渡部弘晃 コンチネンタル杯で初の表彰台
2020年1月26日(日) 札幌市 大倉山ジャンプ競技場 HS137/K123
STVカップ(ゲート1本目10、2本目10)
1 | クレメンス・ムランカ(POL) | 225.3pt |
2 | アンデシュ・ホーレ(NOR) | 222.0pt |
3 | 渡部 弘晃(東京美装グループ) | 215.8pt |
4 | マルティン・ハマン(GER) | 212.4pt |
5 | アンツェ・セメニッチ(SLO) | 210.1pt |
6 | クレメンス・ライトナー(AUT) | 209.6pt |
FISコンチネンタルカップ第14戦(ゲート1本目10、2本目10)
1 | クレメンス・ムランカ(POL) | 225.3pt |
2 | アンデシュ・ホーレ(NOR) | 222.0pt |
3 | 渡部 弘晃(東京美装グループ) | 215.8pt |
4 | マルティン・ハマン(GER) | 212.4pt |
5 | アンツェ・セメニッチ(SLO) | 210.1pt |
6 | クレメンス・ライトナー(AUT) | 209.6pt |
8 | 竹内 択(team taku) | 199.4pt |
12 | 葛西 紀明(土屋ホーム) | 185.8pt |
13 | 伊藤 将充(土屋ホーム) | 183.7pt |
16 | 二階堂 蓮(下川商業高校) | 176.7pt |
18 | 栃本 翔平(雪印メグミルク) | 170.3pt |
23 | 岩佐 勇研(東京美装グループ) | 161.3pt |
25 | 内藤 智文(古河市スキー協会) | 155.8pt |
29 | 永峯 寿樹(明治大学) | 138.6pt |
35 | 清水 礼留飛(雪印メグミルク) | 60.9pt |
37 | 伊藤 謙司郎(雪印メグミルク) | 57.9pt |
42 | 渡部 陸太(東京美装グループ) | 47.2pt |
日本勢での白眉は渡部弘晃。
13日のHBCカップで優勝を果たしたばかり。その時に「今まで見てきた渡部弘晃の中でこの日が一番すごかった」と書いたが、わずか2週間足らずでそれを更新。今日の方が数段すごい!
…と書いたばかりだが、一夜明けてさらに更新。この日の渡部弘晃もすごかった!
試技こそ風であおられたか空中でバランスを崩してしまったが、本戦1本目では何事もなかったかのように133.0mを飛び8位につけた。
そして2本目。前日のHTBカップでも2本目だけでみて2番目のスコアとなるフライトを見せたが、この日はその数段上を行った。
HSオーバーとなる138.5m! またもや2本目だけで見れば2番手のスコア。
最長不倒こそ3.0m/sを超す向かい風を受け145.5mまで飛距離を伸ばしたセメニッチに譲ったが、100mを超えてもバーンを這うように加速し続けた直線的なフライトは圧巻だった。
前日に更新したCOCでの自己最高位5位を2つ更新してCOC初表彰台。
この冬の好調の要因はアプローチの姿勢を低く変えたことにあるらしい。これにより、アプローチの際の体のブレが抑えられ、踏切りのタイミングも合うようになったとのこと。
当然の帰結としてWC札幌大会の開催国枠を射止めた。
WCのエントリーは2014/15札幌での開催国枠以来5年ぶり。その時は予選落ちを喫したが、日大時代の2012/13札幌では29位となりWCポイントを獲得している。
実力のわりに過小評価を受けてきた選手のうちの一人だと思うが、ようやく全てが噛み合ってきた。WC札幌大会ではぜひ大暴れしてほしい。
そしてSAJが、強化指定外とはいえ海外COC派遣メンバーを選定基準通りに正しく選ぶことを願っている。
入賞者&チームJAPAN(COC30位内)
1 クレメンス・ムランカ(POL)
2 アンデシュ・ホーレ(NOR)
3 渡部 弘晃(東京美装グループスキー部)
4 マルティン・ハマン(GER)
5 アンツェ・セメニッチ(SLO)
6 クレメンス・ライトナー(AUT)
8 竹内 択(team taku)
12 葛西 紀明(土屋ホームスキー部)
13 伊藤 将充(土屋ホームスキー部)
