2023 FISノルディックスキー世界選手権プラニツァ女子個人LH

ルティトがカナダ史上初の金 丸山希は「悔しい」4位

2023年3月1日(水)プラニツァ(SLO)HS138/K125

Women Large Hill Individual

 アレクサンドリア・ルティト(CAN) 264.4pt
 マーレン・ルンビ(NOR) 254.0pt
 カタリナ・アルトハウス(GER) 245.9pt
 
4  丸山 希(北野建設SC) 242.9pt
11  伊藤 有希(土屋ホームスキー部) 225.1pt
25  勢藤 優花(YAMAtune) 194.6pt
27  宮嶋 林湖(松本大学) 192.7pt

予選 リザルト


カタリナ・アルトハウスには、この大会での4つ目の金メダルが懸かっていた。
主要タイトルにおいてこれまで何度も2位となっているが頂点に届いたことがなかったアルトハウス。
しかし今大会では初戦の個人NHで遂にその殻を破り、その後も団体、混合団体で金を獲得。
舞台をLHに移してもその勢いを止める者は現れないのではと思わせる強さがあり、4冠達成への期待は大きかった。

それを止めるかもしれない者として急浮上してきたのがマーレン・ルンビ。
これまで4度にわたってアルトハウスの頂点獲りの妨げとなってきた。

 2018平昌オリンピック NH  金:ルンビ  銀:アルトハウス
 2017/18ワールドカップ  総合優勝:ルンビ  総合2位:アルトハウス
 2019ゼーフェルト世界選手権 NH  金:ルンビ  銀:アルトハウス
 2018/19ワールドカップ  総合優勝:ルンビ  総合2位:アルトハウス

前回大会オーベルストドルフではNHで銀、LHで金だったルンビ。しかし、それを最後に表舞台から姿を消した。
体重管理面での問題を抱え、翌2021/22シーズンは北京オリンピックを含めて全戦休養。今季開幕戦でようやく復帰を果たした。

しかし、まだ身体が絞り切れていないように見えかつての強さは見られない。出場は8試合にとどまり最高位は12位。
世界選手権に焦点を合わせているとは聞いたが、果たして間に合うのかという印象しか持てなかった。

ところが蓋を開けてみれば初戦の個人NHで7位。本人はLHのみ出場するつもりだったらしいが公式練習の結果が良かったのでNHも出場することになったらしい。
恐るべき調整力。本命のLHではまたしてもアルトハウスの脅威となるであろうことを予感させた。

しかし勝者は意外なところから現れた。
カナダの19歳アレクサンドリア・ルティト。
ワールドカップ・デビューは2021年11月。その2ヵ月後には北京オリンピック混合団体で銅メダルを獲得していた。今年1月の蔵王でWC初表彰にして初優勝。2月初旬のジュニア世界選手権では金メダル。瞬く間に階段を駆け上がっていった。

このように既に力を示している選手ではあったが、しかしまさか世界選手権も獲るとは。
高さを維持し最後はドスンと着地をするところがリスキーではあるが魅力でもある。
1本目でルンビと同点でトップに立つと、そのルンビとアルトハウスを相手に臆することなく2本目のジャンプも決め二人を突き放した。

世界選手権のスキージャンプにおいてカナダの金メダルは史上初。
歴史的な快挙となったが、見事に復活のメダルをつかみ取ったルンビと全4試合でメダルを獲得したアルトハウスにも最大限の賛辞を贈りたい。

復活を遂げた選手がもう一人。丸山希は2021年10月の全日本選手権LHで転倒し大怪我を負ってWC丸々1シーズンと北京オリンピックを棒に振った。
今季復帰を果たし初の表彰台にも上った。その勢いのままにこの日はメダル争いに加わった。

風がコロコロと向きを変える中、1本目4位からの逆転を狙ったが、2本目は上位3人とは違って追い風。表彰台には3.0pt届かなかった。メダルに手が届くところまで来ていただけに「素直に悔しい」と。
ただ、NHでは決まらなかったテレマークをこの日は修正できた。2本ともK点を超えたのは金・銀の二人と丸山だけだ。
次につながる見事な戦いぶりだったと思う。

女子個人ラージヒル歴代メダリスト

 
2021 M.ルンビ 高梨 沙羅 N.クリジュナル
2023 A.ルティト M.ルンビ K.アルトハウス