高梨沙羅 2連勝で締める 勢藤優花 自己最高4位
2018年3月25日(日) オーベルストドルフ(GER)HS106/K95
19th World Cup Competition
1 | 高梨 沙羅(クラレ) | 250.4pt | 99.0m | 102.5m |
2 | ダニエラ・イラシュコ-シュトルツ(AUT) | 238.8pt | 98.5m | 103.0m |
3 | マーレン・ルンビ(NOR) | 231.0pt | 97.5m | 98.5m |
4 | 勢藤 優花(北海道ハイテクアスリートクラブ) | 218.7pt | 97.5m | 97.0m |
6 | 伊藤 有希(土屋ホームスキー部) | 211.4pt | 91.0m | 94.0m |
22 | 岩渕 香里(北野建設スキークラブ) | 179.7pt | 87.0m | 89.5m |
31 | 岩佐 明香(日本大学) | 78.2pt | 86.0m |
高梨沙羅が2連勝。
今季一番の出来だったんじゃないかな。スピードも出ているし、タイミングもあっているように見えたし、飛距離も出て着地も決まった。2本目はちょっとスタイルジャッジの判定が割れたけれど。
前日にようやく一つ勝てたことで精神的に楽に戦えたんじゃないかなと思う。
風が安定せず、1本目は目まぐるしくゲートが変わった。
一転して2本目は風が落ち着いたけれど、ルンビの2本目は前戦に続いてまたも追い風。上手く飛びはしたけれど、久々にバタつきまくった1本目5位からの逆転は難しく連日の3位。
前日はモチベーションに問題があるんじゃないかと思って見ていたけれど、この2本目ではさすがに集中したかな。
というのも、ルンビにはシーズン全試合表彰台の達成が懸かっていた。2013/14シーズンに高梨沙羅が成し遂げている(全18試合中、優勝15回、2位2回、3位1回)が、”余程のことがない限り普通に行けちゃいそうな気がする” と先日書いたけれど、最終戦は結構冷や冷やものだった。
2戦連続の2位となったイラシュコは、前戦に続いて着地で大きく手を回したが最長不倒。
まるで優勝を決めたかのようにヘルツルらと抱き合う姿と、「夏も厳しい鍛錬をして、次のシーズンもまた参戦したい」なんて言い方をわざわざするのが少し気になるけれど…
大丈夫だよね?
勢藤優花は、自己最高位更新となる4位。
1本目でアルトハウスと0.2pt差の4位、かつ、0.7ptx差でルンビを従えていたわけで、表彰台への千載一遇のチャンスだった。
やはり表彰台は近いようで遠い。
さて、これにて2017/18シーズンの女子の全日程を終了。
マーレン・ルンビが、サラ・ヘンドリクソン、高梨沙羅、ダニエラ・イラシュコ-シュトルツに次ぐ女子WC史上4人目の総合優勝者となった。
ルンビは五輪の金メダルとWCの総合タイトルの2冠となった。
先日も書いたが、この二つのタイトルを本気で狙っていたのはルンビだけだったように思う。
アルトハウスは、蔵王での2試合を五輪の調整にあて200ptを捨てたし、高梨沙羅は五輪を意識しすぎたのかWCを調整の場と捉えてしまっていたようにも感じられる。
このように、今季が五輪シーズンであったことが、各国・各選手のWCでの戦い方に大きく影響してしまった感が否めない。
五輪も大事だけれど、そこを重視するあまりWCがおざなりになってしまうようなことがあっては、WCの価値を自ら貶めることになりかねない。
二つのタイトルを本気で狙って、獲るべくして獲ったルンビはまさに痛快。
目の前の試合にただ勝つことだけを考えていたような姿勢には好感が持てるし、ここまでの見事な戦いぶりとその結果を心から祝福したい。
もう一人、心から賛辞を贈りたい選手がいる。
イラシュコは10月に膝の手術を行い、復帰したのは1月終盤のリュブノ。そして、なんと復帰わずか2戦目で勝利した。
出場は7試合のみだったが、そこで積み上げたポイントは450pt。1試合平均にすると64pt。意味のない仮定ではあるが、全15戦に出場していれば総合2位だった計算になる。
イラシュコが怪我無く最初から参戦できていたなら今シーズンはまた全く違った趣となっていたであろうと思う。
高梨沙羅にとっては苦しいシーズンだった。
昨シーズンと比べて、極端に悪いところは無かったと思うが常にルンビとアルトハウスが上にいた。
無勝利に終わることも十分に懸念されただけに最後に2つ勝てて本当に良かった。少なくとも見た目上はアルトハウスには遜色ない結果となったことだし。
伊藤有希は、何とも評価の難しいシーズンとなってしまった。
昨季は6年目にしての初優勝を含む5勝を挙げ総合2位。ようやく実力に見合った結果を得られるようになって、さていよいよ今季はタイトルを目指すシーズン… そう思っていただけに、未勝利・表彰台3回・総合4位という結果はやはり寂しい。
とにかくアプローチスピードが出ない。これが技術的な問題なのかマテリアルによるものなのかはわからないが、来季はきっと改善できるはず。
岩渕香里と勢藤優花は、着実に力をつけてきているとは思う。
ただ常時トップ10圏内を争い、あわよくば表彰台を狙おうとするならば、ヘルツル、ボガタイ、クリジュナル、クリネツ、ザイファルト、シュトラウプあたりが直接的なライバルとなるが、これら海外勢が今季残したインパクトに比べると、やはりまだ印象が薄く感じられる。