16 二階堂 蓮(下川商業高校)
18 栃本 翔平(雪印メグミルクスキー部)
23 岩佐 勇研(東京美装グループスキー部)
25 内藤 智文(古河市スキー協会)
29 永峯 寿樹(明治大学)
渡部弘晃とは対照的に、内藤智文はチャンスを活かせなかった。
彼のFacebookによると、COC札幌大会の開催国枠7名は12日前に行われたHBCカップの予選たった1本のみの結果で決められたとのこと。まずはそのことに口あんぐりだ。
紆余曲折はあったようだが内藤は何とかこの7枠の中に選出された。
次にやらなければならないのはWC開催国枠の6名に選出されること。
国内の選手がWCに出場する道は、事実上これしかない。
そして、首尾よくWC開催国枠を勝ち取ってもそこでポイントが取れなければ道は再び閉ざされる。
国内シニア選手たちは、この不条理ともいえる状況下で戦わねばならないというわけだ。
今季の内藤は、これまでの高く踏み切る豪快なジャンプではなく低い軌道でバーンを這うようなフライトを見せてきた。
私はこれを「不調」だと捉えていたのだが、Facebookによると意図的にスタイルを変えたとのこと。
それを知って安心できたし、この2日間で両日ともポイントが獲れたことでスタイル変更が実を結んでいることも証明できた。
WC開催国枠には選出されなかったが、「久しぶりに凄く楽しくて、悔しいけど充実した2試合」だったようだ。
表彰式
待機するロバくん どさんこくん
STVカップ
STVカップ
COC
COC
前日のHTBカップ以上に猛烈な風が吹き上げ、レッドシグナルで試合の進行はたびたび止まった。
平均風速は2.0m/s以上。最高は3.1m/sにもなり、最低は0.9m/s
アタリハズレはあったとはいえ実力のある者たちが上位に並んだ。
前日2位だったクレメンス・ムランカが今季COC初優勝。通算12勝目。
今季序盤はWCで戦っていたが、迷彩柄のヘルメット以外に目立った活躍はできず、ポイント獲得は1戦のみでCOCに廻ることとなった。
ポーランドはヴォルネが予選通過もままならないほどに苦戦しているので、入れ替えを考えてもいい頃なのかも。
2位のアンデシュ・ホーレは、今季エンゲルベルクでWCデビューを果たしたばかりの20歳。バルデフィエンメでの23位が最高位。
父であるフロデ・ホーレは1996年のSTVカップ優勝者なのだそうだ。
今年のCOC札幌大会は初めて名前を聞く選手も多い反面、昨シーズンのWCにフルエントリーし、最高位4位をはじめとする8度のシングルで総合15位となったハルヴォア-エグナー・グランネルのような選手もいる。
そんなグランネルをはじめとして、遠い遠いSapporoまではるばるやってきてくれた選手たちに敬意を表し、下手な写真ではありますが個人的な好みで何人かをピックアップしてみた。
10 パヴェル・ヴァセク(POL)
11 マルクス・シッフナー(AUT)
14 ルカ・ロート(GER)
15 クレメンス・アイグナー(AUT)
20 イルミル・ハゼディノフ(RUS)
21 ハルヴォア-エグナー・グランネル(NOR)
22 フィリップ・ライムント(GER)
24 マッツ-ビョルケ・ミュレン(NOR)
30 キリアン・メルクル(GER)
32 パウル・ヴィンター(GER)
前日のHTBカップが、貸し切りの豪華無料バスを奢りイベントも盛りだくさんでテレビ告知もバンバン行ったおかげでなかなかの集客だったのに対して、STVカップはご覧のあり様。
STVは少なくとも10年ほど前から集客にはあまり熱心ではない。
いくら集客があったところでテレビ中継で数字を取ることができなければ意味がないとばかりの割り切った姿勢は逆にとても清々しくもある。
まぁ、肝心のテレビ中継がいまいちであることはどうかと思うが。
それでもHTBカップとSTVカップは格別だ。
個人的には、とある理由から国内戦を観戦するモチベーションがここ1~2年で急激に薄れてきているが、HTBカップとSTVカップにはそれがない。
そして、この2戦を通じて、どうやら選手の側にも同じ思いを持っている者がいると知ることができた。
そのことについては、いずれ書こうと思っている。
働くロバくん どさんこくん