大観衆でのジャンプ週間が開幕 グランネルが圧巻の勝利
2022年12月29日(木)オーベルストドルフ(GER)HS137/K120
10th World Cup Competition
1 | ハルヴォア-エグナー・グランネル(NOR) | 312.4pt | 中村直幹 |
2 | ピオトル・ジワ(POL) | 299.0pt | フラ |
3 | ダヴィド・クバツキ(POL) | 294.9pt | ゾグラフスキ |
15 | 小林 陵侑(土屋ホームスキー部) | 256.6pt | コス |
40 | 中村 直幹(Flying Laboratory SC) | 104.8pt | グランネル |
45 | 佐藤 幸椰(雪印メグミルクスキー部) | 95.1pt | ラニセク |
50 | 小林 潤志郎(雪印メグミルクスキー部) | 88.1pt | ザイツ |
二階堂 蓮(日本ビールスキー部) | 予選敗退 | ||
佐藤 慧一(雪印メグミルクスキー部) | 予選敗退 |
3年ぶりにジャンプ週間に大観衆が帰ってきた。
熱狂的な1万6千人の前で繰り広げられたのは、ドラマチックで極上のエンターテインメント。
グランネルは2020/21シーズンに見せた得体の知れない強さを再び見せつけ、ジワは大観衆の声援をかき消すほどの咆哮を響かせ、クバツキはイエロービブに恥じないパフォーマンスで今季7度目の表彰台を射止めた。
追い風が強く、やや渋めかなと思えるゲート設定で始まった。
ただ、強弱があり、部分的には時折向い風も吹く。
何度か試合は止まり公平な条件となることを待つ時間があった。
結果として、こうしたジュリーの判断が試合をフェアーで納得感のあるものにしたと思う。
それにしても、グランネルは強かった。
予選でも2位クバツキに8.9ptの差を付け1位。
本選1本目ではコーチリクエストで1段下げても最長不倒となる142.5mを飛んで見せた。
トップで折り返した2本目では139.0mを飛び、1本目ではお尻が沈んでしまった着地も今度はきれいに決めて見せた。
ジワもクバツキも、あるいはガイガーやクラフトも決して悪いわけではなかったけど、この日のグランネルの姿は2020/21シーズンのそれ。止める手立てはないと思わせる圧巻のパフォーマンスだったと思う。
グランネルは今季2勝目。通算15勝目。
ジャンプ週間総合で2位ジワに対して13.4ptのリード。
WC総合では4位から3位に浮上した。
一方、ゴールデンイーグルに最も近いところに居る者の一人だったはずのラニセクはどうしただろう。
今季ここまでの躍進が嘘のような低調なパフォーマンスに終始してしまった。
とはいえ、しっかりトップ10に位置してはいるのだけれど。
また、イプシオールにKOされてしまったアイゼンビヒラーは、試合後にジャンプ週間からの離脱を示唆する発言をしたらしい。
膝の調子が思わしくなく今季はなかなか本来の力を発揮できていない。本来であればジワと咆哮合戦を繰り広げていてもおかしくない力を持っているのに。
日本勢も辛かった。
二階堂蓮と佐藤慧一が予選敗退。残る4人もKOラウンドで全員が敗れた。
小林陵侑は辛くもラッキールーザーとして生き残り10位で折り返したけど勢いもそこまで。2本目で順位を落としてしまった。
佐藤幸椰のように新しい計測法によりスキーが6cmも短くなったことで対応に苦労しているというのならまだわかる。
しかし、チーム全体がここまで苦しむのは少し解せない。しかも男子だけでなく女子も。
やはりマテリアルに何らかのビハインドがあるのではないかと思えてならない。
Jスポでゲスト解説を務めた原田雅彦氏からは、ジャンプ週間後にチームをいったん帰国させる旨の発言があった。この通りだとすれば、ザコバネをスキップして札幌大会に向けて国内で調整を図るということになるだろう。
方向性としてはおおむね賛成ではあるが、ただ、もしチームの不調の原因がマテリアルにあるのだとしたら、帰国してもやれることは限られるのではないだろうか。
もうひとつ気になったことは、コーチに関する話題が出たときに原田氏が「ちょっとゴタゴタしている」というような発言をしたこと。
中継の中ではそのままスルーされたけど、これは何のことを言っていたのだろう。
今年4月に2021/22までヘッドコーチを務めた宮平秀治氏が退任した際に、後任が決定するまでの間は原田雅彦氏が暫定的にヘッドコーチを務めると発表された。
しかし、その後この話はなんだかうやむやなままで現在もヘッドコーチは原田雅彦氏のままだ。
ただ、SAJにおけるそれ以外の大役も担っている原田氏が現地で直接チームを指揮しているわけではなく、作山憲斗アシスタントコーチなどがその役割を担っている。
作山コーチに任せるのであれば正式にヘッドコーチに就任させるべきだし、そうでないのであれば現地で指揮を執れるヘッドコーチを早く決めるべきだ。そうでなくては、若く将来のあるアシスタントコーチを潰すことにもなりかねない。
このあたりのことを「ゴタゴタ」と称したのだろうか。
よくわからないが、これ以上書くと各方面から怒られそうなので、このくらいにしておく。
4ヒルズ・トーナメント暫定順位
1 | ハルヴォア-エグナー・グランネル(NOR) | 312.4pt |
2 | ピオトル・ジワ(POL) | -13.4 |
3 | ダヴィド・クバツキ(POL) | -17.5 |
4 | カール・ガイガー(GER) | -18.8 |
5 | シュテファン・クラフト(AUT) | -20.4 |