小林陵侑が3度目のジャンプ週間制覇に王手をかける ヘールは通算2度目のV
Official Results
1 | ヤン・ヘール(AUT) | 267.5pt | ベルショー |
2 | 小林 陵侑(TEAM ROY) | 258.7pt | アイグロ |
3 | ミハエル・ハイベック(AUT) | 254.0pt | アマン |
12 | 二階堂 蓮(日本ビールスキー部) | 231.0pt | チェコン |
30 | 小林 潤志郎(雪印メグミルクスキー部) | 158.3pt | インサム |
竹内 択(team taku) | 予選53位 | ||
中村 直幹(Flying Laboratory SC) | 予選60位 |
小林陵侑が史上6人目となる3度目のジャンプ週間制覇に王手をかけた。
3試合連続の2位。
この日、トーナメント首位のヴェリンガーが5位に終わったことで、試合前に1.8ptあった差をひっくり返し、逆に4.8ptの差をつけてトップに立った。
ジャンプ週間の4つの丘の中で鬼門とされるインスブルック。
すり鉢状の形状のせいか不規則に風が舞いやすく、また、HS128というラージヒルとしては小ぶりな台でK点からHSまでは8mとノーマルヒル並みの短さ(宮の森でさえ10m)なのでゲート設定が難しい。
数値上は向かい風傾向。だが、この数値がここでは当てにならない。
下の方の風が貰えなければ万事休すで、実際に何人かの選手はその餌食になった。
かといってゲートを1段上げるとあっという間にHSを超えてしまったり、逆に下げるとたちまちK点に届かなくなったりする。運営にとってもなんとも悩ましい台。
そんな中にあってオーストリア勢には地の利があっただろうか。
ヘールが2021/22ヴィスワでの初優勝以来2シーズンぶりの通算2勝目を挙げた。
1本目はかなり待たされたが、むしろそれが功を奏したか。条件は良くなったように見え、何よりもヘール自身がこの状況に全く動じなかったように見えた。
2位で折り返した小林陵侑は、トーナメントのタイトルの為には5位で折り返したヴェリンガーと9位で折り返したクラフトさえ見ておけばよかった。
陵侑が飛ぶ時点でヴェリンガーは暫定4位、クラフトは5位。ここでのミッションは彼らの前でフィニッシュすること。もちろん逆転優勝できるに越したことはないけど、ヘールとの間にあった9.9ptの差は決して小さくない。
そして陵侑は、簡単そうで難しいこのミッションをやってのけた。
陵侑は2本目トップの得点で2位をキープ。
前述の通りヴェリンガーに対し4.8ptのリードを作り、かつ、3位以下を大きく引き離した状態で最終戦を迎えることとなった。
予選で6位だった二階堂蓮。
本戦1本目でも8位。いよいよ今度こそ初のWCトップ10入りなるかとも思われたが、2本目は下の風をもらえず伸ばすことができなかった。
2016/17と2017/18のジャンプ週間で、岩佐勇研、栗田力樹とともに現地観戦している姿がカメラで抜かれていたが、その時の少年が今こうしてその舞台に立っている。
トップ10は逃したが、この大舞台で自己最高位を2つ更新して12位。
トーナメント3位だったクラフトは4位に落ちてしまった。トップとの差は33.8pt。タイトルに向けては極めて厳しい状況となってしまった。
この試合で優勝したヘールがトーナメント3位に、2019/20ラハティでの3位以来4季ぶりの表彰台となったハイベックが5位に上がってきたが、彼らは別の戦いをしていたとみるべきだろう。
こうしてトーナメントは小林陵侑とヴェリンガーの一騎打ちの様相を呈して最終戦に向かうこととなった。
タイトル獲得となれば、陵侑にとっては2018/19、2021/22に続く3度目。
ヴェリンガーにとっては、自身にとって初となるばかりでなく、ドイツ勢として2001/02のハンナバルト以来、実に22年ぶりの栄冠となる。
初戦に勝利したヴェリンガーに対して陵侑にはまだ勝利がない。
無勝利での総合優勝は過去に8人いるらしいが、直近では1998/99のアホネンなので、もしそうなれば25年ぶり9人目となる。
最近では2016/17のストッフ、2019/20のクバツキがそうなりかけたが、最終戦に勝利したうえでタイトルを獲得している。
無勝利での総合優勝だとしてもタイトルの価値が薄まるわけではない。だとしても、やはり1試合は勝ったうえでタイトルを手中に収めてほしいと願う。
陵侑自身も「2位のグランドスラムとか言ってる場合じゃない。勝ちを目指して、いいパフォーマンスをしたい」と言っている。
4hillsトーナメント暫定順位
1 | 小林 陵侑(JPN) | 857.6pt |
2 | アンドレアス・ヴェリンガー(GER) | -4.8 |
3 | ヤン・ヘール(AUT) | -23.6 |
4 | シュテファン・クラフト(AUT) | -33.8 |
5 | ミハエル・ハイベック(AUT) | -48.6 |
なお、小林陵侑はヘールと同点でWC総合3位に浮上。