第51回HTBカップ国際スキージャンプ競技大会 FISコンチネンタルカップ2024

メートがCOC初優勝 オーストリア表彰台独占 日本勢最上位は葛西紀明の9位

全日本スキー連盟A級公認/COC
  • 2024年1月20日(土)
  • 札幌市 大倉山ジャンプ競技場
  • HS137/K123

HTBカップ

1  フランシスコ・メート(AUT) 249.8pt
2  ダニエル・フーバー(AUT) 246.0pt
3  ヨナス・シュスター(AUT) 243.0pt

リザルト

コンチネンタルカップ 第11戦

1  フランシスコ・メート(AUT) 249.8pt
2  ダニエル・フーバー(AUT) 246.0pt
3  ヨナス・シュスター(AUT) 243.0pt
 
9  葛西 紀明(土屋ホームスキー部) 224.3pt
13  内藤 智文(山形県スポーツ協会) 222.8pt
16  佐藤 慧一(雪印メグミルクスキー部) 215.9pt
18  小林 朔太郎(草津スキークラブ) 209.8pt
21  坂野 旭飛(下川商業高校) 195.9pt
22  山元 豪(ダイチ) 194.2pt
30  佐藤 幸椰(雪印メグミルクスキー部) 101.9pt
31  藤田 慎之介(Farm Fujita) 68.8pt
32  中村 正幹(雪印メグミルクスキー部) 65.2pt
35  西田 蓮太郎(下川商業高校) 35.2pt

※ 佐藤幸椰は2本目スーツ失格

リザルト


HTBカップと翌日に行われるSTVカップは、ワールドカップ(WC)の一つ下のカテゴリーであるコンチネンタルカップ(COC)を兼ねている。
国内組の選手にとってはここでの好成績を足掛かりに、その直後に開催されるWC札幌大会に出場するというのがステップアップの王道ともいえる。

ただし、COC札幌大会には国内組の選手の誰でもが出場できるわけでない。
WCと同様に出場枠があり、開催国枠もある。今回出場できるのは10名だけ。

その10名を全日本スキー連盟が定めた『選考基準』に則って選考することになる。
(赤文字の部分は、当初発表された内容から改正された箇所。特に気にする必要はないが、改正前の内容が知りたければこちら

このうち④の基準により選考される者たちの争いは熾烈を極めた。
そのあたりの経緯は下記の記事を参照されたい。

COC札幌大会は、20日と21日に計3試合が開催される。
最初の2試合は前述の10名全員が出場し、2試合終了時のCOCスタンディング上位4名が第3戦に出場できる。
最終的にはその4名の内のCOCスタンディング上位3名が、下記③の基準により2月に開催されるワールドカップ札幌大会の代表に名を連ねることとなる。

ワールドカップまでの道のりのなんと険しく遠いことか。
それでも選手たちは、ひたむきに挑むのみ。

Top6 & Team Japan

※ ( )内の数字はHTBカップの順位

1(1)フランシスコ・メート(AUT)
2(2)ダニエル・フーバー(AUT)
3(3)ヨナス・シュスター(AUT)
4(4)ロビン・ペデルセン(NOR)
5(5)クレメンス・ライトナー(AUT)
6(6)マクシミリアン・オルトナー(AUT)
9(9)葛西 紀明(土屋ホームスキー部)
13(13)内藤 智文(山形県スポーツ協会)
16(16)佐藤 慧一(雪印メグミルクスキー部)
18(20)小林 朔太郎(草津スキークラブ)
21(27)坂野 旭飛(下川商業高校)
22(28)山元 豪(ダイチ)
30(40)佐藤 幸椰(雪印メグミルクスキー部)
31(42)藤田 慎之介(Farm Fujita)
32(43)中村 正幹(雪印メグミルクスキー部)
35(49)西田 蓮太郎(下川商業高校)

優勝したのはオーストリアのフランシスコ・メート
正直、これまであまり印象にない選手だ。

昨季ビショフスホーヘンで開催国枠としてWCに初出場して38位。同じシーズンのクルムではスーツ違反で失格になっている。WCの出場はこの2試合のみ。
ただし、GPには6試合出場していて最高位は2022ヴィスワの5位。
COCには50戦以上出場していて最高位は5位。

ということで、COCでは、これが初表彰台にして初優勝ということになる。

公式練習で飛ぶ姿を見て、特徴的なデザインのヘルメットと、それ以上に特徴的な風貌から、毎年一人はCOC札幌大会に現れるキワモノ枠の選手かと思いきや…
試技では条件が良かったとはいえ142.5mを飛んだことで見る目が変わった。
本戦1本目に130.5m。2本目もK点に届く124.0mで逃げ切って勝利をつかんだ。

2位は 2021/22 WCビショフスホーヘンの優勝者で、2018 COC札幌で優勝したことのあるダニエル・フーバー
3位には、2022/23 WCルシュノフで10位、COCではこれが4度目の表彰台となる20歳のヨナス・シュスターが入り、オーストリアは表彰台を独占。

更には、5位に2020 COC札幌の優勝者ライトナー、6位に21歳のオルトナーと、強さを見せつける形となった。

HTBカップ 表彰式

表彰台でのメートは、笑顔も素敵でなかなかのナイスガイであると思わせた。
キワモノ枠だなんて言ってごめんなさい。

コンチネンタルカップ 表彰式

日本勢は、オーストリア、ノルウェー、ドイツ勢を前にやや苦しんだか。
この日の大倉山は、試技から1本目にかけて大粒の雪がかなり激しく降り、ブロアー隊の懸命な整備も追いつかずアプローチの状態は刻々と変わったものと思われる。
また、追い風傾向だったために、より実力差が出たであろうか。

そんな中でも、1本目の18位(HTBとしては19位)から2本目は3番手のスコアでジャンプアップした葛西紀明がトップ10内に入る日本勢最高位の9位。

1本目で表彰台圏内から4.0pt差の6位につけ今季WC開幕メンバーとしての実力を見せた内藤智文は、2本目はK点に届かず結果は13位。

この試合を前にして唯一、今季のCOCポイントを7pt持っていた佐藤慧一が16位となり、15ptを加算した。

COC第1戦を終わった時点での日本勢のCOCスタンディングは次のとおり。
7名の選手がポイントを獲得しスタンディング表に名前を載せている。

  1. 葛西紀明 29pt
  2. 佐藤慧一 22pt
  3. 内藤智文 20pt
  4. 小林朔太郎 13pt
  5. 坂野旭飛 10pt
  6. 山元豪 9pt
  7. 佐藤幸椰 1pt

COC個人総合

地方で、この争いとは別の争いもある。
HTBカップのみにエントリーした日本勢は14名。
COCにはエントリーされていないが、海外勢と直接戦えるまたとない機会。
当然彼らの意気も上がる。

その中の最上位は鈴木翔の17位。清水礼留飛が18位で続いた。
海外勢のエントリーが少なかったとはいえ、20位以内に入ったのは素晴らしい。

HTB-17 鈴木(札幌手稲スキー協会)
HTB-18 清水 礼留飛(雪印メグミルクスキー部)

また、30位以内には、工藤漱太(23位)、渡部陸太(24位)、池田龍生(25位)、渡部弘晃(26位)が入った。

表彰式のプレゼンターを務めたon
毎年見ていて思うのだが、onは何故かオーストリアの選手たちに一番受けが良い。
今までにHTBカップに出場したことのある選手たちが、札幌で出会った丸くて黄色い奴の存在を自国のチームメートたちに広めているのだろうか。

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