られる。
    第2戦(RAW AIR最終戦)は、RAW AIR総合上位30位のみ参加できる。
    最終戦の形式は以下の3ラウンドで構成される。
    • 1本目…30選手
    • 2本目…20選手(1本目の上位20名)
    • 3本目…10選手(2本目終了時の上位10名)
      2本目後のRAW AIRランキングの逆順でスタート
  • 以上のとおり、6試合(13本)と予選3回(3本)の合計16本の総合点で競われる。
  • なお、オスロの最初の予選のあとは、その時点のRAW AIRランキングが各予選及び本戦のスタートリストとして使用される。

8日(金)の予選はフーバーがトップ。
以下、フォルファン、リンビーク、P.プレヴツ、フェットナーと続き、9位に二階堂蓮、10位に小林陵侑。
COCから上がってきた佐藤慧一も含めて、日本勢は全員が予選を通過した。

一夜明けてオスロは強風に見舞われた。
試技が途中でキャンセルとなり、本戦も難しい風の中で行われることになってしまった。
数値上は向かい風だが、グラフィックによると上が強めで、下は上よりはやや弱くたまに追い風が混じる。

この下の風がかなり厄介で、何人かの選手が成す術なく2本目進出を阻まれた。
38位に終わった小林陵侑もそのうちの一人。
今季ワーストは13位と、これまで非常に安定した成績を残してきた陵侑にとっては、あまり得意ではないこの台だとしても信じられない順位。風の悪戯とはいえ、悪戯が過ぎるだろう。

ただ、この試合が完全なる運ゲーだったかというとそうではない。
クラフトが見事なパフォーマンスを2本揃えて快勝したほか、スンダル、ヘール、ハイベック、フォルファン、フーバーといった、ここ最近好調な選手たちがしっかりと上位に入った。

特にクラフトは悪条件をものともせず、下の方の風の影響をほぼ受けていなかったように見えた。
3人が20点を出した飛型も見事。今季11勝目。通算41勝目。
スンダルは今季・通算3回目の表彰台にして自己最高位。

WCスタンティング上で100点をプラスしたクラフトに対して2位の小林陵侑は手痛いノーポイント。
そしてここに今季のRAW AIR特別ルールがのしかかる。
陵侑のRAW AIR総合順位は現在32位。よもやトロンハイムに進めないということはないと思うが、ヴィケルスンでの最終戦に出場できるのは30位まで。まず大丈夫ではあろうが少し気にはなる。

これは以前から言ってきていることで、あくまでも個人的な考えに過ぎないのだが、RAW AIRについては開催時期だけなんとかならないものか。
シーズン終盤のこの時期はWCのオーバーオールも佳境を迎える。よって、この時期はオーバーオールに集中したいというのが本音。そこに別のタイトル争いが加わると焦点がぼけてしまうことがその理由。

でも、今季のこのフォーマットだと”焦点がぼける” 程度では済まずに、オーバーオールに直接的に影響が出てくる可能性がある。
たとえ総合優勝争いに影響がなくても、下位の方に位置している選手には影響が大きいのではないだろうか。
と、少し心配。

RAW AIR 総合順位(暫定)

1  ダニエル・フーバー(AUT) 382.2
2  シュテファン・クラフト(AUT) -2.8
3  ヨハン-アンドレ・フォルファン(NOR) -3.5
4  ヤン・ヘール(AUT) -12.3
5  ミハエル・ハイベック(AUT) -13.3

RAWAIR総合

ワールドカップ 総合順位(暫定)

1  シュテファン・クラフト(AUT) 1678
2  小林 陵侑(JPN) -296
3  アンドレアス・ヴェリンガー(GER) -373
4  ヤン・ヘール(AUT) -718
5  ミハエル・ハイベック(AUT) -951

WC個人総合順位

最後に一つ。
この日のドローン映像の多用は度が過ぎた。
あの映像を欲しているファンはいないと思う。
試合前や合間のイメージ映像として使うのがせいぜい。

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