第30回塩沢ジャンプ大会

清水礼留飛 復活のV 高梨圧勝 藤田3連勝

2018年8月26日(日) 新潟県 石打丸山シャンツェ HS86/K80 

女子組(ゲート1本目5、2本目5) 

 高梨 沙羅(クラレ)  239.0pt  82.0m  85.0m
 丸山 希(明治大学)  181.0pt  69.0m  72.0m
 茂野 美咲(CHINTAIスキークラブ)  178.0pt  69.5m  69.5m
 
4  久保田 真知子(飯山高校)  177.0pt  69.5m  69.0m
5  岩佐 明香(日本大学)  174.0pt  68.0m  70.5m
6  宮﨑 彩音(飯山高校)  161.0pt  65.0m 67.5m

リザルト

少年組(ゲート1本目3、2本目3) 

 藤田 慎之介(東海大学付属札幌高校)  231.0pt  78.0m  84.0m
 二階堂 蓮(下川商業高校)  209.0pt  74.0m  79.0m
 竹花 大松(東海大学付属札幌高校)  207.5pt  74.5m  77.5m
 
4  大井 駿(札幌日本大学高校)  196.0pt  76.0m  71.5m
5  中村 愛斗(長野飯山高校)  188.5pt  75.5m  68.5m
6  工藤 漱太(下川商業高校)  187.0pt  73.0m 70.5m

リザルト

成年組(ゲート1本目3、2本目3) 

 清水 礼留飛(雪印メグミルクスキー部)  248.5pt  82.5m  86.0m
 内藤 智文(古河市スキー協会)  240.0pt  85.0m  80.5m
=3  中村 直幹(東海大学)  234.5pt  82.5m  89.5m
=3  山川 太朗(東海大学) 234.5pt 82.5m 82.0m
 
5  佐藤 慧一(雪印メグミルクスキー部)  234.0pt  79.0m  85.0m
6  細田 将太郎(北翔大学スキークラブ)  228.5pt  79.0m  82.0m

リザルト

男子総合(ゲート1本目3、2本目3) 

 清水 礼留飛(雪印メグミルクスキー部)  248.5pt  82.5m  86.0m
 内藤 智文(古河市スキー協会)  240.0pt  85.0m  80.5m
=3  中村 直幹(東海大学)  234.5pt  82.5m  89.5m
=3  山川 太朗(東海大学) 234.5pt 82.5m 82.0m
 
5  佐藤 慧一(雪印メグミルクスキー部)  234.0pt  79.0m  85.0m
6  藤田 慎之介(東海大学付属札幌高校)  231.0pt  78.0m  84.0m

リザルト


 

清水礼留飛は、私の記録と記憶に間違いが無ければ、2015年UHB杯以来の勝利のはず。
今夏、国内戦初登場の高梨沙羅は58pt差の圧勝。
総合でも6位に入った藤田慎之介は国内3連勝。

 


 

ところで、この試合の運営に対し、船木和喜がTwitterで批判を述べている。
何があったかについては内藤智文のお父様のブログに詳細が書かれている。
両者に共通するのは、単なる”怒り”ではなく、この競技の行く末を強く”憂えて”いらっしゃること。

 

当ブログでも、これまで折に触れて公平性と安全性の観点から運営のあり方について ―もちろんこれらは素人目線の戯言(たわごと)・戯言(ざれごと)にすぎないが― 書いてきた。

ちょっと気になったのは、レッドを出す基準が一定していないと感じられたこと。 
その結果、正直アタリ・ハズレが大きい試合になってしまったように思う。 
そもそも、そのアタリ・ハズレをできるだけ生じさせないようにするのがシグナルによるコントロールのはずなんだけれどね。

第34回札幌市長杯宮の森サマージャンプ大会 2016年8月12日の投稿

運営を非難するつもりは毛頭ない。
それでも、個人的には13時20分のジュリー会議で中止と判断すべきだったように思う。 
直前に整備されたとはいえすぐに積もる雪に足を取られ転倒した岩佐明香。 
低い8番ゲートから乱れ狂う風の中を飛ばされ、80m付近に落ちる男子選手たち。 
極めて危険な状況ではなかったか? 
船木と加藤大平の棄権には抗議の意味が込められていたのではないかと勘繰りたくもなる。
NHK杯は一度も中止になったことが無いとアナウンスされ新聞にも載った。 
NHK杯は2013年(こちら)も同じようなことがあった。 
客も選手もNHKの記録更新に付き合わされたのか?

