2018/19 FISスキージャンプワールドカップ男子個人第26戦ヴィケルスン

小林陵侑 RAW AIRも獲る ドメン・プレヴツ2季ぶりV

2019年3月17日(日) ヴィケルスン(NOR)HS240/K200

34th World Cup Competition 

 ドメン・プレヴツ(SLO) 454.7pt  241.0m  232.5m
 小林 陵侑(土屋ホーム)  454.6pt  237.0m  239.0m
 シュテファン・クラフト(AUT)  443.2pt  236.5m  229.5m
 
15  佐藤 幸椰(雪印メグミルク)  388.9pt  213..0m  216.5m
29  中村 直幹(東海大学)  348.8pt  192.5m  194.0m
33  小林 潤志郎(雪印メグミルク)  169.3pt  197.5m  
46  伊東 大貴(雪印メグミルク)  予選落ち    
47  葛西 紀明(土屋ホーム)  予選落ち    

予選リザルト オフィシャル リザルト


 

RAW AIR最終戦となるこの試合では、痺れるような二つの戦いがあった。
一つはシュテファン・クラフトと小林陵侑の一騎打ちとなったRAW AIRのタイトル争い。
もう一つはドメン・プレヴツと小林陵侑によって繰り広げられたこの試合の息詰まるような優勝争い。

 

最終戦を前にしてRAW AIR暫定トップのクラフトと2位陵侑の差は8.5pt。
それが1本目で6.7ptにまで縮まった。
2本目。逃げ切りたいクラフトではあったが思惑どおりにはいかない。カレントリーダーとはなったがこれでは陵侑に勝てないことがわかっていたのだろう。両手で頭を抱え渋い表情。
対して陵侑はとんでもない高さからグングンと距離を伸ばすスーパージャンプを決めた。着地はやや微妙に見えたが一人が20点をつける高得点。

 

陵侑は最後の1本で逆転し初代RAW AIRチャンピオンから総合優勝を奪い取った。
終わってみれは両者の差は2.9pt。10日間連続で計15本飛んだ結果がこのわずかな差。
陵侑は今季、WC総合優勝、4HT、ヴィリンゲン5に加えて4つ目のタイトルを獲得したことになる。

 

前日の団体戦で見事なパフォーマンスを見せたドメン・プレヴツは1本目をトップで折り返した。
その2本目。リーダーボードには既にRAW AIRのタイトルを決定した小林陵侑が立っている。ドメンは前日同様に大人なジャンプを見せたが、to beatラインの少し手前に着地したように見えた。結果は果たして―
ポイントメーターはドメンの勝利を示した。陵侑との差はわずかに0.1pt。
2016/17エンゲルベルク以来となる通算5勝目。フライングでは初勝利となった。

 

ドメンの勝利により陵侑は2015/16ペテル・プレヴツが持つ年間最多勝利(15勝)の可能性を消されてしまった。
ペーターが弟を肩車で祝福したのは、年間最多勝利の奪取を阻止したドメンへの感謝の気持ちもあったのかも。
WC個人戦は残り2試合。陵侑にはまだ、2008/09グレゴア・シュリーレンツァウアーが持つ史上2位の記録(13勝)に追いつき追い越す権利が残されている。

 

RAW AIR トーナメント 総合順位 (全順位
1 小林 陵侑(JPN) 2461.5
2 シュテファン・クラフト(AUT) 2458.6
3 ロベルト・ヨハンソン(NOR) 2351.6
4 マルクス・アイゼンビヒラー(GER) 2296.8
5 ヨハン-アンドレ・フォルファング(NOR) 2265.3
13 佐藤 幸椰(JPN) 2106.0
19 小林 潤志郎(JPN) 1932.5
31 中村 直幹(JPN) 1401.2
40 伊東 大貴(JPN) 893.6
42 葛西 紀明(JPN) 873.6

 

今季で3年目となるRAW AIR。2季連続でWC総合優勝がその渦中で決まった。今季は早々と決まったのでその後はRAW AIRに集中できたが、それでも2位・3位争いなども含めて個人的にはシーズンの終盤はオーバーオールに集中したい気持ちが強い。

シーズン終盤のWC総合王者争いの真っ最中に、別のタイトル争いをぶち込んできたことで、双方ともにやや焦点がぼけてしまったような気もする点がやや気になるが、RAW AIRは非常に面白いチャレンジだったと思う。
多少の改善は必要かもしれないが、また見たいと思わせてくれる魅力があった。

2016/17 FISスキージャンプワールドカップ男子個人第24戦ヴィケルスン

RAW AIRは非常に面白いチャレンジであるという印象は今も変わらないし、また見たいと思わせてくれる魅力があるという感想も変わらない。
でも、開催する時期だけはなんとかならないものかと思う。
ただ、移設するにしても【10日間】を丸ごと移設できる隙間がシーズンにあるのかと問われるとなかなか難しいのだけれど・・・

2017/18 FISスキージャンプワールドカップ男子個人第20戦ヴィケルスン


 

小林陵侑はフライングでもトップ。
昨季、ストッフが総合優勝の他、4HT、ヴィリンゲン5、RAW AIR、プラニツァ7とタイトルを総なめしたが、フライングだけはストエルネンに獲られてしまっている。
今季、残すはフライングとプラニツァ7のタイトル。陵侑の眼前にはストッフ越えの景色がはっきりと見えているはず。

 

Ski Flying 総合順位 (全順位
1 小林 陵侑(JPN) 227
2 マルクス・アイゼンビヒラー(GER) 211
3 カミル・ストッフ(POL) 207
4 シュテファン・クラフト(AUT) 196
5 ピオトル・ジワ(POL) 179

 


 

WC総合ではクラフトとストッフの3位以上が確定した。
ラスト2試合を前にして両者の差は66pt。クラフトの方がモチベーションが高そうに見えるがどうか?
また、現在38位の葛西紀明は最終戦の出場が極めて難しい状況。32位の伊東大貴もだ。

 

WC総合順位