スキージャンプFISワールドカップ2024/25男子個人第8戦ティティゼー-ノイシュタット

パシュケが最高の週末を勝利で締めくくる ハイベックは僅差の2位

10th World Cup Competition
  • 2024年12月15日(日)
  • ティティゼー-ノイシュタット(GER)
  • HS142/K125

Official Results

1  ピウス・パシュケ(GER) 290.4pt
2  ミハエル・ハイベック(AUT) 290.0pt
3  クリストファー-エリクセン・スンダル(NOR) 284.7pt
 
16  小林 陵侑(TEAM ROY) 258.5pt
18  二階堂 蓮(日本ビールスキー部) 254.0pt
35  中村 直幹(Flying Laboratory SC) 110.2pt
40  佐藤 慧一(雪印メグミルクスキー部) 108.1pt
44  小林 潤志郎(Wynn.) 100.1pt

予選リザルト 本戦リザルト


またもパシュケが勝った。
金曜のスーパーチーム戦にヴェリンガーと組んで勝利し、土曜の個人戦でデシュバンデンを退け、そしてこの日はハイベックを僅差で下した。
48時間の間に3つの勝利。完璧な週末を締めくくった。

個人戦3連勝となったパシュケは今季5勝目。
総合2位のチョフェニックに対して220ptもの大差をつけた。
どこまで突き進むのか。

1本目のトップはハイベック。
HSを3.0m上回る大ジャンプを見せ、飛型点には19.0が4つ並んだ。
チョフェニック、ヘール、クラフト、更には新鋭オルトナーと今季ここまで好調なオーストリア勢にあって少しだけ出遅れた感があったが、ようやく輝きを放った。

勝てば2016/17エンゲルベルク以来8年ぶり通算6勝目。
しかし、その2本目は僅か0.4ptの差でパシュケに届かなかった。
昨季インスブルックでの3位以来となる通算24回目の表彰台。
今季は30代の選手の活躍が話題だが、ハイベックもまた33歳。

3位のスンダルは、僅か0.4ptの差でラニセクから逃げ切り表彰台を掴んだ。
23歳のスンダルにとって、これが4度目の表彰台。
表彰台が決まるとチームメートたちからもみくちゃにされ祝福を受けたが、それもそのはず。ノルウェー勢にとって、これが今季初の表彰台。

開幕戦以来のシングルとなったラニセクが4位。
ハイベックと同様好調オーストリア勢の中で少し元気がなかったフェットナーも第2戦以来のシングル6位。
ウクライナのマルシアクが自己最高11位に迫る12位。

日本勢では、小林陵侑と二階堂蓮がポイント獲得。
今季まだポイントのない小林潤志郎が気がかりだ。

WC個人総合順位


12/15
FISコンチネンタルカップ第4戦ルカ
5  小林 朔太郎(雪印メグミルクスキー部) 10位以内2回
6  内藤 智文(山形県スポーツ協会) 総合3位
10  葛西 紀明(土屋ホーム)  
34  竹内 択(team taku)  

リザルト COC個人総合
WRL

内藤智文がコンチネンタルカップでピリオド総合3位を決めた。
これにより、ワールドカップの日本のクォータ数は、次のピリオドから1枠増え6枠となる。

イエロービブで迎えたピリオド最終戦。
とはいえ総合順位は6ポイント内に4人の選手がひしめき合う大混戦。

  • 1. 176pt 内藤 智文
  • 1. 176pt F.HOFFMANN(GER)
  • 3. 172pt B.OESTVOLD(NOR)
  • 4. 170pt M.MUELLER(AUT)

緊張感Maxのこの試合で、内藤は1本目をトップで折り返した。
3位にMUELLER、4位にOESTVOLDがピタリと付いてきてはいるものの、HOFFMANNが19位に沈んだことで少し気持ちに余裕も出たようだ。

勝利を意識して力んでしまったか2本目は15番手の得点で順位を6位まで落としてしまった。
優勝したPEDERSEN(NOR)が総合ポイントで一気に追い上げてきたが、それでも総合3位を死守。前述の通りワールドカップの日本の国枠に1枠増をもたらした。

  1. 250pt M.MUELLER(AUT)
  2. 232pt B.OESTVOLD(NOR)
  3. 216pt 内藤 智文

ところで、この増えた1枠は誰のものなのか。
ありていに言えば、FISのルール上はあくまでも国に与えられた枠であって、ピリオド総合3位以内になった選手個人に与えられた枠ではない。
よって、この1枠に誰を派遣するかを決めるのはその国のコーチ陣ということになる。

次に、SAJ的にはどうなのか。
少なくとも、『選考基準』には、国枠が増えた場合に、その枠をどのように使うかの直接的な記述は見当たらない。

では、選手たちにとってはどうなのか。
内藤智文をはじめ、今回コンチネンタルカップに派遣された4人の選手たちは、「ピリオド3位以内になって枠が1つ増えれば、枠を増やした選手自身にその枠が与えられる」と、当然に思っていたはずだ。
さらに言えば、国内で戦う選手たちも、ワールドカップへのステップアップの方法の一つとして「コンチネンタルカップでピリオド3位以内を目指す」というのは頭に刷り込まれているだろう。

また、SNSでは多くのジャンプファンが、ずっと以前から「自力枠」「自力で枠獲得」などの言葉を普通に使っている。
FISのルールがどうであれ、あるいは選考基準がどうであれ、選手もファンも「枠を増やした選手自身にその枠が与えられる」という共通認識を持っていることは間違いないだろう。何よりもそれが誰にとっても最も納得性が高い。
なので、まずはこのコンセンサスに則った選考が当然に行われるはずだ。と、信じたい。

先ほど『選考基準』には、国枠が増えた場合の直接的な記述は見当たらないと書いた。
が、ここ数年の特に男子の『選考基準』は非常によく作りこまれていて、こうしたケースにも対処できるような内容になっている。(逆に言えば、だからこそ特段、国枠が増えた場合の直接的な記述をする必要がないとも言える)

公益財団法人全日本スキー連盟 http://www.ski-japan.or.jp/

「選考人数5名」となっているが、「クォーター数によって変動」とも記載されているので、6枠にも対応しているとまずは解釈できる。(ただし、FISのルール上、6枠なのはオーベルストドルフ、ガルミッシュ-パルテンキルヘン、インスブルック、ビショフスホーヘンまで)

この基準をそのまま当てはめると…
①により4名を選出、②は内藤智文が該当、③は小林朔太郎が該当。これで6名。

あるいは、「自力枠」はこの選考基準とは別枠と捉えると…
自力枠により内藤智文、①により4名を選出、②は自力枠と重複するので該当なし、③は小林朔太郎が該当。これで6名。

どちらの考え方をとっても、同じ6名が選出されることになる。
これ以外の考え方があるとは、到底解釈できまい。

さて、ではこの6名はいつ決定するのか。
それは、12月23日以降となるだろう。なぜなら、①によって選出される4名は「12月23日時点」のスタンディングによって選出されると選考基準に明記されているから。
②と③は既に発表しようと思えばできるだろうが、そこだけを先に発表するということはしないのではないだろうか。

よって、少なくとも私のような市井のファンが6名の派遣選手の名前を知ることになるのは12月23日以降となる。
ファンはそれで仕方ないとして、②と③に該当する選手たちは一日千秋の思いで、その知らせを待っていることだろう。
なので、彼らにはできるだけ早く内定した旨を通知してあげて欲しい。
それは今すぐにでもできるはずだ。

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