第56回NHKジャンプ大会 2015年2月2日の投稿

でも、いい加減もうこれぐらいにしてほしいなぁって思う。 
有希はこの大ジャンプに果敢にも二人のジャッジが18点を付けるテレマークを入れて見せたけれど、怪我でもさせたら元も子もない。
女子のWCでは昨シーズンから怪我防止のためHSを超えないゲート設定がかなりシビアに行われている。
そして大倉山は、FISの指摘があって落下型から緩やかに(=安全に)ランディングできるプロフィールに変更されたばかり。 
この傾向を鑑み、国内戦でもスペクタクルと安全のバランスのとれた運営を望みたい。

第17回伊藤杯シーズンファイナル大倉山ジャンプ大会 2016年3月21日の投稿

GF/WFが採用されていれば、まだ少しは公平性と安全性の一翼をそれらに担わせることもできただろうが、採用されていない以上はシグナルコントロールで公平性と安全性を図るしかない。

第11回伊藤杯大倉山サマージャンプ大会 2017年11月7日の投稿

 

公平性と安全性の担保への一つの解答がGF/WFだと思う。
しかし、GF/WFを採用したとしても、ゲートの変更を判断するのは運営だし、シグナルコントロールが不要となるわけではない。

 

運営はGF/WFに踊らされることなく、このルールの勘所をよく理解し、ゲート変更の乱発やWFに頼りすぎた雑なシグナルコントロールを行うことなく自制的に試合を進めたと思う。それでもどうしても生じる不公平についてのみ、その補正をGF/WFに委ねた。
おそらくこれが、このルールのあるべき姿なのだと思うのだが、WCでは時として間違った運用がなされてしまったように映る試合があるのが残念だ。

第96回全日本スキー選手権大会ノーマルヒル 2017年11月4日の投稿

 

札幌の国内戦としては初めてGF/WFが採用された第96回全日本選手権の運営は見事だった。
しかし、GF/WFが採用された試合であっても、それを扱う運営サイドに公平性と安全性の意識が欠如していては間違った運用は起こりうる。
その意味からいえば、今回のような問題にGF/WF導入論を持ち込むのは、ひょっとすると少し論点がずれているのかもしれない。

 

で、この日もやはりレッドを出す基準が一定していないと感じられた。 
「なぜウィンドファクターはないの?」観客席からそんな声が聞こえてきた。
ソチでのレジェンドの活躍や女子ワールドカップ中継から入った人からすれば当たり前にあるはずのものがない訳で当然の疑問なのだろう。
ワールドカップにもオリンピックにも世界選手権にもウィンドファクター、ゲートファクターが採用されている以上、これはもう避けては通れない。
ファンも混乱するし、何よりも選手も指導者も世界で戦う上では日ごろからこのルールに慣れておいた方が絶対にいい。
95%ルール採用により、以前よりは減ったとはいえコーチリクエストにより勝敗が決する場面もまたまだみられるわけだし。

第17回札幌市長杯大倉山サマージャンプ大会 2016年8月14日の投稿

 

今回の塩沢の運営に公平性と安全性の意識が欠如していた(あるいは足りていなかった)かどうかは知らない。
GF/WFが採用されていれば問題は起こらなかったかどうかもわからない。
それでもやはり、国内戦でもこのルールを一日も早く導入すべきと強く思う。
GF/WFは公平性と安全性の為のルール。公平と安全を求めていない者は、選手にも指導者にも観客にも、そして運営にもいないはずだ。