ボガタイがワールドカップ初優勝 伊藤有希6位
2022年2月26日(土) ヒンツェンバッハ(AUT)HS90/K85
18th World Cup Competition
1 | ウルサ・ボガタイ(SLO) | 249.7pt |
2 | ニカ・クリジュナル(SLO) | 227.7pt |
3 | リサ・エダー(AUT) | 212.8pt |
6 | 伊藤 有希(土屋ホームスキー部) | 205.7pt |
16 | 勢藤 優花(北海道ハイテクAC) | 189.1pt |
34 | 岩佐 明香(大林組スキー部) | 77.9pt |
35 | 岩渕 香里(北野建設) | 74.6pt |
北京オリンピック女子NHの金メダリストであるウルサ・ボガタイがワールドカップ初優勝。
金のボガタイは1995年生まれの26歳。2011年12月の記念すべき女子ワールドカップの第1戦にも出場しているキャリア的には古参の選手。
以降、WCにおいては時折トップ10内に顔を見せ、2018/19リュブノで初表彰台。とはいうものの、お世辞にもあまり上手な選手とは言えず、2019年の年末に国内試合で右膝の前十字靭帯を痛める大怪我を負い約1年間表舞台から遠ざかったことも手伝って、表彰台の頂点に立つ姿があまり想像できない選手ではあった。
ところが、2021年の夏のグランプリで突然変異を起こす。
北京オリンピック2022 女子個人ノーマルヒル
開幕戦でWC・GPを通じて自身初勝利を挙げ最終的には7戦4勝と2度の2位で総合優勝。
その勢いは2021/22のWCになっても衰えず、11試合で5度の表彰台を含む全戦シングル順位。未勝利ながらクラマー、アルトハウスに次ぐ堂々の総合3位。
こうした状態で迎えた北京オリンピックだった。
ただ一人ヒルサイズオーバー。それを2本揃えた。差のつきにくいHS90というミニマムな台なのに、見た目にも明らかな飛距離の違い。しかも2本目はラスト5人で1段下がったゲートをさらに1段下げてのヒルサイズ超え。圧巻の勝利だった。
2位は北京銅メダルのクリジュナル。
今季第2戦ニジニ・タギルで初優勝したエマ・クリネツがボガタイを従えたとき以来となる、今季2度目のスロベニアのワンツー。
3位のエダーは初表彰台。これまでの最高位は今季開幕戦を含む2度の7位。クラマーと同じ2001年生まれの20歳。そのクラマーがコロナ陽性判定で北京五輪出場を断念せざるを得なくなったことで、代わって五輪に派遣された。そこで8位入賞。チャンスをものにして一回り成長を遂げたか。
さらに、今シーズンの大発見であるスウェーデンのヴェストマンが自己最高の4位。
今季開幕戦でWCデビューを果たしたばかりで出場はまだ8戦しかない。
ここ3戦で10位→7位→4位と驚異的な成長を見せている21歳。
そして、伊藤有希の調子が上向きだ。
五輪直前のヴィリンゲンから数えて4位、8位、6位と3試合連続のシングル。
昨夏にアプローチ姿勢の大改造をおこなった。踏切の際に方向性を重視して腰高な印象のあったクラウチングをパワー重視に変え低く強く飛び出すようにした。その効果がいよいよ見えてきたということか。
いずれにしても、大きなヴィリンゲンと小さなヒンツェンバッハの両方で好成績を挙げられてことは、きっと大きな自信となるはず。
なお、第7戦ラムサウとヒンツェンバッハでの2連戦を合わせたオーストリア開催の3試合でAlpenkroneというタイトルが争われている。
最終戦を残して、ボガタイが2位クラマーに33.5ptの差をつけてトップ。よほどのことがない限りこのまま逃げ切れるだろう。