高梨沙羅 充実の銀 ルンビ ラージヒル初代女王に
2021年3月3日(水)オーベルストドルフ(GER)HS137/K120
Women Large Hill Individual
金 | マーレン・ルンビ(NOR) | 296.6pt |
銀 | 高梨 沙羅(クラレ) | 287.9pt |
銅 | ニカ・クリジュナル(SLO) | 287.1pt |
13 | 伊藤 有希(土屋ホーム) | 238.5pt |
18 | 丸山 希(明治大学) | 208.2pt |
29 | 岩渕 香里(北野建設) | 154.8pt |
世界選手権で女子ジャンプが初めて採用されたのは2009年リベレツ大会。
次のオスロ大会までは個人ノーマルヒルだけが行われていたが、2013年バルディフィエンメ大会からは混合団体、前回の2019年ゼーフェルト大会からは団体と徐々に種目が増えていった。
ただし、いずれもノーマルヒル。
それが今大会で遂に個人ラージヒルが採用されることとなった。
その初代金メダリストとなったのがマーレン・ルンビ。
失礼ながらこの結果はあまりに意外だ。
ワールドカップでは2017/18シーズンから3季連続の総合優勝を果たしている”女王”も、今シーズンは優勝はおろか表彰台すらない。
アプローチフォームが決まらずにスピードが乗らないので、以前のように多少踏み遅れても物ともしない力強いサッツにならない様子が見て取れていた。
それでも、世界選手権が開幕すると個人NHで見事に銀メダルを獲得。
大舞台で見せたここ一番の強さはさすがではあったが、ラージヒルで同じことができるとは全く予想していなかった。
それが2本ともトップの圧倒的な強さを見せての完勝。
団体で銅、混合団体では銀。4試合全てでメダルを獲得。まさに女王の面目躍如。
高梨沙羅は、特に2本目で平昌五輪の試行錯誤の集大成と言える素晴らしいジャンプを見せ見事に銀メダルに輝いた。
個人NHでの銅メダルに対しては、目標としていた金に届かなかったことで「複雑な気持ち」と正直に心境を吐露した。過去の世界選手権でも結果を受け入れられずに涙したこともあった。
しかし、今回の銀メダルに対しては「持っているものをぶつけて結果が出せたので気持ちはスッキリしてる」「こっちに来た中で一番いいジャンプが飛べた」「純粋にこの試合を楽しめたジャンプだった」と表情にも言葉にも充実感があふれている。
ビックマッチに際しては、必ずのように「応援してくれる方たちに結果で恩返しがしたい」というような言葉を発していたが、語れば語るほど言霊となって自分自身を呪縛していくこのような言葉が今大会はあまり聞かれなかったことも良い結果に繋がった一つの要因だったのではないかと割と本気で思う。
伊藤有希、丸山希、岩渕香里、勢藤優花にとっては不完全燃焼の大会だったのではないだろうか。
特に伊藤と丸山は、本来の力からすればもう少し上に行けたはず。
大本命であったクラマーは、団体で金、混合団体で銅を獲ったものの、個人ではNH・LHともに4位。個人戦で良かったのはNHの1本目だけで、今日は2本とも本来の姿ではなかった。
まだ19歳。勝利を最も期待される立場で臨んだ初のビックタイトル戦。プレッシャーは相当あったと思う。