伊藤有希は土屋ホーム入りしたときに、その筋力のなさを葛西監督に相当驚かれた聞く。その後、男子と一緒にトレーニングし徹底的に筋力アップを図ったことがその後の活躍に繋がっているが、岩渕と勢藤もそのあたりなのでは? 素人目に見て二人とも力強さに欠けるような気がする。
岩佐明香は9から27、茂野美咲は11から21、小林諭果は0から4と、それぞれ昨季より獲得ポイントを増やした。
中でも岩佐は、海外WCに初参戦しポイントの獲得こそならなかったが3戦とも予選を通過した。
少なくとも岩佐と茂野が岩渕と勢藤に劣っているという印象はなく、あるのは経験の差だけのように思う。開催国枠としての出場だけでは経験の蓄積にはならない。
2017/18 ワールドカップ 総合順位 | ||||
1 | マーレン・ルンビ | NOR | 1340 | 9勝 |
2 | カタリナ・アルトハウス | GER | 928 | 3勝 |
3 | 高梨 沙羅(クラレ) | JPN | 916 | 2勝 |
4 | 伊藤 有希(土屋ホームスキー部) | JPN | 661 | 最高位2位 |
5 | イリーナ・アバクモワ | RUS | 575 | 最高位3位 |
6 | カリーナ・フォークト | GER | 570 | 最高位3位 |
7 | ダニエラ・イラシュコ-シュトルツ | AUT | 450 | 1勝 |
8 | キアラ・ヘルツル | AUT | 428 | 最高位2位 |
9 | ウルサ・ボガタイ | SLO | 386 | 最高位5位 |
10 | ニカ・クリジュナル | SLO | 383 | 最高位3位 |
13 | 勢藤 優花(北海道メディカルスポーツ専門学校) | JPN | 275 | 最高位4位 |
16 | 岩渕 香里(北野建設スキークラブ) | JPN | 243 | 最高位9位 |
39 | 岩佐 明香(日本大学) | JPN | 27 | 最高位15位 |
42 | 茂野 美咲(CHINTAIスキークラブ) | JPN | 21 | 最高位21位 |
50 | 小林 諭果(CHINTAIスキークラブ) | JPN | 4 | 最高位27位 |
2017/18 ワールドカップ 大会別優勝者 | ||||
1 | 2017.12.01 | リレハンメル | NH | マーレン・ルンビ |
2 | 2017.12.02 | リレハンメル | NH | カタリナ・アルトハウス |
3 | 2017.12.03 | リレハンメル | LH | カタリナ・アルトハウス |
4 | 2017.12.17 | ヒンターツァルテン | NH | マーレン・ルンビ |
5 | 2018.01.06 | ルシュノフ | NH | キャンセル(3.3に振替) |
6 | 2018.01.07 | ルシュノフ | NH | キャンセル(3.4に振替) |
7 | 2018.01.13 | 札幌 | NH | マーレン・ルンビ |
8 | 2018.01.14 | 札幌 | NH | マーレン・ルンビ |
9 | 2018.01.19 | 蔵王 | NH | マーレン・ルンビ |
10 | 2018.01.21 | 蔵王 | NH | マーレン・ルンビ |
11 | 2018.01.27 | リュブノ | NH | マーレン・ルンビ |
12 | 2018.01.28 | リュブノ | NH | ダニエラ・イラシュコ-シュトルツ |
13 | 2018.02.03 | ヒンツェンバッハ | NH | キャンセル |
14 | 2018.02.04 | ヒンツェンバッハ | NH | キャンセル |
15 | 2018.03.03 | ルシュノフ | NH | カタリナ・アルトハウス |
16 | 2018.03.04 | ルシュノフ | NH | マーレン・ルンビ |
17 | 2018.03.11 | オスロ | LH | マーレン・ルンビ |
18 | 2018.03.24 | オーベルストドルフ | NH | 高梨 沙羅 |
19 | 2018.03.25 | オーベルストドルフ | NH | 高梨 沙羅 |
2017/18 リレハンメル・トリプル 総合順位 | |||
1 | カタリナ・アルトハウス | GER | 842.1 |
2 | マーレン・ルンビ | NOR | 823.1 |
3 | 高梨 沙羅 | JPN | 776.0 |
4 | 伊藤 有希 | JPN | 744.7 |
5 | カリーナ・フォークト | GER | 731.8 |
16 | 勢藤 優花 | JPN | 634.5 |
20 | 岩渕 香里 | JPN | 594.9 |
2017/18 団体戦 大会別優勝国 | |||||
1 | 2017.12.16 | ヒンターツァルテン | NH | 日 本 | – |
2 | 2018.01.20 | 蔵王 | NH | 日 本 | – |
2017/18 ネイションズカップ | ||
1 | ドイツ | 2952 |
2 | 日 本 | 2947 |
3 | ノルウェー | 2037 |
4 | スロベニア | 1978 |
5 | ロシア | 1521 |