2020/21 FISスキージャンプワールドカップ女子個人第1戦ラムサウ

クラマー完勝 高梨沙羅3位 伊藤有希5位

2020年12月18日(金)ラムサウ(AUT)HS98/K90

3rd World Cup Competition

1  マリタ・クラマー(AUT) 253.6pt
2  ニカ・クリジュナル(SLO) 245.1pt
3  高梨 沙羅(クラレ) 240.1pt
 
5  伊藤 有希(土屋ホーム) 232.0pt
25  丸山 希(明治大学) 207.5pt
29  岩渕 香里(北野建設) 198.4pt
37  勢藤 優花(北海道ハイテクAC) 予選落ち

予選リザルト オフィシャル リザルト

10シーズン目の女子ワールドカップが新型コロナの影響で2週間遅れて、2012/13シーズン以来の開催となるラムサウで開幕した。

4連覇を目指す女王ルンビ。
昨季、そのルンビを上回る勝利数を挙げ接戦を演じたヘルツル。
3勝を挙げオーストリアの2本柱の一人となったピンケルニッヒ。
昨季の総合3位までの彼女たちに、高梨沙羅、クリジュナル、アルトハウス、イラシュコ、クリネツあたりがどう絡んでいくのが今季の展望ではあったと思う。

ところが2週間前にピンケルニッヒが練習中に転倒し脾臓を痛める大怪我を負ってしまった。
さらにクリネツがコロナ陽性で開幕戦を欠場。
開幕の地ラムサウで、主役の座に浮上したのは昨季初勝利を挙げ総合9位に入るというブレイクを果たしたクラマーだった。

前日のトレーニングで2本ともトップ。予選でトップ。
そして今日のトライアルでトップ。本戦でも2本ともトップ。
2日間、計6本ですべてトップを獲る完ぺきな勝利で、並み居るライバルたちから完全に主役の差を奪い取ってしまった。

追い風に対してややシビアなゲート設定。1本目で初めてK点を超えたのは40人中34番スタートのクラマー。
クリジュナルがこれに続いたけれど、1本目でK点を超えたのはこの二人だけ。
高梨もヘルツルもイラシュコも届かず、ルンビに至っては自ら苦笑を越えて笑ってしまうほどの踏み外しをみせ、81.5mで19位にとどまった。

2本目はさすがにゲートを1段上げたが、K点に届いたのはクラマー、クリジュナルに加えてボガタイとルンビのみ。
ここはノーマルヒルの中でもより小さい台なので、1段上げるだけでもHSを超えてしまう心配がある。
なので、ゲート設定が難しいのは理解するが、もう少しスペクタクルな試合が見たかったという気がしないでもない。

ただ、そのことがクラマーとクリジュナルの仕上がりの良さを浮き彫りにしたともいえる。
この両者が頭一つ抜けており、他の選手たちとは点数以上の差があったように思う。
クラマーは通算2勝目。クリジュナルは自己最高位を一つ更新。

3位の高梨沙羅は、国内秋季大会を大倉山で見た時には、空中で後ろに手を引いて上体が立ち気味のように見えていたのだが、この試合を映像で見る限りはそういった感じには見えなかった。

その国内秋季大会で沙羅を上回るほどの成績を上げた伊藤有希は、昨季の自身の最高位である4位に迫る5位。
まずまずの好スタートを切ったが、実は昨季の最高位4位を獲ったのも開幕戦。それを超えることができなかった昨季のようにはならないと信じたい。

それにしても、恐ろしいまでに淡々と進んだ試合だった。
風で止まることもなく、テクニカルブレイクも取らず、短い飛距離でテンポよく進んだこの試合。
要した時間はたったの69分。