スキージャンプFISワールドカップ2024/25男子個人第18戦ヴィリンゲン

チョフェニックがフォルファンの152mをものともせず 佐藤幸椰は約2年ぶりのWC出場でポイント獲得

23rd World Cup Competition
  • 2025年2月2日(日)
  • ヴィリンゲン(GER)
  • HS147/K130

Official Results

1  ダニエル・チョフェニック(AUT) 310.5pt
2  ヨハン-アンドレ・フォルファン(NOR) 305.1pt
3  ヤン・ヘール(AUT) 289.5pt
 
7  小林 陵侑(TEAM ROY) 282.2pt
19  佐藤 幸椰(雪印メグミルクスキー部) 257.0pt
23  二階堂 蓮(日本ビールスキー部) 248.5pt
27  中村 直幹(Flying Laboratory SC) 242.0pt
29  小林 朔太郎(雪印メグミルクスキー部) 236.9pt
43  佐藤 慧一(雪印メグミルクスキー部) 100.1pt

予選リザルト 本戦リザルト


2位で折り返した2本目。ヨハン-アンドレ・フォルファンは152.0mの特大ジャンプを繰り出した。
いかにダニエル・チョフェニックとはいえ、これに勝つことはできないだろうと思われた。
しかし…

コーチリクエストで一段下げたうえで148.0mでやり返した。
着地でややよろけたフォルファンに対し、チョフェニックの飛型点はきれいに19.0が5つ並んだ。

この完璧なパフォーマンスにはフォルファンも拍手を送るしかなかった。
今度こそ勝てると思っただろうが、またも2位に終わった。
でも、いつものような憮然とした表情ではなく柔和で笑顔すら見られた。
ここまでやって勝てなかったのだから仕方がないし、内容には満足できたからではないだろうか。

連勝となったチョフェニックは今季7勝目。
フォルファンは今季4度目の2位。
3位ヘールは今季10回目の表彰台。
31位で今季2度目のノーポイントに終わったピウス・パシュケは、遂に総合トップ3から陥落し4位に落ちた。

ヴィリンゲンにしては比較的落ち着いていたコンディション。
140mオーバーの大ジャンプ連発で見ていて非常に楽しい試合だった。

楽しかった要因の一つが日本勢。
昨日、今季初めてポイント獲得における4人目の壁を崩したが、今日は5人の選手が2本目に進出できた。

中でも佐藤幸椰のポイント獲得は感動的だ。
昨日、2023年4月のプラニツァ以来となるWCの舞台に戻ってきたが予選53位。
今日は18位で予選を突破。2023年3月14日リレハンメル以来となる約2年ぶりのWC出場を果たした。
そして、2023年1月29日クルムでの30位以来となるポイント獲得。

佐藤幸椰はCOCでピリオド3位になったことでWCに復帰できた。
それはもちろんその通りなのだけれど、実はもう少しいくつかの要素が絡んていると言える。

  1. 内藤智文がCOC第3ピリオドで総合3位となりWCの枠が一つ増える。
  2. その結果、内藤と小林朔太郎がWCに昇格。小林潤志郎がWCからCOCへ。
  3. 2減1増となったCOCの1枠が空く。
  4. 空いた枠に国内開幕戦名寄で連勝した佐藤幸椰が選出される。
  5. COC第5ピリオドで総合3位となりWCに昇格。

まず、国枠が6に増えなければ佐藤幸椰がCOCに出場することは札幌3連戦までなかったかもしれない。
なので、この点は幸椰にとってラッキーなことだったともいえる。
ただ、その時に名寄で連勝してなければ他の選手が選ばれていたかもしれない。
千載一遇のチャンスを手にする者は、しっかりと準備を怠らなかった者。

いつ何時チャンスが巡ってくるかわからない。でもそのチャンスを掴むのは良い準備をした者だけ。
スキージャンプFISワールドカップ2024/25男子個人第11戦オーベルストドルフ

国枠増はこうしたチャンスを生み出す。
欧州強豪国は今まで何年にも渡ってこの仕組みを最大限に活用してきた。
対して日本は指をくわえて見ていただけ。

今季、ようやく積極的にCOC派遣を行ったことで3ピリオド連続で国枠を増やすことに成功している。
地理的条件があって簡単に選手を派遣できない事情はあるにせよ、今までこれにチャレンジしてこなかったことがなんとももったいない。

ただし、あえて苦言を言えば日本チームはせっかくの国枠増を活かしきれていない。
ヴィリンゲンに来るまでの全17試合ではポイント獲得は1試合で最大3名。
せっかくの6枠なのに、その半数しかポイントを獲れないとなると少し寂しい。

しかし、前述の通り昨日ようやく4人目の壁を破り今日は5人がポイントを獲得できた。
この調子でこれを続けていきたい。
それができるだけの選手が揃っている。

WC個人総合順位

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