52歳の葛西紀明が142mの大ジャンプで優勝 133.5mの岩佐明香と共に大会連覇
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女子組
1 | 岩佐 明香(大林組スキー部) | 202.8pt |
2 | 佐藤 柚月(札幌日大高校) | 189.2pt |
3 | 中山 和(日本ビールスキー部) | 146.4pt |
男子組
1 | 葛西 紀明(土屋ホームスキー部) | 258.9pt |
2 | 小林 潤志郎(Wynn.) | 239.3pt |
3 | 内藤 智文(山形県スポーツ協会) | 232.6pt |
葛西紀明が会場の、いや、世界の視線を一身に集めた。
1本目で、この日ただ一人となるHSオーバー142.0mの特大ジャンプを披露。
トップで折り返した2本目でも131.0mと圧巻のパフォーマンス。
K点オーバーを2本揃えた今季のワールドカップメンバー小林潤志郎と内藤智文を置き去りにし、2位に20pt近くの差をつけての圧勝。
52歳のレジェンドのレジェンドたる所以をまざまざと見せつけられた感じだ。
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葛西紀明は、40代半ばの2016/17シーズン頃から長きにわたるスランプに陥ったことがある。
目を覆いたくなるような成績が続き、さすがのレジェンドももう終わりなのではないかと思わずにはいられなかった。
ところが、2022年に不死鳥のごとく甦る。
雪印メグミルク杯で実に4シーズンぶりの優勝。49歳の時だ。
そして、昨年のTVhでは50代になって初めての優勝。その2週間後には国体(国スポ)で初優勝。
そして今日、TVh杯を連覇。50歳を超えてから3度目の優勝を飾ったことになる。
葛西紀明の国内試合 直近5勝利
2025.02.01 | 第36回TVh杯 | 52歳 |
2024.02.22 | 第78回国民スポーツ大会(成年男子B) | 51歳 |
2024.02.03 | 第35回TVh杯 | 51歳 |
2022.01.30 | 第63回雪印メグミルク杯 | 49歳 |
2017.11.05 | 第96回全日本選手権LH/第59回NHK杯 | 44歳 |
2週間後に迫ったWC札幌大会の切符は既に掴んでいる。
昨年の第1戦では、見事に予選を突破し2019/20札幌以来となる4シーズンぶりのWC出場を果たした。
これにより自身の持つWC最多出場記録を570試合に更新。さらには51歳での出場によりWC最年長出場記録も塗り替えた。そして2018/19プラニツァでの19位以来、実に5シーズンぶりにポイントを獲得。
このポイントを足掛かりに第23戦ラハティ以降の海外WCにも4シーズンぶりに派遣。
7試合に出場し3試合でポイントを獲得した。
今季もこの再現に期待がかかる。
少なくとも札幌大会では、昨年以上の大仕事をやってのけそうな気配をびんびんに感じさせている。
女子組
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女子組優勝は岩佐明香。
この日の出場者の中では頭一つ抜けた存在で、1本目では好条件も手伝ってただ一人の130mオーバーとなる133.5mの大ジャンプ。
2位に13.6ptをつけ危なげなく勝利した。
葛西紀明と共にTVh杯連覇。
表彰台ではレジェンドから「うれしいね!」と声を掛けられたらしい。
男子組
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表彰式
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1月のHBCカップで自己最高位の13位と大健闘した中学生の森大耀。
あっという間に記録を更新し、この日は8位。
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複合のオリンピアン森敏さんを父に持ち、東海大に進んだ兄の恢晟に続く逸材。
コンバインドの選手として強化指定Dを受けているが、スペシャルの選手に負けないジャンプの力を持つ。
ゆえに、2月11日から始まるノルディックジュニア世界選手権手ではスキージャンプの代表に選出されている。
この日、場内をあっと言わせた若手選手がもう一人。
岡部凛大郎は試合前の試技で129.0mを飛び2位。会場がどよめいた。
その勢いのままに本戦1本目で11位。2本目は伸ばせず20位に終わったが爪痕は残した。
父は長野の金メダリスト岡部孝信。
江別の中学を卒業後は父が育った下川の地で練習に励んでいる。
中学生の時は父によく似た空中フォームだったが、今ではテールを大きく開き深く前傾を掛けるスタイルに変わった。この日もそれが威力を発揮しグイグイと空気を切り裂いて飛距離を伸ばした。
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TVh杯の中継は、他の民放テレビ局杯と比べて放送時間も長いし、番組の作りが良心で競技や選手に対する愛情が感じられる。
今年は、試合の2日前に放送された特別番組も含めて余市紅志高校の4人の選手たちの活動が紹介された。
ということで、僭越ながら4人の選手の写真を載せておく。
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ワールドカップ札幌大会にエントリーされる10名の選手が発表された。
- 小林 陵侑(TEAM ROY)
- 二階堂 蓮(日本ビールスキー部)
- 中村 直幹(Flying Laboratory SC)
- 小林 潤志郎(Wynn.)
- 内藤 智文(山形県スポーツ協会)
- 葛西 紀明(土屋ホームスキー部)
- 佐藤 慧一(雪印メグミルクスキー部)
- 竹内 択(team taku)
- 佐藤 幸椰(雪印メグミルクスキー部)
- 小林 朔太郎(雪印メグミルクスキー部)
選考基準は次の通り。
World Cup
Sapporo 第1戦、第2戦 選考方法
- 2024/2025 WCスタンディングス上位の選手(Lake Placid大会終了後)
- 2024/2025 COCスタンディングス上位の選手
- 2024/2025 WRL上位の選手(1月27日時点)
※選考人数合計9名(クォータ数によって変動)
※状況に応じて、コーチ会議を行い、ヘッドコーチが最終決定する
先日の記事で、”余程のことがない限り、この10名で確定と考えてよいだろう” と書いたが、選考基準通りに選出されたことにまずはホッとする。
なお、「※選考人数合計9名(クォータ数によって変動)」とあるが、佐藤幸椰が1枠増をもたらしたことで札幌大会まではクォータ数は6枠なので、選考人数合計は10名となる。
内訳としては、❶が小林陵侑、二階堂蓮、中村直幹、佐藤幸椰、佐藤慧一、小林朔太郎の6名。❷が内藤智文、葛西紀明、小林潤志郎、竹内択の4名。
❶がクォータ枠数と合致したので、敢えて分けるのなら❶の6名が正規枠で❷の4名が開催国枠と言えるだろうか。
ただ、今季の開催国枠の選手は昨年までとは随分と様相が異なる。
昨年までであれば開催国枠の選手のうちの何人かは当該シーズンでの国際大会出場のない純粋な国内組の選手であることが多かった。
対して今季の4名のうち、小林潤志郎と内藤智文は今季WCのメンバーにも選ばれた選手。
そして、葛西紀明と竹内択はCOC代表として今季ここまでのシーズンを送ってきた。
つまり、今季の10名には純粋な国内組の選手はなく、全員が今季の国際大会の代表選手ということになる。
その意味では、今年の札幌大会は史上最強の10名が揃ったと言っても過言ではないだろう。
期待をするなという方が無理だ。